Road to 20th Anniversary~GAMSHARA MANIA
(2023年1月15日(日)門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
新年第一弾の大会は、通常年では年末開催になる「GAMSHARA MANIA」。この大会が年頭に開催されるのは、がむしゃらプロレス20年の歴史の中でもおそらく初。
昨年は、どちらかというとがむしゃら内部でのスキルアップに特化していた印象だったが、本大会はGAMSHARA MANIAらしく、他団体の選手も参戦する豪華版。
まさにGAMSHARA MANIA と呼ぶにふさわしい陣容で、豪華な1年らしいスタートになることは間違いない。
下関→門司赤煉瓦
昨日の疲れが出たせいか、母の買い物と洗濯済ませたあと、一時間休憩してから赤煉瓦へ。
道は混んでいなかったし、晴れ間ものぞく良きコンディション。しばし並んでから開場。
オープニング
オープニングは、まずSHIGEKICHI&KKダブルリングアナが登場。
ここで当初出場予定だった、ミスター鏡餅と上原智也の欠場が発表される。
変わって同じOPGから佐々木良和選手の参戦が発表された。
にしても、第一試合はそれでもカオスになりそうな予感しかしない。
大丈夫だろうか?
続いてGWAタッグチャンピオンチームのゲレーロとHIROYAが登場し、散々マイクで挑戦者を煽り倒す。
するとRe:ZARDがが登場してリング上は大乱闘。
すでに火がついている両チームとも収拾がつかなくなっているが、ここで両軍を蹴散らしたのがNUSTY OUTSIDERSの現・GWAヘビー級チャンピオンの尾原毅。
ここで既に会場のボルテージはマックスに達しようとしていた!
第一試合
▼タッグマッチ(疲れん程度1本勝負)
①×ダイナマイト九州 & リキ・ライタ vs ○ミスター鏡餅スティック & パンチ君
(13分19秒スライディングラリアット)
OPGのミスター鏡餅は、コロナ禍前に一度登場が予定されながら、大会自体が飛んでしまい、満を持しての参戦となる。
かつてイシマスがもたらしたOPGの混沌が新春早々再現されるのか?はたまた新たなるカオスがもたらされるのか?
ダイナマイト九州はもとより、リキ・ライタにも新年一発目の試練が訪れたと言っていいだろう。
当日発表で、いきなりミスター欠場の知らせ。松の内があけたので、来られなくなったらしい。
かわりに出てきたのが、どっかでみたようなミスター鏡餅スティック。
本家とも明らかに体型が違う。
まさか、某レフェリーが現役復帰したのかと思ったが、気のせいだろう。
しかも、ダイナマイト九州側には九州より背が高い「もう1人の九州」がいるではないか!
その名も「ダイナマイト・アメリカ」。なんか何処かの団体の代表にとてもよく似ていたのだが、これも気のせいに違いない。
そのダイナマイト・アメリカは、最初こそセコンドでおとなしくしていたが、気づけばいつのまにか試合に加わっており、3対2のまま試合が進行していく。
そして通常通り酷い目(おいしい)目にあうリキ・ライタ(笑)
本物のミスター鏡餅らしき選手がいないのに、試合が混沌としているとは、おそるべしミスターパワー!
他にもリキ・ライタが持ち込んだ色紙に、リング上の選手たちがそれぞれサインを入れたり、その色紙を凶器に使ったり、試合が進むにつれて混沌の具合はますます強まっていった。
最後は鏡餅スティックが、どこかで見たような 払い腰→DDT→ スライディングラリアットで「復帰戦?」を飾ったが、このまま黒棒軍団に加わるのかどうかは何とも言えない。
試合が終わってなお混沌としていた第1試合だった。
第二試合
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
②豪右衛門 & ○KENZO vs 嵐弾次郎 & ×HAGGAR
(15分35秒喉輪落とし)
昨年直接対決で、互いの力量を確かめ合った豪右衛門とKENZO。
もっとも豪右衛門はまだやりたりないらしく、KENZOとは闘う気満々でいたみたいだった。
しかし、伸び盛りのHAGGARと、がむしゃらプロレスには久々の登場になる嵐弾次郎が相手となれば、こちらもなかなか美味しいかもしれない。
試合はヘビー級の四人がぶつかり合うことによって非常に見応えのある肉弾戦になっていった。
この中にいてキャリアでは新人のHAGGERやKENZOが、全く見劣りしないというのは非常に素晴らしいことである。
そろそろ2人とも若手枠からの脱却が考えられてもいいと思う。
豪右衛門の復帰戦で対戦相手を務めた嵐弾次郎もどことなく嬉しそうに試合をしていたのが印象的だった。
これだけの体格を誇る人間同士がぶつかり合うのに、小細工は一切いらない。
それは四人が四人ともよくわかっていたようだ。
ある意味プロレスの一番の魅力であるぶつかりあいを十分に伝えていた好勝負だったと思う。
HAGGERとKENZOは組んでもいいが、ぶつかり合うことによってお互いが高め合っていける関係性でもあるので、対戦するときは非常に盛り上がる。
やはり同日デビューの同期というのは非常に大事なもので、プロレスは一人ではできないのだな、ということをこの二人を見ていると改めて思い知らされる。
最後はKENZOがのど輪落としで、HAGGERから直接白星を勝ち取った。
このライバルストーリーはこれからも続いていくし、ここで終わりではない。
遅れをとるまいと、HAGGERも頑張るだろう。
そうすることで、がむしゃらプロレスの未来はさらに明るくなっていくのである。願わくば彼らに続く逸材が現れて来て欲しいところだが・・・。
第三試合
▼GWAジュニアヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
③【挑戦者】×アストロZ vs 【王者】○MIKIHISA
(12分01秒)
トーナメントを病欠しながらも、現チャンピオンから直接ピンをとって、強引にチャンスを掴んだアストロZ。
MIKIHISAにしてみたら、せっかくトーナメントを勝ち上がってやっと掴んだ王座だけに、いきなりおいしいところどりされるわけにもいかないだろう。
自身初になるタイトルへの挑戦という事で、アストロZの気迫が凄い。
先制している余裕は微塵も感じられず、ひたすら遮二無二MIKIHISAを攻めていく。
この貪欲な姿勢に序盤はひたすら守りに回るチャンピオン。
しかし、過酷なトーナメントを勝ち上がってベルトを巻いたMIKIHISAも、隙あらば鋭い蹴りを打ち込んで、アストロZに決定的な主導権を渡さない。
個人的な話をすると、2023年現在のがむしゃらプロレス主力メンバーは、ほぼほぼデビュー戦から観続けてきた。
MIKIHISAもまたその1人で、気がついたら実にプロレスラーらしい選手に成長していた。
体型自体は昔から変わっていないが、試合の運び方が堂々としているし、鋭い蹴りと関節技で、不利な状況下でも自分の流れに戻していける。
終始攻勢だったアストロZだが、勝利を確信したのか、試合途中から肩のサポーターを外した。
だいたいこのパターンだと、確実に相手を仕留めらる必殺技がある場合が多い。
アストロZにそのような隠し玉があるのか?はたまたここまで攻め切って「勝てる」と踏んだか?
いずれにせよ、この場面に彼の若さがみてとれたのは間違いなかったと思われる。
結果的には、MIKIHISAがアストロZをいなすように丸め込んでカウント3つ。
警戒されたであろう関節技でも、蹴りでもない、基本的な技で勝てる。その点ではチャンピオンの方が一枚上手だった。
悔しがり、レフェリーに詰め寄るアストロZだったが、時すでに遅し。
しかし、これから上を目指すのであれは、この闘いも決して無駄にはなるまい。
第四試合
▼スペシャルタッグマッチ(30分1本勝負)
④○土屋クレイジー & 佐々木良和 vs ×レオパルドン横山 & 久保希望
(16分55秒高角度ブレンバスター)
ある意味、西日本で活躍する有名どころが一同に会するなんとも贅沢なタッグマッチが実現。
これだけのメンツが揃えば、もはや内容は保証されたも同然。これが一夜限りの打ち上げ花火で終わるか、はたまた次に繋がる流れになるのか?注目してみてみたい。
序盤は土屋と横山のマッチアップでスタート。
基本的な技の攻防でお客さんを虜にしていく。
どちらかと言うと派手なイメージがある横山が、地味な動きでお客さんの目を釘付けにしていくところがポイントが高い。
入場のダンスからすでにがむしゃらファンのハートを鷲掴みにしたOPG佐々木良和は、試合でも大活躍!
中盤に捕まっても決してピンチには陥らない。
必ず逆転して土屋につなぐという流れを作っていたので、久保&横山も攻めきれていないように思えた。
どちらも 急造チームには違いないのだが、連携という点では土屋&佐々木組の方が上回っていたように思う。
ただし久保&横山組も非常に良いチームで、互いに空中戦を持ち味にしているところも魅力的なタッグだった。
この四人だったら組み合わせを変えてもきっといい試合ができたに違いない。
最後は土屋の新技である高角度ブレンバスターで横山が沈む形になったけれど、もし再戦したら全く違う結果が生まれているかもしれない。
非常に見応えのあるタッグマッチだった。
セミファイナル
▼GWA無差別級タッグ選手権試合(60分1本勝負)
⑤【挑戦者】○陽樹 & サムソン澤田 vs 【王者】トゥルエノ・ゲレーロ & ×HIROYA
(15分25秒)
これと言って挑戦者が現れないまま、防衛戦も行われない中、降ってわいたようにRe:ZARDが挑戦表明してきた。
面白いのは、新時代の旗手であるはずのゲレーロ&HIROYAが、受けて立つ側にいる事と、既にタッグの戴冠歴がある陽樹が、チャレンジャー側にいる点である。
このねじれ現象が試合にどう影響するだろうか?
オープニングでも突っかかっていった若きタッグチャンピオンは、この試合でもやや「食い気味」に挑戦者チームへ攻撃を加え始めた。
確かに流れは先制したチャンピオン側にあったが、慌てず騒がないRe:ZARDは徐々に自分たちの有利な方向に試合を変えていきつつあった。
どちらも息の合ったタッグチームであることは間違いないのだが、意外にも陽樹&サムソンのタイトルへの情熱が高かったことは、王者チームにとっては誤算だったかもしれない。
また、タイトルをとってからそれほど防衛戦をしていなかったこともあり、長期政権でありながら、タイトルマッチの経験が少ないという点も、むしろ王者側は不利だったのかもしれない。
一方、何も失うものはないチャレンジャーチームは、楽に戦えたようにも見えた。
終盤勢いがなくなってきたチャンピオンチームに対し、ここぞというところで攻め込んできたRe:ZARDはさすがだと思わされた。
結局タイトルは移動し、Re:ZARDは王座総なめに王手をかけることになった。
メインイベント
▼GWAヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
⑥【挑戦者】○鉄生 vs 【王者】×尾原毅
(20分13秒)
キャリアでいえば尾原が先輩になるが、GWAヘビー級チャンピオンとしては、鉄生の方が先輩になる。
実はこちらもねじれているのだ。キャリアの割に遠回りした尾原と、既に追われる側に回った鉄生。
どちらが勝っても次の世代から挑戦されないと、閉塞感を生みかねない。そういう意味では試合が終わったあとの動きが気になるタイトルマッチになるのだ。
前の試合でタイトルマッチが終わって、そのままセコンドに付いた陽樹と澤田は、ベルト姿のまま決勝のセコンドについた。
これはタイトルマッチでありながらRe:ZARDとNASTYの軍団抗争の様相も呈していた。
序盤はキックと関節技で尾原が優位に立ち、1度は鉄生の左肩を極めにかかった。
そのままギブアップも取れたのではないかと思われたが、王者自らが技を解いて、再びスタンドでの戦いを挑んでいった。
一方鉄生はお得意の場外戦から、イス攻撃をお見舞いし尾原の膝を破壊しにかかる。
キック対策としては正しいやり方だと私も思う。
しかし今度は尾原が椅子を使っての関節技で、鉄生に逆襲。だが、これは警戒されていたのか決められる寸前で、鉄生がうまい具合に逃げていく。
そもそも新人であろうとベテランであろうと、自分の得意なフィールドではなく、相手の土俵に乗っかって勝負を挑むと高確率で負けフラグがたってしまう。
この日の尾原も例外ではなかったのだろう。
元々体の硬い鉄生にとって尾原は最もやりにくい選手のはずだが、そこは対策をきちんと練ってきているところが、がむしゃらプロレスの看板選手たる所以だと思わされた。
パワー主体と思われがちな鉄生だが、意外と頭脳派なのである。
それは今回戦ってみて、尾原も思い知らされたのかもしれない。
結果的に鉄生がベルトを奪還し、ダイナマイト級との二冠王者となった。
公約通りRe:ZARDが王座総なめを果たしたことになる。
試合後、マイクを取った鉄生は「世代交代と言うなら、いつでもやってやるから、かかってこい!」と若手を挑発。
すでにタッグ王座に挑戦が決まっているKENZOはもとより、HAGGERに対しても、挑発するあたり、実は世代交代できる若手を新王者自身が望んでいたのかもしれない。
後記
正直、マニアがなかったせいかもう一つ物足らない年の暮れだったのだけれど、やはり「一年の締めはマニアにあり」と考えれば、今回が2022年の本当の締めだったと考えた方がいいのかもしれない。
しかし20周年という節目を迎えるがむしゃらプロレスが、マニアで始まったことによって、今年一年突っ走っていく予感を感じさせた。
一年で思う最も盛り上がる大会であるマニアが年頭においた事で、今年のがむしゃらプロレスは、守りではなく攻めの姿勢で、1年突っ走っていって欲しい。
そして王者を脅かす新しいチャレンジャーが現れることにも期待したいところである。