DDT MAX BUMP 2023 TOUR in FUKUOKA
(2023年4月22日・土・春日市総合スポーツセンター:観衆196人)
イントロダクション
昨年末のピヴォーレ福岡以来のDDT。前回は平均気温3℃という極寒の中での観戦だった。
12月の大会は、約40年に渡り生観戦して体験した中では最低気温下でのプロレス観戦として、私の記憶に刻まれている。
あれはもはや寒いとかいう次元を超えて、何かの修行みたいだった。
さて、博多スターレーンがなくなり、さまざまな会場を流浪しているDDTだが、ついに福岡市を出て、隣接する春日市に進出した。
正直、母の体調次第では今大会の観戦は諦めかけていたので、無事観に行けてホッとしている。
まあ、DDTの場合出る選手にスペシャル感がなくても、ある程度クオリティは保証されているので、内容自体には心配はしていない。
下関→ 春日市総合スポーツセンター
とはいえ、春日市はプロレスがなければ行く理由がない土地である。
それと駐車場は遠くてもなるべく安くしたい。
北九州も下関も日曜のみ格安という駐車場があるので、安易に利用して痛い目に遭わないように自衛しているわけだ。
という事で、小倉まで運転して、海沿いにあるミクニワールド近くの駐車場に停車後、新幹線で博多入り。
そこから廿日市方面の電車に乗って春日市まで。更にバスを乗り継いで春日市総合スポーツセンターを目指す。
なんせ初めて行く会場なんで、勝手がわからないが、旅としてはなかなか味わい深い。
適当なバス停で降りてナビみたら徒歩10分だったので、そのまま歩いてどうにか会場到着。
到着後
到着して知ったのだが、結局徒歩で春日駅から会場に行くのが最短ルートらしい。
西鉄バスとは別に春日市オリジナルのシャトルバスが出ていたが、最終が18時台でどう考えても帰りは徒歩確定。
道理でホームページ見ても最寄駅の案内がないはずである。ある意味ピヴォーレ福岡より辺鄙な場所だった。
歩き疲れたのでちょっと休憩していたら、ちょうど選手の入り時間と重なってしまった。別に入り待ちしていたわけではないのだが、ちょっと気まずかった。
開場まで2時間あるし、隣に図書館があるので暇潰そうかなと入ってみたら、カフェが併設されており、遅い昼飯を食す。サラダと合わせて650円ならまあまあかな。
多分ここ以外食べられる場所なさそう。
食事終わりでまだ90分あるので、再び入り口近くの椅子に座ってTwitterみていたら、ヨシヒコが会場入り口にきていた。いつの間に…。
その後も選手が到着するたびに、入り待ちしてるみたいで気まずい時間が続いた。
開場前
しばらくすると、入り口付近に受付席がセットされたため、DDTのユニバースは一旦外に出て並ぶことに。
昼間まで穏やかだった天気もこのタイミングでいきなり強風に変わり、春とは思えない寒さである。
オープニング
井上マイクリングアナが、オープニングコールに指名したのは、セクシージャッジメントを自称する大石真翔。
かえす刀でフェロモンズを呼び込む。試合ではないので、通常の飯野“セクシー”雄貴として脱ぎ散らかす。
しかし、自分がセミファイナルに出るため、セクシージャッジメントの代理に、売店にいた今林GMを指名。
親御さんの前で張り切るGMはノリノリで、大石&フェロモンズまで巻き込んで大会はスタートした。
オープニングマッチ 30分一本勝負
福岡名物スペシャルタッグマッチ
○佐々木大輔&KANON(8分45秒 逆エビ固め)アズールドラゴン&●瑠希也
本来ここには中村圭吾が入る予定だったが、脳震盪の疑いがあるということで、急きょ欠場が決定。変わって入ったのがデビューして間もない瑠希也。
中村には悪いが、まだ見たことのない選手が繰り上がって入ってくることで、これから這い上がる未来のスター選手を見ることができるのは、ある意味興味深い。
さて、肝心の瑠希也だが、デビューしたての割には、物怖じしてないし、度胸もいい。
カリスマ相手にも真っ向から向かっていくし、アズールとの連携もスムーズ。DDTは若手の成長が早い団体だが、こうして新しい芽がどんどん伸びてくると、上の人間もウカウカできない。
だからこそ、DDTで生き残るのは至難の業。デビューまでのハードルは低いと言われているが、瑠希也は須見や正田に先を越された分、辛酸もなめてきている。
しかし、いかんせんアズールの好フォローがありつつも、そうやすやすと新人にいい顔はさせないのがDAMNATION T.A。
ここぞという時に繰り出すKANONとカリスマの連携が機能して、最後は新人殺しのボストンクラブでカリスマが瑠希也からタップアウト勝ち。
奥の手を出すまでもないという事だろうが、ここにボストンクラブを持ってくるあたり、佐々木大輔の悪なりのエールをみた気がした。
第二試合 30分一本勝負
高木三四郎&●平田一喜(0分11秒 外道クラッチ)○彰人&正田壮史
一騎打ちを機に何かと大社長とは絡むことが多い正田だが、春日大会でもタッグながら激突することに。
しかも、図式は大社長対副社長という戦い模様にもなっているし、最近若手の壁になりつつある平田がいる事で、簡単にはいかない試合になりそうである。
さて、彰人&正田の入場に続き、平田がダンス付きで単独入場。
しかし、ダンスが終わるや否や大社長の入場を待たずに彰人組が平田に襲い掛かり、そのまま試合開始。まだ大社長のテーマ曲がなり終わっていないのに、カウント3が入ってしまった。
これに激怒した大社長は「5年ぶりにキングオブDDTにもでるんだから、やる気になってるんだ。副社長、忖度しろよ!」と強引に再試合を要求。
再試合
高木三四郎&●平田一喜(9分44秒 侍ドライバー’01→片エビ固め)彰人&○正田壮史
訴えが実って再試合が開始されると、先ほど出番がなかった大社長は大張り切り。
とはいえ、美味しいところになると平田が登場し、結局正田を巻き込んでダンスタイムが開幕。
しかし、これはもちろんフリで「TOKYO GO!」が流れる中、彰人&正田の連携に翻弄され、平田轟沈。
今回は大社長の空回りと平田のお約束も全部見せてくれたので、大満足。ビッグマッチはお笑い成分薄めになるので、その分地方のノーテレビで、DDTらしさが感じられると、得した気分になる。
第三試合 30分一本勝負
スペシャル6人タッグマッチ
坂口征夫&赤井沙希&○岡谷英樹(9分25秒 ダブルアームスープレックス→片エビ固め)岡田佑介&レイン・レイバークーセン&●須見和馬
今回、春日大会行きを決めたのは、レイン・レイバークーセンが来るからでもある。
DDTには魅力的な外国人選手が多数参戦するが、近年はまず地方に来ない傾向にある。
そういう意味では、今回チャンスを逃せば次はないかもしれないのである。
試合は須見が先発。瑠希也もそうだが須見も物おじしない。坂口が相手でもガンガンいくし、上背では優位に立つ赤井や岡谷にも遮二無二ぶつかっていく。
須見も含めDDTにはもとドラゲー、もと闘龍門が非常に多いが、どちらがどうというわけではなく、単に水が合う合わないという事なんだろう。
さて、肝心のレインは中盤に登場。アイアン・メイデンのメンバーであるクライヴ・バーの姪という肩書きが先行しているが、いかんせんデビューが2021年10月24日というまだまだ新人ではある。
しかし、こちらも先輩の赤井沙希にガンガン突っかかっていくなど、非常に向こうっ気が強い。
もちろん「いてこます」が信条の岡田も負けていない。
確かに試合は白熱していったが、こうなるとユニットとして形になっているERUPTIONの方が優位になる。
試合後も赤井にくってかかるレイン。闘争心はすごいが、まだ気持ちにキャリアがついていってないかな?
でも瑠希也や須見同様、レインも今はこれでいいと思う。
第四試合 30分一本勝負
フェロモンズvsDISASTER BOX!
飯野“notセクシー”雄貴&男色“ダンディ”ディーノ(12分57秒 無効試合)HARASHIMA&大鷲透
5.3で火野の持つKO-D無差別級に挑戦が決定している飯野セクシー雄貴。
しかし、挑戦と引き換えに、当日までセクシーが封印されてしまった。
したがって、春日大会には近年では見られない飯野“notセクシー”雄貴が登場するわけである。
とはいえ簡単に元鞘に収まるはずもなく、そこかしこでセクシーが顔を出そうとしているらしい。
さて、春日大会はどうなるだろうか?
オープニングではいつも通りだったフェロモンズ。しかし、5.3までは「notセクシー」でいかなければ、KO-D挑戦も消滅する。
入場前ナレーションで観客にセクシーは禁じられていない、とダンディが煽ったせいか、「セクシー!セクシー!」のコールで、フェロモニアンも出迎える。
しかし、リングインしてガウンを脱ぐと、飯野が無印時代に着用していた黒の二本線スパッツ!
これは原点回帰か?それとも何か企んでいるのか?
試合が開始されてからも、ダンディの方は通常通りの試合を行うことが可能なので、相変わらずお下劣全開で進んでいく。
しかし飯野に代わると生まれ変わったかのように、大鷲やHARASHIMAと肉弾戦を繰り広げていく。
一旦 ショートスパッツに手をかけ 、ついにセクシーが我慢できなくて脱いだと思いきや、下から現れたのはまさかの「黒のショートタイツ」!
これぞ ストロングスタイル!
その後も飯野は「ストロング!ストロング!」と言いながら、バチバチのファイトを繰り広げていく。
しかし どさくさに巻き込まれて、GM が失神してしまうと、ここぞとばかりに ダンディが甘いささやきを吹き込んでいく。
これでしばらく我慢していたセクシーが完全開放されてしまい、ストロングスタイルの黒ショートの下に着込んでいた、Oバックを披露してしまう。
やはり本性は変わっていなかったのだ。会場に警報はなりっぱなしになっているのだが、肝心の GM が失神しているので、全く機能していない。
それをいいことにしてフェロモンズはやりたい放題。
大鷲やHARASHIMAを失神させると、ついには 松井レフェリーまで 毒牙にかけ、最後は無効試合 という いつものフェロモンズらしい結果になってしまった。
しかし 後から現れた大石はこの現場を見ていなかったらしく、ストロングスタイルのセクシーに対してすごい警戒感を抱いていた。
いやあれだけの音がなっていたら、楽屋でも分かりそうなもんなんだけど、そこは置いといて 、 いつセクシーを出してくるかわからないという点では厄介な挑戦者になったなと思う。
ちなみに 試合後のチェキ撮影会で飯野は 「セクシー」ではなく「 ストロングストロング!」と口にしていた 。
どうも 本人的には気に入っていたようである。
ここで休憩。パンフが2000円と値上がりしていたのは痛かったが、一冊購入して久々にサインをいれてもらう。
セミファイナル 30分一本勝負
Ωvsハリマオ!
○火野裕士&大石真翔(15分6秒 キングコングスリーパー)樋口和貞&●石田有輝
吉村が怪我による長期離脱、中津がフル参戦できないなどで、地方だとハリマオはどうしても樋口と石田のどすこいタッグでしか見られない。
結果、若い石田が捕まる展開になりがちになるので、結局このカードは石田次第になるのである。
先発は樋口と火野。
最初は大石が出ていたのだが、樋口が出ると分が悪いので、自ら退いて火野に先発を譲る。
もちろん火野対樋口とくればパワー対決に尽きるわけで、 序盤から迫力のある 真っ向勝負を見せてくれた。
石田に代わると今度は大石が出てきて、自分のペースに持ち込もうとするが、石田も成長著しいところを見せて簡単に ベテランにペースを握らせない。
そこで火野が場外戦を仕掛け、樋口と石田を2人まとめてラフファイトで追い込んでいく。この辺りがΩ の真骨頂と言えるところだろ。
その後も大石&火野組の連携に苦しめられた石田 だったが、 スイング式の DDT を耐えて逆転し、樋口へつないでいく。
再び樋口と火野の対決になり、火野が T シャツを脱ぎ去ってチョップ合戦を繰り広げる。
広い体育館に響き渡る乾いたチョップの音にどよめく観客。
今の DDT を見せるという意味では、こういうシンプルな戦いが効果的なのではないかと思った。
試合後 セクシージャッジマンの顔に戻った大石は、ストロングと化した飯野に対して警戒心を解かなかった。
5月3日のタイトルマッチは果たしてどういう結果になるのだろうか?
メインイベント 30分一本勝負
BURNINGvsThe37KAMIINA!
○遠藤哲哉&秋山準&高鹿佑也(21分21秒バーニングスター・プレス→エビ固め)MAO&勝俣瞬馬&●小嶋斗偉
近年のDDTはだいたいユニット対抗戦が主流になっている。
またデビューして間もない若手でも、積極的に登用して上で実力を磨かせていく。
このカードだと高鹿や小嶋がその位置にあたるが、同じユニット対抗戦でも一味違うのは、彼らの成長によるところが大きい。
試合を見ていて思ったのだが 他団体なら若手の位置にいる高鹿と小嶋が立派なメインイベンターとして試合を組み立てていたところが印象的だった。
特に 秋山門下で奮闘を受けている2人だからこそ、試合運びから基礎がしっかりしていて見ていて安心していられた。
もはや DDTの若手だからと言って安易にデビューできているわけではないところが、2人の試合運びを見ていてわかる。
もちろん 試合に出ている以上、秋山はコーチの顔ではなく選手として出てくるので、特に小嶋に対しては高い壁になっていた。
しかししゅんまおの2人は、このベテランに対しても臆するところなく挑んでいく。
特に勝俣は何とかして秋山を怒らせようといろんな策を弄していくのだが 、一発一発の技に重さがある秋山はあっという間にそれを逆転していく。
チェンジオブペース という意味では、スピードで撹乱していくThe37KAMIINA!と秋山のパワーで自分のペースに持ち込んでいくBURNING という対比ができていて、メインの試合としても非常にクオリティの高い内容になっていた。
最後はどちらが勝つかわからないシーソーゲームの末に、小嶋を捉えた遠藤 が トーチャーラックボムで決めようとするが、これをカウント2で跳ね返す 小嶋。
場内は大歓声である。
しかしここからBURNINGが連携で畳み込んでいき、遠藤が二度目のトーチャーラック ボムからのバーニングスタープレスで、小嶋を切って落とし、タイトルマッチの前哨戦はBURNINGの勝利という結果に終わった。
5月3日の前哨戦という意味以上に、若手がメインで試合しても何らおかしくないというところが、現在のDDTの魅力ではないだろうか?
最後は勝利した遠藤 がマイクで5月3日の豊富を述べて、大会を閉めた。
後記
こうした地方のハウスショーでもストーリーが動いていくというのは、 DDT の特徴の一つかもしれない。出し惜しみもしてないのもよくわかる。
が、いかんせん春日市総合スポーツセンターは、アクセスが悪すぎる。春日駅から徒歩20分 というのは正直言ってかなりきつかった。
また、お客さんを見てもどの大会でも見る顔ぶれがたくさんいて、春日市のお客さんがどれだけ来ていたのかという点ではちょっと疑問に残るところもあった。
こういうクオリティの高い大会はぜひ地元の人にたくさん見てほしいのだけど、いつものお客さんがいつも通り満足しているだけだった、ちょっとそれはどうなのかなと思ってしまう。
そんなことを考えながら春日駅まで徒歩で戻り、そこからJR~新幹線~車と乗り継いで帰宅したのは午後9時を回っていた。移動時間は約2時間・・・
下関に戻ると身体のダメージがどっとでてきて、ここではじめて自分が病人であることを思い知った。
次回のDDT福岡大会は12月だそうだが、できるなら春日市やピヴォーレ福岡ではなく、西鉄ホールあたりにしてもらいたい。