[プロレス映画鑑賞記] 怒れ!力道山(1956年日本:上映時間・82分)

せかぷろ
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作品解説

2010年2月7日鑑賞。

力道山を主人公に心暖まる人間の善意とフェア・プレーの尊さを謳歌しようという明朗スポーツ篇。「花の運河」の棚田吾郎のオリジナル脚本を「復讐侠艶録」の小沢茂弘が監督、「野郎ども 表へ出ろ」の西川庄衛が撮影を担当する。主な出演者は、力道山のほか「妖蛇の魔殿」の田代百合子、「地下鉄三四郎」の小宮光江、「緑眼童子 (二部作)」の星美智子、「野郎ども 表へ出ろ」の早川雪洲、その他、杉狂児、佐々木孝丸、益田キートン、植木基晴。お馴染みのプロレスラーたちが大挙出演する。(解説は、映画.comより)

力道山の表の顔

昭和31年作の力道山映画。ようするにメキシコでサントやマスカラスと同じように日本のヒーローだった力道山が「表の顔」で俳優に挑戦している。

物語は、子供達の人気者力道山の控室から、ある日、貫一少年が小型のチャンピオン・ベルトを盗み出すところから始まる。

だがその目的が小児麻痺の友達晃に見せてやるためと判り、力道山は早速、晃を見舞い元気づける。しかし、姉の悦子はひがみから彼に喰って掛る。

 

老人を助ける

その頃、彦根市体育館落成記念に力道山は大橋代議士に招かれたが、主催する赤岩興業の社長・敬介に不快を感じ中座してしまう。

帰途、暴漢に襲われた米川老人を力道山は助け出す。

老人は娘康子と共に小児麻痺学校の愛光学院を経営していたが赤岩や大橋らは、学院に出される市の補助金を使い込んでおり、近づく選挙のため、穴埋めに苦心していた。

怒る力道山

力道山は試合を終えると直ぐ学校を訪れ、テレビとファイトマネーを全部寄附し皆を感激させた。

だがアメリカから強敵レッド・ドラゴンを迎えての試合は引分け、大阪で第二戦を約束するが赤岩達は、力道山が力士時代からの恩人大橋の口ききでこの興行を引受ける。

悦子からの謝罪状に喜んで見舞に赴いた力道山は、彼に歩み寄ろうと努める晃の姿に思わずかけ寄って抱き上げる。

力道山は悦子と晃を大阪の試合に招待。だが帰途、康子から大橋らの悪事を聞いて怒り、ドラゴンに勝ったら当日の収入を全部くれと赤岩にいう。

7年後、本当に・・・

大橋も悪事露見で幹事長から立候補辞退を申込まれ、絶体絶命。ドラゴンに巨額の報酬を約束する一方、横浜のキャバレーに力道山を呼び寄せ子分に襲わせる。力道山は一味を叩き伏せるが左腕に負傷してしまう....

まさかと思うが、この7年後に本当に暴漢に刺されて自分が亡くなるなんて力道山本人もつゆほども思っていなかったに違いない。

史実と照らし合わせてみるとちょっと複雑な気分になる...。

歴史は変わっていた?

また、力道山が赤岩敬介に劇中でプロレスをショーだと言われ激高する場面があるのだが、ここもどうせなら「ショーのどこが悪い」といってくれていたら歴史も変わっていたのになあ...と思ったりもした。

まあ、時代的にそれが無理なのは仕方ない話だが、そうなっていたら、歴史はどうなっていただろうか?

基本的にレスラーが演技をしている場合、大概のケースは大根であり、この映画に関してもその例に漏れない。

信頼されたシモノビッチ

ぶっちゃけていうと力道山の演技はそんなにうまくない。でも猪木さんの何十倍もうまいということは天性のショーマンである素質はあったんだと思う。

試合もたっぷり時間を割いて収録されているのだが、相手役のレスラー(ラッキー.シモノビッチ)は、手の合う相手だったようで、力道山からも信頼されていたようである。

事実力道山映画には、本作以外にもう一本共演しているし、あの力道山が受けに回るシーンも多々あって、実際にシモノビッチが得意技にしていたドロップキックをたっぷりと見せてくれている。

力道山の受け

たぶんカットの長さから実際の試合に近いスタイルで撮られていたか、実際の試合をそのまま使ったかのどちらかだと思うが、攻めのイメージが強い力道山の受けというのはたぶんはじめてみたかもしれない。

そして試合の組み立ても空手チョップとかヘッドバットを、アクセントに使って、フィニッシュにはボストンクラブを使っていたりとかしているのだが、なんと本作中ではヘッドシザースホイップもみせている。

ということで貴重な映像資料としてみる分にはこの上なく楽しめる映画であることには間違いない。

映像化は?

日本初のハリウッドスター.早川雪洲とのやりとりも堂に入っていて、貫禄負けしていないのはさすがとしか言いようがない。

なんだかんだいってもこの人抜きに日本のプロレスは語る事が出来ないのだから、仕方ない^^

ちなみに、本作はビデオ化されてはいるものの、未DVD化作品であり、Amazonでは、ビデオも再入荷のメドなし、との事。

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