プロレス的発想の転換のすすめ(22) 「やり方」より「あり方」
選手を応援している理由
突然ですが、プロレスが好きなあなたにお尋ねします。
「あなたがご贔屓の選手を応援している理由はなんですか?」
今回はそこに思いを巡らせてみてください。〇〇だから好き、という理由に例えば「ムーンサルトができるから好き」というものがあるとしましょう。
ムーンサルトは
ここで考えてほしいのは、ムーンサルトはプロレスラーにしかできないのか?ということです。
答えはもちろん違います。バク宙まで含めれば、秋山前ソフトバンク監督が現役時代、ホームインする時にバク宙してましたし、野球選手でなくても、体操、サッカー、あるいはダンサーといった具合に、ムーンサルト系、バク宙系ができる人はプロレスラーには限りません。
魅了されたのはなぜ?
にも関わらず、あなたはプロレスラーの△△選手のムーンサルトに魅了されました。それは一体なぜでしょう?
こういうことを考えていくのが、実をいうとプロレスに限らず一番楽しい事なのです。
理由を深掘りしていくと
理由を深掘りしていくと自分で気が付かなかったことや、自分がどういう視点でプロレスを見ているのかに気が付くことがあります。
そこにあたればしめたものですね。
単なる偶然だったとしても
ムーンサルトということだけでいうのであれば、先ほども言った通りプロレスラーに限らず、いろんな人がやっているわけです。
でもあなたは「プロレスラーの」ムーンサルトに惹かれたわけです。
それがたまたまだったとしても、単なる偶然だとあなたが思っていたとしても、そこには何らかの理由があるはずです。
ジャーマンで魅了された
私の場合、技としてはジャーマンスープレックスで魅了されたクチです。
本当は猪木さんとストロング小林さんの試合で見られたジャーマンがそうなのですが、動画がないため、日本ではじめてジャーマンスープレックスを披露した試合(カール・クラウザー=のちのカール・ゴッチ対吉村道明)をご覧いただきたいと思います。
実はこの試合では吉村選手の回転エビ固めも日本初披露されています。ゴッチさんのジャーマンは7分過ぎにさく裂していますが、その破壊力はやはり目を見張るものがありますね。
プロレスの芸術品
今では投げっぱなしやつなぎ技になったジャーマンですが、そもそもはプロレスの芸術品ともよばれた技で、この技にこだわりをもっている選手は今でも多いのです。
選手によって特徴もありますし、その違いだけでも楽しめると私は思います。
ありかたを応援
プロレスに魅せられるあまたある理由のひとつに「ありかた」があります。
選手自身のあり方もそうですし、お客さんの在り方もそう。自分自身の気持ちが動くことに有益性を見出しているかこそ、応援を続けているともいえるわけですね。
あり方とは魅力
では具体的にあり方とは何か?
佇まい、雰囲気、スター性、観察力、客観性などなど様々あると思います。
それらをひっくるめた上で「魅力」というパッケージが出来上がっているわけです。
やり方に固執しすぎると
しかし、やり方に固執しすぎてしまうと、この「あり方」はしばしば見失われがちになります。
いい例がレジェンドと呼ばれるプロレスラーたちです。
彼らは正直いえばプロスポーツ選手の旬はとっくにすぎています。
見るに耐えうる内容では
しかし、彼らが入場し、試合をすると、観客は熱狂するわけです。
もし「やり方」に固執するなら、彼らの試合は見るに耐えうる内容ではないかもしれません。
そこにいるだけで
しかし、彼らははっきりいえばリングに立つだけ、そこにいるだけで価値があるのです。
そして、お客さんは彼らの存在そのものに対価を払い熱狂しに来ているわけです。
往年の技を繰り出せば
不恰好でも往年の技を繰り出せば、それで充分ですし、むしろありがたいとさえ思えるわけです。
こういう試合はやはりレジェンドにしかできません。
見た目ばかりを気にすると
翻って見た目ばかり気にし、見栄えのいい技だけ繰り出すプロレスラーに面白い試合を紡ぐことは不可能に近いのではないでしょうか?
そしてそういう選手はいずれ観客の目からもふるいにかけられて、誰からも顧みられなくなるわけです。
理由を突き詰めていくと
レジェンドのように人間年を取れば若いころのような動きはできなくなります。
しかしプロレスというのは奥深いもので、技は使えなくても少ない技で観客を魅了することは十分可能なのです、
その理由をつきつめていくというのも面白いかもしれませんよ。
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