プロレス想い出回想録 ブルースブロディ氏との奇妙な縁⑤記憶に残った幻の名勝負
アクシデント
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大日本プロレス下関大会の試合前、ちょっとしたハプニングがおきた。
入場してこようとしたサブゥー。すると、花道に群がっていた観客の一人が、サブゥーの足をひっかけたのである。
激怒したサブゥー
勢いよく出てきたサブゥーは転倒し、事態を把握した瞬間に激怒し、その観客に詰め寄ろうとしたが、セコンドについていた若手に静止されていた。
その観客は別な若手にはがいじめにされて、場外につまみ出されていった。その一部始終を二階席から見ていた我々は、なんともいえない気分になっていた。
試合が終わるころには
せっかくこれから始まる試合を台無しにしてくれた客に対して、怒りしか感じなかったのをよく覚えている。
しかし、その怒りは試合が進むにつれて、消え去っていった。サブゥーの破天荒なプロレスに、アクエリアスが見事に応えていったのだ。
試合は白熱した末に、13分12秒、サブゥーが雪崩式フランケンシュタイナーで勝利したが、試合が終わるころには、不愉快な観客のことなど、どうでもよくなっていた。
アクエリアスの正体は
「これは名勝負数え歌になる組み合わせだ!」と大会終了後に寄った店でちゃんぽんを食べながら、二人で興奮して語り合ったことは今でもよく覚えている。
余談だが、このアクエリアスというマスクマンの正体は後に、WWEスーパースターとなるTAJIRIである。
夢幻だったのかも
WWEに上がる前、TAJIRIはECWにも上がっており、そこでサブゥーと接点があったかもしれない、と思いWWEネットワークで動画検索してみたが、サブゥー対TAJIRIのシングルマッチはついに見つからなかった。
サブゥー対アクエリアスが下関で行われた記録は確かに存在している。
だが、我々はもしかしたら、とんでもない夢幻を見せられたのかもしれない。今でもふとそんな気になる事があるのだ。