プロレス的発想の転換のすすめ(17) 逆転を生む「耐える力」
表現としては必要不可欠
今回は「耐えること」をテーマにお話しします。
耐えるというのは、楽を目指す方向性とは真逆ですが、プロレスの表現としては必要不可欠な要素です。
ましてや日本人のハートには「耐え忍ぶ姿」というものは、世代を問わずどストライクで響きます。
日本人の心に響く
ですから、いわゆる「客受け」がいいわけですね。
そのために選手は相手の技を真正面から受け止めて、時にはそれを跳ね返していくほどの強靭な肉体を、普段の厳しいトレーニングで構築しているのです。
肉体が激突する美
もちろんプロレスでも技を避けることはありますが、それはあくまでレアケースであり、多くの場合は肉体と肉体が激突する展開になっていきます。
それによって受ける衝撃は、常人なら下手すれば命を落としかねないほど過酷なものです。
技を受ける暗黙了解
しかし、ここで注意しなければならないことがあります。
それは「プロレスは単なる我慢比べではない」ということです。
耐えることも我慢比べも、確かにプロレスの要素として存在しますが、それが全てかと言われれば、決してそうではありません。
プロレスには「基本的には技を受ける」という暗黙の了解がありますが、レスラーがずっと我慢しているだけでは、観客も飽きてしまいます。
実は、耐え忍ぶスタイルの選手であっても、試合のすべてにおいて、のべつまくなしに耐え続けているわけではないのです。
見せない休息の技
ただ耐えるだけでは、心身に深刻なダメージを残しかねませんし、逆転する際のエネルギーも溜まりません。
実は、耐え忍ぶ場面を最も印象に残しつつ、「休んでいる場面」は観客に気づかれないよう、選手も巧みに工夫を凝らしています。
試合展開の平坦化
22005年7月18日東京ドームの小橋建太さんと佐々木健介さんのチョップ合戦が話題になり、一時期は――いえ、今もなお「チョップ合戦」はプロレスの「闘い」の中で一定数見られます。
しかし、こればかりを繰り返していると、どうしても試合が平坦になってしまいます。
観客としても、何度も同じようなシーンが続くと、さすがに飽きが来てしまうわけです。
観客を導くプロの技
ザ・グレート・カブキさんにお会いできた際、「お客さんに乗せられて技を出すだけではプロとは呼べない」とおっしゃっていたのが非常に印象に残っています。
確かにお客さんのリクエストに応えるのは、プロとしてあるべき姿の一つです。
しかし、何でもかんでも観客の思う通りに動いているだけでは、リモコンで操られているおもちゃと変わりありません。
そこは観客にも相手にも気づかれないよう、休める時に休み、耐えるべき時に耐える。そうすることで、耐える姿をより印象深く魅せているわけです。
逆転の機会を待つ
これは日常生活でも応用が利きます。
のべつまくなしに耐え忍ぶのではなく、休める時は休み、来るべき時に備えて力を蓄えておかなければ、逆転の機会をモノにすることはできません。
適度な休息の必要性
常に全力で走り続けるのは格好いいですが、自分に対して決して優しいわけではありません。
頑張りすぎる人には、適当に休むことも必要なのです。そこのところを、頑張りすぎてしまう傾向があるあなたには、特に心に留めておいてほしいなと私は思っています。
勝機を掴むために耐える
プロレスにおける「耐える」とは、決して受動的な我慢ではありません。
それは次に放つ最大の一撃のために、牙を研ぎ、エネルギーを充填する能動的な「闘い」の一部なのです。
人生も同じです。苦境の中でただ耐えるのではなく、いつか訪れる逆転の瞬間のために、今は賢く休み、力を蓄えましょう。
その先にこそ、プロレスラーのような鮮やかな逆転劇が待っているのです。
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