[プロレス用語辞典] ラ行 レスキチ
プロレスキチ○イ
今回のプロレス用語辞典は「レスキチ」になります。
レスキチはもともと「プロレスキチ○イ」の略で「熱狂的なプロレスファン」を指していました。
江戸時代に
これはWikipediaでもひとつのプロレス用語として紹介されています。
そもそも「○チガイ」とは、江戸時代に精神病の呼称として平安時代からの「物狂い」に加えて「きちがひ(幾知可比)」として誕生しています。
検索すると
本来は、発狂した人間、端的に状態が著しく常軌を逸した人間を指す用語です。
しかし、レスキチで検索すると、確かに「プロレス○チガイ」が上位にきてはいるものの、数は少なく「アマチュアレスリング・キチ○イ」や「レストラン・○チガイ」などといった言葉が引っかかってきました。
会ったことがない
あとはネット用語でいう「応答」、つまり電子掲示板や電子メール、ネットニュースなどで、先に存在している発言に対して返信する「レス」の「キチ○イ」というのもありました。
正直、自覚的にプロレスファンになってから約半世紀。
プロレスキチ○イの「レスキチ」を自称するファンや知人に会ったことがないのです。
なんと呼ばれている?
実際、そう呼んでおかしくない知人・友人はたくさんいますけど、彼らの口から「レスキチ」という言葉を私はきいたことがありません。
もしかすると、私のいないところで使っているかもしれないのですが、ではなんと呼ばれているのか?・・・
あまり使われていない
オタクと言う言葉はもちろん、マニア・あるいはただのプロレスファン・・・そんな言葉でしたら割と煩雑に耳にします。
この点から「レスキチ」は、はっきりと死語になったわけではないものの、あまり使われていない用語ではないかなと私は推察してみました。
ネガティブな意味合い
ちなみに、「オタク」は1980年代初期の秋葉原やイベント会場で、アニメやマンガ好きの人が相手に対して「お宅は~」を多用していたのが語源だと言われています。
しかし、オタクと言う言葉は「キチ○イ」以上にネガティブな意味合いが長年纏わり付いていました。
十把一絡げ
1989年に発覚した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で犯人が収集していた多数のビデオテープや漫画雑誌により、マスコミを中心にオタクバッシングが起こったことで「おたく」は世間に広く知られるようになった事がその要因です。
そのため、当初は漫画やアニメ、コンピュータゲーム、アイドルなどの趣味を持つ人たちと、社会性が欠如したり対人コミュニケーションが不得意な人たちを、十把一絡げにして指し示す否定的な意味合いを持つ言葉として使用されることが多かったのです。
悪い印象は薄れ
その後、1990年代後半からのインターネットの普及やアニメや漫画、コンピュータゲーム、アイドルの社会的地位の向上によりおたくへの悪い印象は薄れ、現在では単なる「ファン」「マニア」と同義で使われることが多くなってきました。
想像ですが、「レスキチ」は「オタクと呼ばれるくらいなら、もっと別な呼び方で呼ばれたい」という古の「ファン」や「マニア」の願いが使用させていたのかもしれません。
リアルタイムで経験
この辺ははっきりとした出典元がないため推測の域を出ませんが、私自身がオタクとして虐げられた歴史をリアルタイムで経験してきているため、オタクに代わる用語が生み出されたのだとしてもなんらおかしいとは思えないのです。
とはいえ、2010年頃からおきたアイドルブームなどで、「推し」という言葉が一般化したほか、オタクという呼称そのものも半ば陳腐化し、「オタ」と気軽な呼び方で使用されている現在、「オタク」にはネガティブイメージがほとんど残っていません。
無理して使う必要が
むしろファンやマニアと同義に使われることが増えたため、無理してキチ○イ(そもそもキチ○イ自体がネットスラングで基地外と呼称されています)と言う言葉を使う必要がなくなったとも考えられます。
オタク以上にキチ○イは現代においてセンシティブな言葉になっています。
お断りのテロップ
これは、1974年以降一時期、精神障害者の家族らで構成される精神障害者家族会の会の一部から、大阪の各放送局が激しい抗議を受けたことが発端となり、以降使用自粛につながったことも要因になっています。
昔のドラマやアニメがソフト化される際にこの言葉が入っている場合、以前はカットされる動きがありますが、最近では「原作を尊重する」意味で、冒頭に「お断り」のテロップが入れるのみで手を加えないことも多くなっています。
欠番作品も
しかし、昭和43年(1968年)放送の特撮ドラマ「怪奇大作戦」の第24話「狂鬼人間」は、公式な理由は明らかにされていないものの、「精神異常者の描写に問題があるため」「差別用語が頻発するため」といった推測がなされており「欠番」となっている作品です。
同じく円谷特撮で欠番といえばウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」があります。
みなし死語
しかし、「ウルトラセブン」と「怪奇大作戦」で決定的に違うのは、単純に「キ○ガイ」などといった放送禁止用語が全編通して登場することや、精神異常者に対する表現が正しくないという致命的な問題があることで、こちらの欠番が解除されることはおそらくなさそうです。
このように、中には作品そのものがなかったことにされたり、近年になって復刻される際にも、「きちがい」や「気が狂う」という表記は「気が変になる」「気がおかしくなる」など、比較的穏当な表現に差し替えられるか、別のセリフに置き換えられることが多くなっています。
「キチ○イ」という言葉には、テレビのみならず、書籍や漫画、一般の会話でも使用されることは減っているため、「レスキチ」も「みなし死語」になっていると考えるのが妥当なのではないでしょうか?