プロレス的発想の転換のすすめ(5)失敗こそが最強の武器
失敗こそが最強の武器
プロも何度も失敗する
今回は「失敗」についてのお話です。
ちなみに、最近はあまり名乗っていませんが、私は一応カウンセラーでもあります。
カウンセラーだから人間関係で失敗しないとなぜか思われているようですが、あえて書いておきます。私は普通に失敗します。
人間は完璧ではない
もちろん反省をして次へ繋げますが、人間というのは実はそれほど完璧な存在ではありません。ですから、同じ間違いを何度も繰り返します。しかし、重要なのはここからなのです。
この記事はプロレス寄りに書いていますので、プロレスのたとえ話をしましょう。元・全日本プロレスで1990年代に「四天王時代」を築いた川田利明選手は、若手時代のデビュー戦以来、引き分けを挟んでなんと「205連敗」を喫しています。
受け止め方は人それぞれ
この結果だけを見て、あなたはどう思うでしょうか?
もしかすると、「プロなのに何回も同じ間違い(敗北)をして恥ずかしくないのか?」「負けから何も学習していないのではないか?」と思われるかもしれません。
ですが、受け止め方は人それぞれです。
アジアタッグ戦線での光
その後、川田選手は天龍同盟に加入し、故・冬木弘道(サムソン冬木)選手とともに「フットルース」というチームを結成してアジアタッグ戦線で活躍しました。
アジアのベルトが若い世代によって争われるようになったのは、川田・冬木組の功績が非常に大きいと言えます。
才能は後から目覚める
選手の大量離脱という苦境の後は、故・三沢光晴選手らと「超世代軍」を結成。ジャンボ鶴田選手らと激しい闘いを展開していきます。
全日本の強さの象徴へ
そのジャンボ鶴田選手が一線を退いてからは、川田選手は田上明選手と「聖鬼軍」を結成。今度は超世代軍と激しい闘いを繰り広げるようになりました。四天王プロレスと呼ばれた激闘の中でも、川田選手は全日本プロレスの「強さの象徴」になっていったのです。
負けてもくじけない心
川田選手の事例を引き合いに出したのは、ここから様々なことが読み取れるからです。負けても負けてもくじけなかったメンタルの強さ、それを支えたであろうファンの声援、可能性を信じて辛抱強く見守った先輩選手や団体……。そういった要因も想像できます。
本人も知らない可能性
いずれにしても、もし一度の敗北が万死に値し、プロ失格の烙印を押される世界であれば、川田利明というスター選手は誕生しませんでした。今、川田選手をプロ失格などと言う人は誰もいません。人間には、本人も気づいていない可能性がたくさん眠っています。
諦めずに道を切り拓く
しかし、その才能が最初から目覚めているとは限りません。もうひとつ全日本つながりで、秋山準選手が社長を務めていた時代の全日本にも参戦していたウルティモ・ドラゴン選手の例をお話ししましょう。
境遇を跳ね返す情熱
彼はもともとレスラー志望でしたが、当時は「身長180cm以上」という高い入門規定があり、日本ではプロになることができませんでした。そこで彼はメキシコへ渡り、現地でライセンス(プロレスのライセンスを発行しているのはメキシコのみです)を取得してプロ選手になりました。
世界を魅了する究極龍
後に日本で本格的ルチャリブレ(メキシコ式プロレス)を広めた「ユニバーサル・プロレス」の初期エースとして活躍。再びメキシコへ渡り「ウルティモ・ドラゴン」に変身します。
日本ではSWSやWARで活躍しつつ、主戦場をアメリカへ移すと、WCWのクルーザー級戦線を活性化させた立役者となり、ついにWWEへ移籍。彼の美しいフォームのムーンサルトプレスは、現地で「アサイ・ムーンサルト」と呼ばれるほどの知名度を誇っています。
世界に轟く二人のレジェンド
ちなみに、日本の軽量級選手で、アメリカ・日本・メキシコで絶大な知名度を誇るレジェンド・獣神・サンダー・ライガー選手もまた、メキシコで修行を積み、可能性を広げた一人です。大型選手に人気が集中しやすいアメリカにおいても、ウルティモ・ドラゴンとライガーの名は「別格」の扱いなのです。
次代へ繋ぐレインメーカー
一方で、ウルティモ選手はメキシコにプロレス学校「闘龍門」を設立しました。ここから多くの才能が巣立っています。現在活躍しているDRAGONGATEのベテラン選手たちや、新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手も闘龍門出身であることは有名な話です。
もし若き日のウルティモ選手が日本で夢を諦めていたら、今のDRAGONGATEも「レインメーカー」もこの世に存在しなかったかもしれません。人間の才能がどこで覚醒するかは、誰にもわからないのです。
継続が力へと変わる時
さて、最初の話に戻りましょう。
プロのカウンセラーというのは、いくつもの資格を持ち、大学院まで心理学を学び、厳しい試験をくぐり抜けた「完璧な人」が名乗るものというイメージが私にもありました。
しかし実際は、学び、失敗し、悩みながら、一歩ずつ成長していくものなのだと最近は強く感じています。
これはプロレスにおける「受け身」と同じです。何度もマットに叩きつけられ、その痛みを経験するからこそ、相手の攻撃を耐え抜き、最後には立ち上がることができるのです。
自分が自分の味方になる
プロであっても、失敗はします。何回も、何回も。
でも肝心なのは、「人から責められる自分はダメだ」と他人の叱責に同調して、自分自身を責め立てないことです。
魂のレベルまで落とし込む
人に批判されれば誰しも不安になります。
しかし、常に「自分の味方は自分である」という感覚を持てたらどうでしょうか?
この感覚を、プロレスラーが過酷な練習で技を体に染み込ませるように、内面へ落とし込めたなら、それは大きな強みになります。
信じる心が勝利を呼ぶ
自己肯定感が低かった私は、この「自分を信じる」という感覚を現場で繰り返し磨くことで、ようやく一人前の人間として生きていけるようになりました。
たとえ周囲が信じてくれなくても、あなただけは、自分が信じる自分を裏切らないでいてあげてください。
人生という名のリングでは、3カウントを聞くまでは何度でも立ち上がることができます。
たとえ2.9で肩を上げ続けるような苦しい状況でも、諦めずに自分という「闘い」を続けてください。
その泥臭い継続の先にこそ、あなただけの王座が待っているはずです。さあ、心のシューズの紐を締め直して、次のラウンドへ向かいましょう。
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