WWE WRESTLE MANIA 34
(2018年4月8日・ニューオーリンズ・メルセデス・ベンツ・スーパードーム:wweユニバース視聴)
イントロダクション
正直アスカ対シャーロット、中邑対AJみたさにWWEネットワークに入ってしまったものの、今回のレッスルマニアはカードも粒ぞろい。もともとあちらは中継ありきで試合を組んでいるので、真ん中あたりに豪華カードをもってくる習慣があってそこが日本と違うところ。
日本だったら、ベルトの最上位概念でもあるタイトル戦(WWEだとWWEヘビー級=中邑対AJ)がメインにくるのだが、WWEの場合必ずしもそうはならないのだ。だからWWEシングル王座の上に、タッグ王座戦や、ユニバーサル王座戦などが組まれることはざらにある。
まあそれでも中邑対AJが、終わりから3つ前に組まれたというのは事実上のメインといってもいいだろう。事前にWWE NETWORKから散々お知らせが入るのだが、日本時間9時開始予定ということで、少し前にネットに接続したらインターコンチのタイトル戦が始まっていた。
KICK OFF ショー第1試合 アンドレ杯バトルロイヤル
ということで、KICKOFFショーは帰宅後観戦。新日本と違うのはちゃんとアンダーカードでも完全放送してくれるところ。これはありがたい。ちなみに後で調べたらKICKOFFは午前6時からスタートしていたらしい。メールの告知に入ってないという事は、本編以外はカウントされないということか。
そんな立ち位置にケインやバロン・コービン、マット・ハーディまでいるんだから豪華すぎる。新日の第0試合とは比較にならない。まあケインやゴールダストあたりは第三世代といえなくもないが・・・・
最後はマット、コービン、モジョの3人になって、マットはコービンとモジョの2人に攻撃されて大ピンチ、そこに突如暗転してブレイ・ワイアットが現れる。アンダーカードでもこんな仕掛けをしてくるんだからWWEおそるべしである!そしてなぜかワイアットの協力でマットがモジョを排除、コービンも落としてマットが優勝!
しかし、マットも老けたなあという印象。ちなみにワイアットには試合権利がない。それにしてもラストでマットとワイアットがまさかの合体という予想の斜め上をいくオチが用意されていようとは。さすがレッスルマニア!である。
なおKICK OFFの第一試合からシナが観客席で試合観戦。普通に楽しんでいた(笑)
KCIK OFF ショー第2試合 クルーザー級王座トーナメント決勝
〇セドリック・アレキサンダー vs. ×ムスタファ・アリ
WWEのクルーザー級というのはどうも本気さ加減が感じられないのと、どこを目指しているのかがいまいち伝わってこない。もともとWWEがヘビー級重視なのはわかっちゃいるけど、二人ともややキャラクターが先行しすぎているような気がした。欲を言えばここに戸澤がいてほしかったなあ。試合はセドリックの勝ち。
KICK OFF ショー第3試合 女子バトルロイヤル
ここで、カイリ・セイン登場。ただし「一軍」は自身のテーマで一人ずつ入場するのに対して、NXT勢はまとめて入場という違いはある。でもベイリーやサーシャがでてくると確かに空気が変わるからこれは仕方ないかな。
現在はNXTとはいえ、レッスルマニア34で登場した初の日本人選手!ということでどうしても彼女に目が行ってしまう。が、目立った活躍はなくいつの間にか試合権利を失っていた。このメンツの中で目立つのはなかなか一苦労である。でられただけでもマシとはいえ、もう少し存在感を示さないと一軍入りは厳しいかも。
試合は親友?のサーシャを蹴落としたベイリーが勝利したかと思われたが、実はナオミがまだ残っていて、ヒップアタックを決めてからベイリーを落としてナオミが優勝。
第1試合 インターコンチネンタル王座トリプルスレット戦
ザ・ミズ(王者) vs. ×フィン・ベイラー vs. 〇セス・ロリンズ
トリプルスレッドマッチは誰か一人が勝ったらその勝者がチャンピオンになるルール。従って王者ミズが絡まないでもタイトルは移動する。散々RAWでも煽りまくっていたこの試合は取り巻きの介入もなく、実に純粋に3人の実力が惜しみなく発揮された好勝負。なるほど、WWEがこの試合を「つかみ」に持ってきた理由がわかる。
展開は非常に目まぐるしく、スピード感あふれる内容に、会場も大盛り上がり。いつになくバカ丁寧に因縁を積み立てていったカードだから当然といえば当然。中でもやはり日本時代でもトリプルスレッドの経験があるベイラーの動きはほかの2人に負けず劣らず。非常に中身の濃い一戦だった。
しかし、状況を正確に見ていたセスの妙技ピース・オブ・マインドでフィンが一瞬のスキを突かれてピンフォール負け。タイトル移動にミズは呆然としていたが通常のRAW(ミズTVとか)でまた散々愚痴りそうな感じもする。
第2試合 スマックダウン女子王座戦
〇シャーロット・フレアー(王者) vs. ×アスカ
正直、私的にはこの試合がベストバウト。2年半の無敗記録をひっさげて満を持してのタイトル挑戦となるアスカ。一方、使えるものは何でも使おうと、父・リックのテーマ曲に乗って(後半は自分のテーマ)シャーロットが入場。
初対決ながら裏の読みあい、手の探り合いが実に刺激的。私は正直シャーロットの実力を見くびっていたのだが、彼女にはフレアー家のDNA以外にもうひとつ強力な武器を持っていたのだ。それは身体の柔らかさ。
もともと女子にはその柔らかさゆえに関節が決まりにくいものなのだが、シャーロットの身体の柔らかさは突出している。アスカの関節技も難なくすり抜けていく上に、フレアーファミリーDNAのインサイドワークで、アスカとの読みあいにも難なく勝ってしまう。これが才能のなせる業かと正直舌を巻いた。
最大の見せ場はサブミッションの攻防からアスカがアスカロックでタップアウトを迫るものの、シャーロットはここからするりと抜け出し、スピアーを叩き込んで逆転。ついにアスカをエイトロックに決める。
この場面でアスカが体を入れ替えると、シャーロットは逆に足が決まってしまうのだが、アスカを反転させる前にエイトロックのブリッジを強固に固めるシャーロット。あれでは反転することはまず不可能。
まさかのエイトロックでシャーロット王座防衛。試合後、健闘を称えたアスカとはがっちり抱擁。素晴らしい試合だった。無敗伝説はとぎれたけど、まだもうひとつRAWのベルトも残っているし、ぜひともアスカには再チャレンジしてほしい。
ここで観客席で試合をみていたシナにレフェリーがかけよるとシナが大急ぎでバックステージへ。この試合でも散々会場でカメラに抜かれていて相当鬱陶しかったのに、シャーロットとアスカの試合の余韻までは消さないでほしかった。これにはさすがに「ジョンシナ・最低」と画面前で激怒してしまった(笑)
第3試合 US王座フェイタル4WAY戦
ランディ・オートン(王者) vs. ボビー・ルード vs. 〇ジンダー・マハル vs. ×ルセフ
正直、ルセフとオートンがやたら頑張っていてほかの2人はあまり目に入ってこなかったのだが、あの頑張りに免じて個人的にはルセフにベルト巻いてほしかった。試合は意外とあっさりそのルセフが負けて、ランディのベルトはマハルの手に。
第4試合 ミックスドタッグマッチ・ラウディ・ロンダ・ラウジーデビュー戦
〇ロンダ・ラウジー&カート・アングル
vs.×ステファニー・マクマホン&トリプルH
入場してきたときのステフの体つきにまずびっくり。RAWのPVでは散々「鍛えてます」アピールをしていたが、本当にこの短期間で身体を一回り大きくしてきていた。これはびっくり。普段ほとんど試合をしていないHHHも身体をがっつり絞ってでてきていた。さすがこの夫妻はこういうところが本物のプロなのだ。つくづく頭が下がる。
序盤はHHH対カートでちょこちょこステフが邪魔に入るという形で、試合には介入していたのだが、中盤でロンダとは激しい激闘を繰り広げる。正直、ちょっと絡んで終わりなのかと思いきや、技もがっつり受けるし、腕ひしぎのガードやパンチ・キックの防御も完璧!そしてロンダが体験していないプロレステクニックでももと五輪メダリストを翻弄!中盤のステフショーには感嘆するばかりだった。もちろんHHHも黒子には終わらず、ロンダにも容赦しなかったのが、逆にすがすがしかった。
ロンダも意外にプロレスに順応していて、そこにUFCスタイルを混ぜていくという感じ。しかし彼女はやはり表情が実にプロレスラー向き。ファイタ―の顔とでもいうのだろうか?本当にいい表情をしていた。
終盤はアンクルロックとアームバーの競演もみられ、五輪コンビは大活躍。ついにHHHを分断したのちにステフを腕ひしぎにとらえたロンダがタップアウトを奪ってデビュー戦を白星で飾った。
第5試合 スマックダウンタッグ王座トリプルスレット戦
ウーソズ(王者) vs. ニューデイ vs. ブラジオン・ブラザーズ
この試合が正直位置的に箸休めになってしまった。ブラジオンとは急きょ因縁ができてしまったニューデイとウーソズが協力して闘う場面もみられたが、正直コフィの活躍以外はこれといってみるところがなく試合終了。
第6試合 シングルマッチ
×ジョン・シナ vs. 〇アンダーテイカー
シナが意気揚々と出てくるが、暗転して出てきたのはアライアス。歌いながら入場してきたアライアスを不機嫌そうにやっつけるシナが面白い。会場も大アンダーテイカーコールで待ち望むも、肝心の墓掘り人は出てこない。
そこで2度目の暗転。リングには墓掘り人の帽子とコート。退場しかかるシナの目前で雷鳴がなり、さっきまであった帽子とコートが忽然と消える。すると三度場内暗転し、不気味な鐘の音。大歓声に包まれる会場に、今度こそデッドマン登場!この焦らしに焦らす演出はさすがWWE!
個人的には大阪城ホールで観戦した新崎人生対アンダーテイカーの試合を思い出す。あの時はガラガラだったホールがテイカーの入場とともに観客の反応が大爆発したのだ。あの「爆発」はたとえガラガラの会場だろうと、超満員79000人の会場だろうと変わらない。それが素晴らしい!
試合自体は正直シナがテイカーに合わせていたのは仕方ない。1年に一度しか試合しないテイカーのコンディションをどうこう言うのは野暮だろう。
往年のムーブを一通り見せて(ロープわたりまでやった!)ツームストンでデッドエンド。もうこれだけで十分。しかし、アンダーテイカーというラストカードを引いてしまったシナがこれからどうしていくのか?棚橋みたいに扱いには困るだろうなあ。シナはこの試合のせいで、さらに扱いづらさに拍車がかかってしまった。
第7試合 タッグマッチ.ダニエル・ブライアン復帰戦
〇ダニエル・ブライアン&シェイン・マクマホン
vs.
ケビン・オーエンズ&×サミ・ゼイン
もはや名実ともに大ベビーフェイスと化したジェインが先に入場。一説では入院していて、レッスルマニアに出られるかどうかが微妙と噂されただけにひとまず安心。
そしてこの試合の主役、ブライアンが登場すると、79000人の大「Yes!」コール。もはや熱狂と言っていい。しかしたっぷり入場に時間を使ったブライアンとシェインは、テーマ曲もそこそこに背後から乱入してきたオーエンズとゼインに奇襲攻撃。
負けたらスマックダウン解雇がかかっているオーエンズ組はエプロンサイドにブライアンの後頭部を叩きつけ、シェインを孤立させてふたりでいたぶる。
最近のビッグマッチでは飛ぶことばかりがフィーチャーされがちなシェインだが、こうして試合すると体格差を除けば、きちんとしたプロレスのムーブができるから大したもの。年齢を考えても驚異的ですらある。
特筆すべきは徹底した憎まれ役を買って出たゼインとオーエンズが一切の手加減なしでシェインをボロボロにしたことで、しばらく場外でのびていたブライアンが救出に入ったり、タッチを求めたりしたりしただけで会場は興奮のるつぼと化す。
一度ブライアンに交代すればもうレッスルマニアは大Yesショー。試合自体は実にオーソドックスなベビーフェイス対ヒールのタッグマッチなのだが、事前にオーエンズとゼインが悪役ぶりを貫徹していたため、非常に見応えのある試合になった。
第8試合 RAW女子王座戦
×アレクサ・ブリス(王者) vs. 〇ナイア・ジャックス
レギュラー放送で、アレクスとミッキーが陰口を叩いていたことをリング上で知ることになったナイア。カート・アングルGMに泣きついたアレクサは、逆にGMから「レッスルマニアで決着をつけろ」と厳命されて実現したのが、このタイトル戦。
正直、シャーロット対アスカの方が上にきてもおかしくないのだが、RAWが歴史的にもスマックダウンの上にくるのはある意味仕方ない。
試合開始前からナイアは邪魔なミッキーを先に急襲。しかしミッキーを深追いするナイアは隙をついて背後から迫るアレクサの襲撃を受けてしまう。
インサイドワークとテクニックでは分があるアレクサだが、一回逆転を許してしまうと後はナイアの独断場。アレクサは悪役としての役割は全うしたと思う。ただ、ナイアが戴冠したあとのビジョンとなると、やはりアスカが出てきそうな気がする。ロンダではまだ早いし、さてどうなるだろうか?
第9試合 WWE王座戦
〇AJスタイルズ(王者) vs. ×中邑真輔
周りの期待値が高すぎるが故に萎縮したのか?天才二人を持ってしても、名勝負にはならなかった、というのが私のみた感想の全て。
想像するに二人とも「日本のスタイルでやらせてほしい」という申し出をWWEにしていただろうし、2人ともその気は十分だったと思う。序盤の静かな立ち上がりから、お互いの持ち味をすかし、急所にもガツンガツン入れていくスタイルは、お互いの矜持をぶつけ合うかのよう。ただ「これぞ、名勝負」にはならなかった。
観客も固唾を飲んで見守る感じがしていたが、チャントも入れられない、歓声もあげられない試合というのは、あきらかにWWEでは異質だった。しかし、日本から離れて2年余りで、AJと真輔のスタイルも微妙に往年のスタイルから乖離してしまっていた。
結果的にアメリカンでもない、オールドスクールでもない、日本スタイルとも違う中途半端な試合になってしまったのだから、プロレスはつくづくむずかしい。本人的にも、1.4の試合は超えたかったはず。でも超えられなかった。レッスルマニアに負けたのか?過去の自分たちに負けたのか?それはたぶん本人たちにしかわからない。
試合はスタイルズクラッシュでAJの防衛。試合後、AJを讃えると見せかけて、真輔は急襲。場外でキンシャサ弾を浴びせ、日本語で毒づいて去っていった。これは中邑真輔のヒールターンなのか?だとしても何とも後味の悪い試合になってしまった。
第10試合 RAWタッグ王座戦
×シェイマス&セザーロ(王者)
vs.
〇ブラウン・ストローマン&ニコラス
今までの流れでは、シェイマスもセザーロもシングルでストローマンに完敗している。こうなるとストローマンがひとりでタッグベルトを巻いてしまいそうだが、そこはいくらWWEとは言え、形だけでもパートナーがいないと、タイトルマッチが成立しない。
そこでストローマンは観客席を指差して、客席からひとりの少年(ニコラス)を連れてきてしまった。そして試合開始。たしかにニコラスはリングには立つが、物怖じしない。大したもんである。
とはいえなんかさせるわけにも、チャンピオンがするわけにもいかないため、セザーロとシェイマスが戸惑う間にストローマンと交代。あっという間に2人とも片付けてしまった。まあオチはある程度見えていたんだが、問題は防衛戦である。タイトル剥奪だとストローマンが暴走しかねないし、先が読めなくなってしまった。WWEだからやるだろとはおもったが、まさかまさか…。これだからスポーツエンターテインメントは面白い。
第11試合 ユニバーサル王座戦
〇ブロック・レスナー(王者) vs. ×ロマン・レインズ
アメリカのWWEユニバースたちはどう思っているかは知らないが、ロマン・レインズというレスラーを私は評価していない。スーパーマンパンチとスピアーだけで、スープレックスシティに挑むには無謀にもほどがある。確かにF5を受けきる技量はあるにせよ、それだけではブロック・レスナーは倒せない。
レインズはせっかくの血筋と甘いマスク、均整のとれた肉体を持ちながら、レスナーとは必殺技の説得力に違いがありすぎる。いくらWWEでもこればかりはどうしようもできない。
確かにろくに番組にも出てこないレスナーは、レインズの言う通り「特別扱い」と言われても仕方ない。しかし、レインズもまたある程度の特別扱いはされているし、微妙な人気のまま上で試合し続けるのもどうなんだろうか?
まあ、試合は予想通りだったわけだが、問題は再度UFCと契約がうわさされるレスナー。実際、ベルト持ち逃げの常習犯だけに、WWEフロントも安穏とはしていられまい。
後記
業界最大のイベント、レッスルマニアも1年を通せば通過点でしかない。どの試合もゴールではなく、次の物語のはじまりでしかない。さて、ここから次のストーリーはどう動いていくだろうか?かつて武藤敬司が「プロレスはゴールのないマラソン」と言う名言を残したが、WWEもまた月曜にはRAWを控えている。ゴールのないマラソンを走るのは、日本だろとアメリカだろうと変わらないのだ。
