九州プロレス『めんたい☆FESTA!2』(14.6.1 福岡天神・西鉄ホール)
イントロダクション
今年で二回目になるめんたいフェスタだが、不安と期待が入り混じって当日を迎えた。不安というのは、活動がほぼ地元でできなくなっている大阪系や沖縄系(皮肉にもデルフィンが大元に関わっているんだが・・・)レスラーが大挙して押しかける流れになるのでは?という危惧。人数増えても試合数は頑なに増やさない九プロではおのずと活躍できる選手が限られる。よって不定期参戦が多くなるので、線として見た場合の闘いの流れがぶつ切りになりかねない。
オープニング
一方期待は、戴冠後どんどん失速していく一方だった玄海が、藤田ミノルと阿蘇山と組み、武闘派集団を結成したこと。
とても魅力があるチームなんだが、これに対する正規軍がなんともこころもとない。筑前が復帰しても、今計算できる顔ぶれが、めんたい、純二、日田丸、じいちゃん・・・では、とてもじゃないが、将来真っ向から渡り合える気がしない。
討伐団がいてくれたらいい闘いもできようが、今となってはそれもかなわない。せっかくいい流れになりはじめているんだから、この流れをなんとか点ではなく線にしてほしいのだが・・・
①【ばってん試練の7番勝負!~第1番~】10分1本勝負
●ばってん×ぶらぶら(9分8秒 体固め ※高角度チョークスラム)ゼウス○
ばってんは、先日のTV番組ロケでの「ぬるぬるローション相撲」で太腿を負傷しており、入場時も松葉つえを使うほど歩行困難な状態。そこへ追い打ちをかけるように「試練」を与えるプロデューサーめんたいが送り込んだ刺客は、入場までばってんには完全シークレット!ということだったが、まあ先の流れからいうとそんな大した選手は呼ばないだろうとタカをくくっていた。が、入場ゲートに現れたXは、まさかのゼウス!ばってんはもちろん、会場が大きくどよめく。まるで罰ゲームだが、ばってんはなんとか平静を装ってばってん芸をゼウスの前で披露しはじめる。あまりに長いのでしびれをきらしたゼウスが猛攻するとたちまちヘタるばってん。あまりのパワーの差に、まったく歯が立たない状態。
しかし、そこは意地もあるのか、ゼウスのパワーにさんざん苦しめられながら急所攻撃や、しゃもじ攻撃、延髄、DDTと畳み掛けて一矢報いようと必死ではあった。ぶらぶらエルボーを決めるばってんだったが、会場のノリが悪く、何回もやりなおす。ここはこだわらなくていいのになあ・・・・ここで調子に乗ったばってんは再度、ばってんエルボーにいくんだが、当然あっさり首を掴まれ、そこからゼウスの高角度チョークスラムで完全KO。
なかなか器用な試合ができないゼウスではあるんだが、この試合に関しては大阪で磨いたスキルが役に立ったなあという闘いだった。一方ばってんは抵抗をこころみてその上でつぶされるという自分の立ち位置をよく理解していた。プロレスラーとして試合数が増えるたびに確実に進化しているばってんだが、芸人としてどんどん退化していってる気がしないでもない^^
②【じじいとオカマと蹴撃手~予測不能3WAYマッチ~】20分1本勝負
がばいじいちゃん VS ゴールデン・パイン VS ウォーターマン日田丸
○ウォーターマン日田丸(9分8秒 体固め ※ハイキック)ゴールデン・パイン●
バックステージからパインとじいちゃんに軽いストーキング行為を受け、マッチメイクに対し不満たらたらの日田丸。まあこの組み合わせなら3WAYよりハンディキャップマッチでもよかったような気がするが、やっぱここは頭の柔軟性がためされるところ。日田丸はバチバチ系だし、じいちゃんはマイペース系となると試合を組み立てる役目はおのずとパインちゃんになってくる。最初はパインちゃんとじいちゃんが手を組み日田丸に迫る展開になった。日田丸はパインちゃんを攻めればセクハラ扱い(胸を触ったことで「男だろ?これ!」と日田丸は抗議したが受け入れられず)じいちゃんを攻めれば、老人虐待でブーイング。やる気を失った日田丸を尻目に、パインとじいちゃんの攻防が開始。一見お年寄りには優しいふりをしていたパインちゃんも勝機となると本性を表す。トップロープに上ったじいちゃんを雪崩式で投げようとするパインちゃんを、杖でふんばり投げさせないじいちゃん。逆にパインちゃんの手首をひねってロープ綱渡りへ。さらに杖を奪われたじいちゃんはスイッチが入りいつもの高速化!日田丸も加わったところで再び、じいちゃんとパインちゃんが手を組む。じいちゃんが杖で急所攻撃を繰り出すとパインがキスというW猛撃に悶絶する日田丸。だが、ここでスイッチがはいって開き直った日田丸はパインちゃんと急所クロー合戦を展開。さらに、自らキス攻撃となりふり構わない展開にもっていってしまった。これにうろたえたパインちゃんへ強烈なハイキックを決め、そのまま片手フォールでのびたじいちゃんを尻目に何とか勝ちをもぎとった。こけるとしたらこの試合かなと思っていたけど、意外と面白い試合になった。やっぱパインちゃんが隠れたMVPかな?試合中や試合後も自ら売り子していたし、ああいう積極的な商魂は九プロも見習ってほしいところだ。
③【遺恨決着!?悪童更生計画】30分1本勝負
○旭 志織((6分35秒 卍固め)キシャーン●
3.23大会で因縁が勃発した2人の決着戦が今回組まれた。キシャーンを更生させるというテーマのある闘いで、九州での存在感を確固たるものにしたいという魂胆がまるみえの旭。
一方、キシャーンも前回、旭に教わった「なんか!」「キシャーン!」というコール&レスポンスの快感を覚え、連発。すっかり気に入っているようだ。試合は、意外にも正統派のテクニック合戦となり、見ごたえある攻防が続出。どっちも受けがうまく攻めても絵になるので試合は意外にもかみ合った。「なんか!」「キシャーン!」というコール&レスポンスで観客と一体となり更生したかのような闘いぶりを見せる。が、やはり根は悪党なんでついつい本能のままにテーピングを使ったチョーク攻撃など、いつものキシャーンに戻ってしまう。キシャーンの荒々しい猛攻を絶えきった旭は鮮やかなニールキックからの阿吽、
さらにガッチリと卍固めに捕らえ、レフェリーストップ勝ち。試合後、旭はキシャーンの健闘を称え、握手を求めると、キシャーンもしっかり握り返して更生に大成功・・・と思いきや、ラリアットからのチョーク攻撃で、あえなく轟沈。キシャーンの更生は失敗に終わるだろうな、という予想はついていたので至極当たり前の結果。だが、この物語は続いていくんだろうか?やるだけ不毛な感じもしてきたけど、実力者同士をこういう形でしか生かせないのはどうかなあ。いずれメインストーリーに絡むかもしれないよ、的な「含み」はもたせてもよかったと思う。
ここで休憩。今回は大会前にめんたい☆キッドのテーマにPVがついたのでそのお披露目と、休憩時間にはめんたい体操なる体操をめんたいが披露した。しかし自分の出番までにめんたいが出すぎるのはどうなんだろう?あのテーマ曲もメインで聞くころには辟易してきたし、体操自体微妙な感じがした。せめてドラゴン体操くらい突き抜けていたら面白かったのに・・・・
④【新入団選手デビュー戦~桜島大噴火!~】45分1本勝負
●田中純二(9分13秒 グランドコブラツイスト)桜島なおき○
元・大阪プロレスの瀬戸口、「桜島なおき」と改名し、九州プロレスデビュー戦!相手は、九州の門番こと田中純二。プロレスにはそれぞれ役割があるので、純二がそういう役回りを納得して引き受けているのであればそれでいいのだが、かつて九州男児最強を決める際に個人闘争の流れになったとき、純二も自己主張はしていたのだ。その気持ちを忘れてないのだったら、便利屋として使われている今の立場に異を唱えるような試合をしてほしかった。一方、桜島は一升瓶を片手に、桜島模様と薩摩の十文字をあしらったニューコスチュームで登場、大量の紙テープをあぎ、酒しぶきを宙にまわす。ビジュアル的には全然ありだが、かつて阿蘇山とコンビ組んでいたマスクマンの「桜島」や「せごどん」の存在はまた九プロお得意の「黒歴史」で片づけてしまうのかな?ランニングネックブリーカー、串刺しラリアット、ブルドッキングヘッドロック、バックドロップと畳み掛ける純二に対し、桜島は得意のドロップキックで形勢逆転。ブレーンバスター、ダイビングニードロップ、フィッシャーマンズスープレックスと、どんどん純二を追い込んでいく。息を吹き返した純二は、ブロックバスター、ダイビングヘッドバッド、さらにフィニッシュにいこうとしたが、これを読んでいた桜島は丸め込みを連発し逆転を狙う。まるで全女みたいだったが、桜島もなりふりかまってられないところだろう。鹿児島凱旋も決まっているし、鹿児島の新しい顔としてなんとしてでも定着しないといけない。その気持ちはよく伝わった。
純二の会場中に響き渡る強烈なヘッドバッドが桜島にさく裂し、万事休す、と思われたが、
執念の桜島は、ガッチリとグランドコブラに捕らえ、3カウント。先輩の価値をさげずに辛勝という形にもっていった桜島はなかなかできるなとは思わせた。たぶんやり方次第では手薄な正規軍の柱にもなり得よう。ただし、その代わり純二の位置は門番止まり。ここらへんに九プロの闇をみた気がした。
⑤【めんたい☆フェスタ!2~新武闘派集団決起~】60分1本勝負
めんたい☆キッド&●台風&ビリーケン・キッド 対 玄海○&阿蘇山&藤田ミノル (19分55秒 片エビ固め ※玄界灘)
全方位に喧嘩を売ると正義でも悪でもない新武闘派集団を結成した玄海。玄海に賛同した阿蘇山、藤田と組み遂に本格始動となった。ミノルを全面的に信用してないとはいったものの、いざ入場してみればそこまでギスギスした感じはなかった。阿蘇山とはもともとが師弟関係だからいいとしても、やっぱそのギスギスがどう変化していくのかもみてみたかった。対するめんたい軍には、同じキッドの先輩・ビリーと、この日、復帰戦となる台風が加わる。このあたりに九プロ正規軍の屋台骨のもろさがみえる。やっぱ緒戦から助っ人を頼むというのはそうかとは思う。しかし一方でこれが復帰戦になる台風は意気軒昂に阿蘇山を狙っていく。がむしゃらに向かっていくも、いかんせん今の台風には荷が重い。変わった、ビリーと藤田はスピーディな攻防でお客をわかしていく。このあたりはプロ的な攻防でよかったんだけど、せっかく3月に日田丸との遺恨が発生してるんで、ここにビリーではなく日田丸をいれたらもっと意味の出たカードになったと思う。玄海は、軽々とめんたいをリフトアップで抱え上げ、場外の台風&ビリーに投げつけるなど圧倒的なパワーを見せつける。初登場時以来輝きを失いかけていた玄海が久々にみせた光だったような気がする。この勢いで玄海軍は初結成とは思えない絶妙のチームワークを見せ、完全にビリーをローンバトルにしてしまう。でもこの辺は藤田&阿蘇山にかかればどうってことない仕事ではあったと思う。めんたいも玄海&阿蘇山へ2人まとめてプランチャを炸裂させるなど大奮闘はしたし、めんたいに触発された台風もトペ、さらにビリーは、玄海軍3人めがけてトペ・コンヒーロを繰り出すなど、空中戦に活路を求めて一時は逆転しかけた正規軍。だが終盤、めんたいボム、コーナーtoコーナーのミサイルキック、そして、めんたいスプラッシュでミノルを追い込んだものの、これを玄海がカット。阿蘇山は復帰戦の台風に照準をしぼり、強烈なマグマドライバーを決めるもこれもカット。試合は一進一退になりながら、だんだん玄海軍のペースになりはじめていた。ミノルのサヨナラツームストンでダウンする台風に、トップロープから玄海のダイビングエルボー、阿蘇山のマグマスプラッシュと畳み掛け、トドメは、玄海の完璧な玄界灘で台風を沈め、言葉通り、熱く激しい試合を見せつけた。
試合後、ゼウスがリングイン。玄海に詰め寄って「オイ!秀吉(玄海)!相変わらず強いやんけ!俺はな、お前と試合するのが凄い楽しみなんや!8月10日、博多スターレーン大会!大阪で試合入ってるけど、とっとと終わらして、新幹線でここに来る!俺は秀吉(玄海)と試合がしたい!ほんまはシングルがやりたいねんけど、大人の事情もあってな、まずはタッグからや。俺のゴッツイ相棒連れてくる!まずはタッグで、秀吉(玄海)とやらせてくれや!九州プロレス!頼むわー!むっちゃオモロイやんけー!」と挑発したが、なぜか全方位の喧嘩を売るはずの玄海は明言を避け、無言でリングを去った。この辺は「やってやろうじゃねえか」で応戦してもらいたかったなあ。
一方自身のプロデュース大会を勝利で飾れなかっためんたいは「人生は、明太子のように甘くはないようです。でも僕は諦めが悪いんです、絶対に諦めないんです!玄海が巻いている九州で一番強いベルト、絶対巻きます!」と改めて王座獲りを宣言し、昨年同様お母さんをリングにあげて、大会を締めくくった。全体的にはとてもクオリティの高い大会だったんだけど、いくつか気になる点もあった。
後記
まず今回チケットがソールドアウトしていたはずなのに、なぜか南側中央にぽっかり空いた椅子の列が最後までうまらなかったこと。ああいういい席は有料入場者に解放すべきで、来るかこないかわからない人の席に割り振らないでほしい。あれが仮に招待席だったとしたら、この日きたお客や、当日券をもとめたのに席がなくて仕方なく隅に用意された席に座ることになったお客さんに失礼だろう。芸術劇場でも同じことをしておいて、また西鉄ホールで結果的には同じ絵をつくってしまったのが気になってしかたなかった。あと、とても魅力的な玄海軍に対する今後が全く提示されなかったこと。ゼウスがせっかく喧嘩ふっかけてきたんなら堂々とうけて立てばよかったのに。で、めんたいフェスタ自体は昨年めんたいの10周年記念大会という意味合いで開催されたのに、なんでまた今年もやるんだろうという大きな疑問。産んでくれたお母さんとハグするのはいんだけど、その光景去年もみたし・・・・なんとなく試合内容はいいのに、ぼんやり締まってしまって、結局何がいいたのかがよく伝わらない空気になってしまったのが残念すぎる大会だった。
ちなみに試合前、新発売のばってんお面が気持ち悪くて「誰がこんなの買うんだよ」と思っていたら、なんとこの日一番に完売したらしい。ではもうこの大会は来年から「ばってんフェスタ」でいいと思う^^さて熊本を挟んで8月のスターレーンが待っているけど、正直どんなもんかなあというところ。気持ち的にはいまいち盛り上がりきれてはいないのがなんともなあ。でもまあ見守るしかできないしね。