19時女子プロレス34第二試合(2010年8月27日・木・埼玉アイスリボン道場)
第一試合アーカイブ
イントロダクション
第一試合が終わって、ここまでの数字がまだ1000には届いていない。なので実況のGENTAROがちいに「お前が面白いことすれば数字上がるぞ」と言い出す。
そして試合後の帯広が実況席に着くことになったのだが、汗もぬぐっていないので「お前汗くせぇ」とGENTARO。発言までフリーダムス。
Tシャツ着て帯広が戻ってきたら前振りVがはじまった。
オープニング
6月5日に乱入してカミカゼでさくらさんに宣戦布告して7.19でベルト奪取するまでの道のり。そしてインタビュー。
飛香がなぜボリショイを指名したのか?それはタイトル戦の前日にさくらさんがボリショイに負けていたからだった。ボリショイに負けたさくらさんからとったベルトに意味があるのか?考えた結果、第一挑戦者はボリショイにしたかったと。
一方のボリショイは「あれだけできる15歳は凄い」と素直に王者を絶賛。そして夏休みを全てプロレスに賭けているのもすばらしいと。だが「負けて悔しがるというのもまた夏だから。」とキャリア21年のプライドもちらりと見せる。
このモードは完全にスイッチ入っているな。少なくとも完全に格下扱いした発言はどこにもなかった。こういう時のボリショイは怖い....
戦前から「飛香が勝って初めてニュースになる試合」と勝ちを義務づけられたかのようなあおりがあって、「王者」を必要以上に意識していた感じの飛香に対してボリショイはあくまで自然体。
[対戦カード] 第二試合:ICE×60選手権試合20分一本勝負
●<王者>みなみ飛香(8分21秒 掌底→片エビ固め)○<挑戦者>コマンド・ボリショイ(JWP=当時)*飛香が初防衛戦に失敗・ボリショイが第10代王者に
入場テーマが流れたとき画像がとまったが、リロードして問題なくひかりの入場は見られた。ただ、インタビュー時にあったような気負いは感じられなかった。いい顔している。
ここで藤本つかさが「ボリショイカタくねぇ」とカキコ。そう、この日のボリショイは今までのボリショイではなくなっていたのである。
それを引き出したのは間違いなくさくらさんとアイスと19時だけど、あのJWPを開国させてトップを引きずり出したんだから間違いなく黒船である。業界内だけでだけど。
GENTAROも「そう君は挑戦者じゃない。チャンピオンなんだ」というあおりが一層飛香の勝ちを期待させる。ちなみに20分時間切れの場合はタイトル剥奪という厳しいルール。
ゴングから立ち上がりぐるっと回ってロックアップ。静かな立ち上がりである。王座戦の緊張感が漂ってくる瞬間である。
おしこむ飛香だが、するっと小兵の利を生かしたボリショイは股下を抜け出してあっという間にバックをとっている。素早い。切れ味抜群である。
回転してリストとり替えした飛香に対して即座にリストを取り返すボリショイ。飛香がローブを使って腕固めをすればボリショイも同様のワザを仕掛けていく。まるで「あんたのやることはお見通し」とばかりに不気味な様相を醸し出すボリショイ。
こんな相手にあったのは多分はじめてなんだろう。
カト・クン・リー式ロープワークを序盤で出してしまう飛香。しかしボリショイはこれにも惑わされなかった。なんと619でロープワーク中の飛香の足をすっと刈ったのだ。
だが、ここでひるむようでは王者ではない。コーナーに押し込めて背骨折りに。そしてハリキリキックと続け様に攻撃。
場外に転じても一回転ナックルを決めたり場外ランニングカミカゼを決めたり序盤から
もてるものを全部出していこうという腹か。
しかしいつもの飛香ならもう少し「タメ」があるはずだ。カミカゼも結局はブロックバスターホールドへの布石になっているわけだし。
そしてハリキリキック三発でフォールに入るがカウント2。そして不用意にまたカミカゼ狙い。おかしい。短期決戦にしては焦りすぎだ。今日の飛香はどこか変だ。
と思っていたらなんとその体勢のままスタンド式で腹固めを決めるボリショイ。関節技のバリエーションは変幻自在。ここにキャリア21年の怖さを見た。
そしてボリショイも完全に本気なんだと言うことをここで視聴者にもいやというほど
わからしめたのだ。飛香ピンチ!
なおもボリショイの厳しい攻めは続く。
飛香をグラウンドの変形卍に捕らえると今度はセカンドロープを使っての変形タランチュラ。そしてブレイクするや飛香の背中に蹴り一閃。そうボリショイの狙いは「世界一のブリッジ」を封じることだったのだ。それには肝の腰狙いが有効だということを「皆にわからしめた」ところが凄いところ。
秘策を惜しげもなく繰り出していくボリショイはもう完全に王座奪還に本気になっていた。いや、乗り気でなさそうに見えたのも実は三味線だったのかもしれない。
そのくらい心理戦としてのボリショイの「仕掛け」も見事だった。巻き込まれたふりして自分のペースに巻き込んでいたのだ。
仮に自分が望まなかったにしてもタイトル戦をノーギャラだからといって決して軽視することなく、またお客のいないリングだからということで手もぬいていなかった。
あろうことか膝付き式でアルゼンチンバックブリーカーで更に腰を攻め立てる。上背のある相手に小兵のボリショイが編み出したなにげに強烈なワザである。
これで飛香の動きがほぼストップしてしまった。再びローブの攻防になっても飛香の固め技はあっさりかえされ、張り手から顔面蹴りを見舞っても直後に下からするっと回っての三角締め。これがガッチリ入って飛香悶絶。
なんとかエスケーブしてさらにボリショイが畳みかけてきたところを返し技で回転足折り固め。しかしまたしてもカミカゼを乱発してしまう。
今日の飛香はワザの組み立てがめちゃくちゃだ。いつもの落ち着き払ったあの飛香はどうした?
スワンダイブからプランチャ、フットスタンプと決めていくが決定打にはならない。流れが完全に遮断されているからだ。
一瞬切り替えしてブレーンバスターにもっていき、そこから強引にブロックバスター.
ホールド。早い、早すぎるっ!やはり焦っていたのだ。
そしてボリショイの攻めが効いていていつものロックが出来ずにしかもニアローブだったためあっさり逃げられてしまう。
ただ、続け様にヨーロピアンクラッチを放つなどまだ奥の手は隠していたようだったが
それはボリショイが「させなかった」。
押さえ込みをはね返しボディスラムをDDTに。そして619。ふらふらになった飛香が
立ち上がったところにバチーーーーーンという音の聞こえるものすごい掌底が。
これでカウント3。8分21秒。新王者ボリショイ誕生。
勝利者インタビュー
試合後インタビューで「8分も闘っていたとは思わなかった。」と。もう少し早く片付けるつもりだったらしい。手足の長さとリングの狭さ(半歩くらい)をいっていたけど、その中でも自在に試合したボリショイの21年間のキャリアの重みは....素直に凄いとしか言いようがない。
そしてはじめて経験した観客なしのリングに関しては「カメラの向こうから多くの人に
見られている、応援されているという意識を感じた」とこれも肯定発言。
つい数ヶ月前まではユースト中継すら頑なに拒んでいたボリショイがここまで変わるとは...いや、いったん受け入れるとこの人は実は柔軟なんだな。そこに至るまでのハードルが高すぎて。
そして第一挑戦者は9.23で飛香を迎え撃ちたいと。またJWPの大会でもさくらのパートナーとして飛香を呼びたいと。飛香については絶賛だった。
敗者インタビュー
一方の飛香はリング上で大の字。帯広があわててフォローに入って実況席に連れて行くが泣きじゃくっている。
さくらさんが出てきて「あんたこのままだとタイトル戦できないよ。やるのやらないの」と迫ると泣き顔のまま「やります」と宣言。よかった。心までは折れていなかった。
しかし夏の忘れ物が後楽園とは...遠い、遠すぎる。確かに本興業への呼び水として19時は存在するモノだけど、やはり19時でおきたことは19時で決着つけてほしい。タイトル抜きでもう一度ボリショイとは19時で闘って欲しい。
そうでないと後楽園いけない人の方が多いんだから。東京の人だけに見せるために
こんなにひっぱんたんじゃ不公平すぎる。
ラストで「宿題もまだです」と絶叫して米帯と共に「オー」をやったときの飛香に笑顔が戻っていた。それでいいんだ。
後記
ただ、19時の借りは19時で。これだけは忘れないで欲しい。夏の忘れ物は後楽園でとってもいいけど、冬休みでも春休みでもいつでもいいから、19時でかえすところを見せてくれ。待っているから。