[プロレス観戦記復刻版] 全日本プロレスRISE UP TOUR 2011 小倉大会(2011.5.27)

せかぷろ
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オープニング

今回は久々の小倉北での観戦。よく考えたら09年のがむしゃら以来だった。いったんドームを出て、昭和町の安い駐車場に車止めて徒歩で再度、小倉北へ。

平日なんでまだ列とかもできてなくてテキトーにまってたら道着着た子供たちがたくさん集まってきた。 最初は招待なのかと思っていたら意外にも実券客だった。

中に入ってみると二階は封鎖。一番安い席のど真ん中が私の席だった。やはりはじまったばかりでは客足もまばら。グッズ売り場に人もおらずしばらく観察してたらかなり離れたところで ヴゥードゥーマーダース(VM)が震災募金していたので心ばかりの募金してTARUさんと稔選手からサインをもらった。 普通パンフはサインNG なのだが、快くサインしてくださった。

やがてみんな気が付いたらしく売店のサイン会よりこっちの方が人だかりができていた。例によって大和のマイクがあって順当にはじまった。

がむしゃらプロレス提供試合 第一試合

YASU&TA-KI&〇SMITH VS●ダイナマイト九州&林祥弘&野本一輝
(11分50秒 ノーザンライトスープレックス→片エビ固め )

がむしゃら提供試合が組まれるという事で5.3の新日をけってこっちにかけたのだがレフェリーはバッチコイ雄大さんで、リングアナが木原さんというなんか見慣れない組み合わせでしかもこのカード。

焦点をどこにあてようかずっと考えていたのだけど、結局巌流島初の王者となった野本・林組を軸に見ていこうと思った。 YASUが混ざってるとはいえがむスターズの二人は 組むと負けなし(後で きいたらYASUと組んでも負けなしだったそう)という戦績の良さからタッグ戦線に名乗りをあげても面白いかなという感じで見ていた。

やっぱ普段と勝手が違うのか全員に緊張の色が見える。これはしかたない。 コールしてるのが木原さんだし 使ってるリングも全日のものだし、序盤は静かな立ち上がりに終始。

王者組はまだ相手を受け止めるだけの余裕はない感じがした。ましてやYASUを除けば先輩ばかり。この中でいかにして自分たちらしい試合を組んでいけるかがカギだなと思っていた。

空中戦ではYASU、蹴りとコンビネーションではタッグ王者が、 明るい部分では九州が見せ場を作っていくが なにせ相性の良さでは タッグ王者を上回る息のよさがSMITH組にはあった。TA-KIが上手に流れを寸断して、あっという間に自分たちにたぐりよせてしまう。

ここはキャリアの差みたいなものがあったかなあ。場数でいうなら経験も豊富なSMITH&TA-KIがいるのはYASUにとっても心強かったはず。中盤からはお互いがのびのびやっていて、やっとらしさが出始めたかな、といったところで、やっぱ第一試合というところを考えたのか、比較的あっさり目の時間でSMITHが畳かけて九州から勝利した。

後で聞いたら九州の負傷につけこんだという事だったが、まあこれは順当な勝利。逆にいえば今年最後 (今の所)のがむしゃらの試合でベルトとって初の小倉凱旋が白星で飾れなかった王者組には来年までの宿題ができたという感じか?

来年までにより王者らしくなれるかどうか?もういち若手としては見てもらえない。 そういう意味では重いものを背負ったなあと思った。タイトルの重みは色々だけど、やっぱとって防衛してなんぼというのはどこの世界で同じことだから。

第二試合

○大和ヒロシVS●中之上靖文
(7分36秒ジャーマンスープレックスホールド )

雰囲気からいうとこれが第一試合でがむしゃらの試合はダークマッチっぽかったが、どこに出されてもそれなりの仕事ができるというのは大したもの。

実際汗もぬぐわず早速ジャージ着て選手誘導にあたるがむしゃら勢。さてプロとして「差」を付ける試合をするのかいつも通りの前座をこなすのかに注目が集まったが、展開は後者になった。 大和はKAIと比べいつの間にか便利屋になり始めてるというか小器用にまとまり始めている感じがした。

中之上は初観戦になったが武藤全日らしい若手といった印象。でもやっぱ全体的に格が違うというか大和あたりの階層が今一番厚いのでここを突破して上にあがらないとだめだな。

もっともそうやすやすと上にはいかせないという意地は大和にもあったが、なんかこれというテーマがないかなあという感じ
に見えた。

第三試合

○レネ・デュプリ&スーパーヘイトVSアステカ&●久保希望
(9分15秒 ダイビングボディプレス→体固め)

これは最近全日地方大会名物になっているローカルレスラー対全日というカード。 しかも華☆激対VM! でかくて動けて
頭もいいレネはもと WWEにいたワールド ワイドな選手である。

もとがつくとはいえいきなり世界レベルの相手。しかもヘイトとてけっして小さくはないのだ!!ここに今伸び盛りの久保がどう挑んでいくかが注目だったが、久保以上にアステカが張り切りすぎた感もあった。いや、一生懸命やるのは悪い事ではない。
久保にも見せ場はあったし。

だがどうもVMがおぜん立てした試合のようにしか見えなかったのも事実。ヘイト先輩とてSWSを振り出しに天龍の遺伝子と親父さん(ミツ・ヒライ)の遺伝子を持つ男。いままではかなりくすぶっていたけどこういう場面になるといい仕事をする。 とにかくVMの2人は体だけでなくプロレスの内容もワールドワイドだった。

正直中盤からデュプリが出てきた時点で勝ち目ないな、と思ったらその通りになってしまった。状況をよく見ていた ヘイトがアステカを切り離しデュプリがコーナー最上段から降ってきたらさすがの久保でも一たまりもなかった。 やはり世界の壁は厚かった。でも若い久保には得難い経験にはなったと思う。今度はシングルで・・・・ というのは早計かな?

第四試合

●渕正信VS○KENSO
(14分44秒ダブルニードロップ→片エビ固め )

カード発表があってまっさきに気になってたのが この取組。いやどういう 世界を魅せてくれるのか見当もつかない。ってか渕のシングルって生ではいつ以来だろう? 全く記憶にないんでおそらく初めてかもしれない。

そしてKENSO が登場し、四方のコーナーに上っては大鷲のポーズ (これは後で船木選手に聞いた)で「ビチーッと!」を決める。もう完全にKENSOワールドである。

とはいえ、あのベテラン渕でも相当困っていたみたいで、「さあ、どうしよう」という顔をしてたから余計面白い。とにかく悪役商会のような明るいモードでもなく普通の善対悪の構図もとれない。しかも相手は世界を見すぎた男。

若手のチャレンジマッチでもないし、レジェンドの渕をたたえる気持ちでKENSOが試合をするとは到底思えない。

そして実際・・・言葉では説明不可能なKENSOワールドが全開になった。約15分の間で出た技は3つくらいしかない。後はひたすら間で勝負するという、まさにワールドワイドな・・・いやほかに形容できないんだが、間が空くのを恐れるレスラーが多い中、あえて自分から摩訶不思議な間を作って平然としてられるKENSOってある意味天才かもしれない!

そして渕もよくこの 自分勝手な世界にくらいついていった。いやレジェンドにこういう形容は失礼かもしれないが本当絡みづらかったと思う。

ところがKENSOは 「お前!絡みづらいん だよ!」「お前気持ち悪い よ!」とあろうことか自分の事を棚に上げて渕を罵倒。

とうとう口でも試合の主導権を強引にもってってしまった。 いや、KENSOのプロレスはオンリーワン過ぎる! ここまでいくともう何やっても面白いというか許される存在になってしまった感がある。

もうこうなってしまうと会場のふっちーチャチャチャも全く効果なし。 渕もKENSOワールド にのっかかっていくしかなくなってしまった。KENSOはもうやりたい放題。腰の布を凶器に使ってレフェリーに注意されると「私なにかしましたか?」とすっとぼける。 それがまた変な具合に絵になってるのだ。

とにかく最後まで意味不明なんだけど目が離せないそんな試合だった。長くプロレスを見てるがこいういうタイプのプロレスは初めてみたかも。

休憩

ここで休憩。

ブースでは武藤のサイン会をやっていた。博多では撮影禁止だったがここでは撮り放題。という事はプロモーターによって差があるって事? VMのブースにはヘイト
先輩がいたのでまた募金してサインを求めたら「懐かしいTシャツ着てるねえ」と私の自作SWST シャツを見て話しかけてくれた。

なんでも本物ももってるそうだが、タンスにしまったままになってるらしい。実はこれ作る前に当時の映像でセコンドが着てるTシャツを確認したら恐竜のロゴは背中にあって(ジャンパーは表)そのことをヘイト先輩にいうと「へぇ、そうだったっけ?」といわれていた。自作だというと「好きな人は本当好きだよねぇ」と誉めてくれた^^

第五試合

●浜亮太VS○大森隆男
(9分10秒 アックスボンバー→片エビ固め

この試合は一転して物凄くわかりやすい試合。浜が黙って立っていて大森が動けばいいだけの話だからだ。大森が小さい選手でないのはもとよりわかってる事だがさすが旧・全日の遺伝子を持つベテラン。巨漢相手の仕事も難なくこなす。

いや、正直ここまで息の長いベテランになるとは思わなかったなあ。最近は真ん中あたりの試合を締める中堅になった感がある大森だが、新人の頃はまあ使えない奴だという 印象しかなかった。

それがこういう試合を組み立てて、ちゃんと浜の見せ場も作って最後はアックスボンバーで仕留めるという理想的な試合をしている。 KENSOとは違う形で、成長した選手かもしれないなあ。感慨深かった。

第六試合

太陽ケア&鈴木みのる&○曙&カズハヤシ&BUSHIVSTARU&KONO&ドーリング&稔 &●MAZADA
(15分57秒ボディプレス→体固め )

これはTARUいわく「VMオールスターズ対全日オール スターズ」の対抗戦という触れ込みだった。ところが意外な所に火種が残っていた。

VMのテーマが流れるとオールスターどころか全員総出で2階からあらわれた。一方の全日軍はみのるの風になれで登場。日本一性格の悪い男はそのままベビーフェイスになってしまっていた。これも凄いね。 久々の曙はまあもともと動く選手じゃなかったからそんなに劇的に変わった印象はない。ただ久々のリングを楽しそうにはしてたけど。

まあこういう形式の試合だから当然セコンドの介入があるわけで警備に ついてるがむしゃら勢はプロに敬意を持ってるので若手みたいに試合には介入しない。

ゲストで見てる有名人を試合に巻き込むことはあるけどそれもやっていいひとと悪い人を選んでるし。その辺のところはVM もわかっていたのだろう。 が、ここで意外な再開が!「アステカ、コノヤロー!」 とTARU自らセコンドにいたアステカに突っ込んでいったのだ!

そうかつて「新しい波 」として火花を散らしたレッスル夢ファクトリー時代、TARU・・・いや当時は多留嘉一がプロレスラーとしてプロレスのリングにあがりはじめた時、夢ファク側の中にいたのがアステカだった。 闘龍門にも参戦しているアステカだけど、その時はTARUの役回りはクレイジーMAXのマネージャーだったので接点はそれほどなかったはず。 にも関わらずアステカ狙いにきたのは・・・・

私が思うに、TARUさんは「あの頃」の続きとして手荒い表現で再会の挨拶をしたのだろう。仮にそうでなくてもこっちはそう思って観てしまう。新しい波ももうお互い 40代。でもあの頃の幻影が一瞬でも見えたのは嬉しかった。

だがやはり全日所属ではないのでアステカも手は出せない。 が、VMにヘイト先輩やデュプリが入ると正規軍もやられた若手にアステカまで混ぜてVMにお返しする一幕も! いつの間にか12人・・・いや14人タッグになって いたが、最後は曙がMAZADAを圧殺する というまあ定番のやりかたでフォール勝ち。アステカともども勝ち名乗りをあげたのだった。

第七試合 (メインイベント)

諏訪魔&船木誠勝& ●近藤修司VS ○真田聖也&征矢学&KAI
(25分03秒 ランニングエルボー→片エビ固め)

ここは、チャンカンで売り出した真田というブランドをかつて鈴木みのる「プロデュース」?でエースの座をつかんだ諏訪魔がどう引っ張り上げるか?が最大の焦点になったと私は思う。

要するにチャンカンでいくら活躍したといっても都心部だけの現象で直に全国にお披露目するのは実質これがはじめて。 まあ昨夏ごろから徐々に上の選手を食い始めていたからメインが務まる顔じゃ ない・・・とは思わなかった。が・・・・ 劇的に変わったか?といわれればそうではないとしかいいようがない。

おまけにアジア再挑戦に一歩前進したとはいえ相棒のesにとってもメインは重荷だったと思う。格だけ見ても三冠現王者の諏訪魔、そしてその諏訪魔をして「強い」といわしめる船木が相手である。

鈴木みのるを破ったとはいえ、まだ経験不足な感はアリアリだった。そうなると船木は ともかく諏訪魔にこうしたおぜん立てができて真田 たちをひっぱりあげる 事ができるかどうか? 総合力ではどう考えても差がありすぎる相手に対してメインの洗礼をウケさせて同時にメインの試合を成立させるという相反する ミッションを完墜しないと真の王者たりえない。

はっきりいってしまえば去年の今頃の諏訪魔だったらそれは無理な仕事だったと思う。しかし王道の継承として武藤からバトンを受け継いだ者の使命としてこれはやらねばばならない。

その責任において諏訪魔は仕事をこなしたし船木も的確なサポートをしていた。 ただ問題はまだまだ自分たちの事で手が一杯の真田達である。もうひと頑張りしないとなかなか「よくやったぞ」の域は出ないと思う。全日お家芸の長いタッグがこなせるだけの力量はつけてきたので後はそれが持続するかどうかだろう。

そういう意味ではこの日の真田は勝ちこそしたもののとても次期三冠挑戦なんて道はみえないし、esの二人も世界タッグまではまだ遠いかなといわざるを得なかった。

後記

興業的には満足度の高いものだったが、パッケージとしてはまだ真田達がメインディッシュになりきれてない印象があったので、そこは差し引きかなあ? ものになるまではもう少し時間が必要な気がした。多分次は秋(下関)になると思うんで、そこまでにはなんらかの成果は残しておいてほしいなあ。

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