[プロレス用語辞典] (サ行) 差し替え
配信時代の問題
今回のプロレス用語辞典は(プロレス入場テーマ曲の)「差し替え」です。
これはインターネット配信によって浮き上がった新たなる時代の問題点といえるでしょう。
権利を得るには
そもそもテレビ局や放送局などは音楽の権利関係を管理する団体と契約を結んでおり、それによってテレビで流す権利を得ています。
しかし、例えば新日本プロレスワールドやインターネットPPVはその対象外になっていることが多く、自由に音楽を流すことができません。
旗揚げ記念日では
そこで会場使用音源に被せられる形や、全く別の音源を差し替えたりしているため、画面からは聴いたこともない曲が流れてくるわけです。
それを逆手にとって、2022年の新日本「旗揚げ記念日」は、ワールドでの放送を後日にし、CSテレビ朝日独占放送にしました。
同じ条件で
これによって、入場テーマ曲に関して言うと、会場とCSで見ていた視聴者とは同じ条件で楽しめたわけです。
ただ、旗揚げ記念日に限らず、入場曲の差し替えや消音はNJPW WORLDの不満点としていつも上がってきます。
権利は別にある
ざっくりいうと「音楽をテレビで流す権利とインターネットで流す権利は別にある」ということになるでしょう。
テレビには大口のスポンサーがついていてその分のお金を払ってくれているわけです。その中には当然音源に関する権利料も含まれています。
権利を買っているから
しかしインターネットはそうではありません。
入場曲が流せている選手の楽曲は、おそらく新日本がそれらの権利を買うなりして持っているためです。
会場と同じ
自社が権利を持っていればインターネットだろうがなんだろうが自由に流すことができます。
海外の場合、WWEやAEWが巨大な額で権利自体を引っ張ってきているため、会場使用音源と同じ楽曲が画面で見ても流れてきます。
AEWと新日では
そして入場曲が流せない選手のテーマ曲は、新日本が権利を持っていないためだと思われます。
2022年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアに、AEWから参戦したウィーラー・ユウタ選手のテーマ曲も、新日本ではNJPW STRONGで使用されているもので、AEW使用版とは異なっていました。
多額の費用
こうし問題は著作権問題がクリアさえできれば非常に良いのですが、そのためには多額の費用がかかってしまうわけです。
つまり、現状では権利管理各団体に支払うコストを捻出するのが難しいと思えわれます。
収益にならない
仮に出来たとしても支払額が大きすぎて、現行の視聴料では収益にならないということですね。
この先会員数が大台を突破する、もしくは月額料金の値上げなどに踏み切れば可能なのかもしれませんが、おそらくライバル他社との差を明確にしないと、値上げは強みどころか弱みになりかねませんからね。
解決策?
解決策として考えられるのは、権利を持っていない曲に関しては、権利を完全に買い取ってしまうという手があるでしょう。
ただ、音楽の権利関係はかなり複雑です。それもこれもある程度はお金が解決してくれる問題です。
コストは誰が支払うか?
あるいは、WWEのように自団体のテーマ曲は全て団体が権利を有するようにオリジナルにしてしまうというのも手です。
入場テーマ曲の「差し替え」問題は、コストにさえ目を瞑れば大きく改善することはできますが、値上げには踏み切れない、となるとこの問題は団体か、視聴者かが負担をする以外方法はないのかもしれません。