プロレス的音楽徒然草 Second Rendez-vous PartⅡ
Rendez-vousの意味
今回は創世記のRINGSにおいてコマンドサンボ旋風を巻き起こしたリングス・ロシアのヴォルク・ハン選手の入場テーマ曲「Second Rendez-vous PartⅡ」をご紹介します。
Rendez-vousというのはフランス語で「集合」とかいう意味があるそうです。
この曲はジャン・ミシェル・ジャール (JEAN-MICHEL JARRE)の「Rendez-vous」(邦題:スペース・ランデブー)というアルバムの二曲目に入っています。
仏を代表するシンセ奏者
ジャン・ミシェル・ジャールはサンプラーや電子音などによる効果音を多用した独特の作風を持つ、フランスを代表するシンセサイザー奏者です。組曲形式で一枚のアルバムをなす作品が多いのですが、「Rendez-vous」もその例にもれない一枚です。
ソビエト・ロシア系選手の入場テーマ曲というのは不思議なもので「THE RED SPECTACLES」にしても、この「Second Rendez-vous PartⅡ」にしても、直接的にソビエトやロシアを表現した楽曲ではないのですが、いざ、当てはめてみるとこれがイメージにピッタリマッチしていることが不思議なのです。
原曲は約10分
ちなみに原曲の「Second Rendez-vous PartⅡ」は約10分もあるため、入場バージョンは編集したうえで、ヘリコプターの音がかぶせられています。
ちなみに「Rendez-vous」はwikipediaによると、
1986年4月5日にヒューストンで開催されたヒューストン市政150周年記念、テキサス州誕生150年及びNASA・ジョンソンスペースセンター開設25周年を祝うイベント「ヒューストン・フェスティバル」での野外パフォーマンス「ランデヴー・イン・ヒューストン」の為に作曲されたアルバム。
とあります。ロシアとは全く反対方向のアメリカでのイベント用に作られているというのが大変興味深いですね。にもかかわらず、イメージ的にぴったりはまっているというのは、選曲した人のセンスが一枚上手だといえるわけで、つくづく脱帽せざるをえないなと私は思いますね。
前田対ハンの衝撃
ヴォルク・ハンといえば、やはり来日初戦で前田日明をギブアップさせたクロスヒールホールドの鮮烈さにつきます。おそらくクロスヒールが本格的に日本で披露されたのは、前田×ハン戦だったと思います。あの衝撃はいまだに忘れがたいものがありますね。この一戦でクロスヒールホールドといえばヴォルク・ハンというイメージが定着したのではないかと思います。
クロスヒールホールドは、アキレス腱固めの体勢から相手の両脚を交差するように固め、肘で絞り上げることによって交差させる際に上になる脚はアキレス腱、下になる脚は膝を極める複合技です。
技に入るプロセスは仰向け寝の相手に仕掛ける他、飛び付き式やビクトル投げからのスイッチなど多岐多様に存在するため、ハンは関節の魔術師とも呼ばれました。
マジシャンでもあった
ヴォルク・ハンの代名詞になったクロスヒールホールドはコマンドサンボの奥深さを知らしめた技として一躍名を挙げたわけです。
別名ロシアの狼とも呼ばれたハンですが、笑っていいともなどに出演した際にはマジックも披露しており、関節だけでなく実際にもマジシャンだったといういろいろな面をみせてくれた選手でした。創世記の総合格闘技や、のちのプロレスにハンが与えた影響は計り知れません。
今もなお、ハンの雄姿とともに私の頭の中には「Second Rendez-vous PartⅡ」が鳴り響くのです。まさしく名曲と呼べる一曲ではないかと私は思っています。