プロレス的発想の転換のすすめ(80) アイデンティティとプロレス
アイデンティティとは
今回はアイデンティティとプロレスのお話です。
アイデンティティとは、自分が自分であること、さらにはそうした自分が、他者や社会から認められているという感覚のことです。
日本語では「存在証明」と訳す人もいます。
認めてもらう中で
通常人間は、単なる自分の思い込みではなく、他者から「あなたはかけがえのない人だ」「あなたの能力はすばらしい」と、認めてもらうなかでアイデンティティの感覚が生まれていきます。
しかし、社会から否定的に評価され、否定的なアイデンティティをもたらしてしまう事もあります。
アイデンティティの危機
そうした人たちの心理的な負担は大きく、自分には価値があると思いたいのに、周りから否定的な評価を受けてしまい、アイデンティティの危機を経験することが多くなります。
アイデンティティの確立に失敗し、確立できないままでいると、自信を失い、自己嫌悪感や無力感に陥り、自分自身で物事を主体的に選択することができなくなります。
存在証明の確立に失敗すると
私個人の話に置き換えると、小中学校ではいじめを受け、社会人デビューしてからも仕事になじめず、結局生きづらさを抱えたまま、何度も失職し結局鬱になりました。
では、存在証明の確立に失敗した人は永遠にアイデンティティーを確立できないのでしょうか?
ドラッカー曰く
実はそうではありません。マネージメント研究の第一人者のピーター・ドラッカー氏は、
「効果的な行動のあとには静かな振り返りを行おう。その静かな振り返りからより効果的な行動がうまれる」
と述べています。
振り返りや価値観を探求する
自らの言動や行動を振り返ることによって、自らの価値観についても知ることができます。その中で自分が大切にしていることが見えてきます。
振り返りや価値観を探求することで見えてきた乖離などを一致させていき、求めている自分の価値観を体現し続けることで、自分のアイデンティティは自ら形成していくことができます。
生涯をかけて確立
自己認識は常に変化していくため、アイデンティティの確立は、生涯をかけて考えていく大きなテーマともいわれています。
プロレスの場合、レスラーは時に悪役に、時に善玉になることで、選手としてのアイデンティティを確立させていきます。
アイデンティティの積み重ね
日本の場合役割分担より試合内容が重視される傾向がありますので、若手としてデビューしたのち、試合を重ねることでキャリアを積んで、レスラーとしての自我を形成し、スター選手になっていきます。
そのアイデンティティの積み重ねを年月かけてみていくのもプロレスの醍醐味だと私は思っています。