プロレス的発想の転換のすすめ(76) こだわりとプロレス
職人7割、商売3割
今回はこだわりとプロレスのお話です。
これは、昨年知り合った大ベテランの寿司職人の大将から聞いた言葉です。正確には「職人7割、商売3割」と言われてました。
頭から爪先まで職人になると
どういう事かというと、職人の世界は10割職人脳になると、商売ができなくなるので、3割くらい商売の事が考えられるとお店を出しても続けられる、と大将は私におしえてくれました。
では、頭から爪先まで職人になるとどうなるのか?
悪い意味で「頑固職人」になる
大将曰く「そういう人は、自分で商売はじめなくて、雇われで終わるか、店出しても失敗する」のだそうです。
10割職人になってしまうと、商売のことを考えなくなるため、柔軟性がなくなり、いわゆる悪い意味で「頑固職人」になると大将は言われてました。
需要と供給が一致しない
ここから先はこの言葉を聞いて私が解釈したことを書いていきます。
人間誰しも好きな事だけして生きていきたいものです。しかし、需要と供給が一致しないのも世の常というもの。
商売=「あきない」
そこで頑なに「自分が出したいもの」を押し付けると、それこそ頑固職人になってしまいます。
商売というのは、 利益をあげる目的で物を売り買いすることですが、「しょうばい」だけでなく「あきない」とも読みます。
ひとりよがりになるよりは
飽きない仕事をするのならば、ひとりよがりになるよりは、3割くらい人様のことを考えてもいいのかもしれません。
では、逆に商売10割だと何が不都合なんでしょうか?
したい事を見失う
これも大将の言葉から少し引用しますが、商売の割合が高まると、味にこだわりがなくなり、商品がつまらなくなるそうです。
これを聞いて、私はこだわり(職人)より商売を優先しすぎると、他人の評価が気になりすぎて、自分が本当にしたい事を見失うのかもしれない、と思いました。
理念や夢を仕事に
プロレスでいうと、特にプロレスラー志望の方は、自分の理念や夢を仕事にしたいという理想を持っているケースが多いようです。
しかし、「うまくいく、いかない」の差はどうしても出てきてしまいます。
心掛けていてもなかなか
ニーズに合わせすぎると、自分がやりたくない事までやらないといけません。しかし、自分のやりたいようにやりすぎると商売にはなりません。
ここらへんのバランスがうまくとれてくると、歯車は噛み合い出していくのでしょうけど、心掛けていてもなかなか職人7割、商売3割とはいかないものです。
言葉に込められた力
大将はお店を続けて50年近いそうで、おそらく様々な経験から導き出した割合なのでしょう。
単なる上っ面ではない、言葉に込められた力のようなものを感じて、私も非常に勉強になりました。
私にも自分のやりたいことはありますし、それなりにこだわりも持っていますが、大将が言われた「商売3割」の視点はこれから学んで身につけたいな、と思っています。