プロレス的の発想の転換のすすめ(1)観察して想像してみる
心理的メッセージとは
私がこれからお伝えしたいのは、まず自分の心理状態を知ってみようというお話しです。人間が関わるものや、作り出したものには必ず心理的メッセージが隠されている、と私は思っています。
そのことに気付けたのは、私がカウンセリングを学び出してからなんですね。
自分のことって案外自分が一番知らないもので、自分が過去に書いたものを見返して、はじめて気がついたわけです。以前から書いているものを、自分で読み直してみると、かなりの部分心理面に着目していたことがわかりました。
意図したメッセージ
具体的にはたとえば好きなプロレスだったりすると「今この技は何を考えて出したのだろう」とか、映画だと「これは監督が何を伝えたくて作った場面なのかな」とかです。
特にプロレスに関しては、出された技に意図したメッセージが隠れている場合があります。
試合に隠れている意図
一例をご紹介しましょう。
2016年の8月、新日本プロレス真夏の祭典G1クライマックス決勝、ケニーオメガ対後藤洋央紀の一戦です。後藤からフィニッシュを奪ったケニーは、自分の必殺技に行く前に、ブラディサンデー、そしてスタイルズクラッシュを後藤に決めています。
ケニー対後藤
このブラディサンデーはケニーが当時ボスとして君臨するバレットクラブの初代リーダーだった、プリンス・ディビッド(現WWEのフィン・ベイラー)のフィニッシュホールドです。
そしてスタイルズクラッシュは同じくWWEに行った二代目バレットクラブのリーダー、AJスタイルズの必殺技でもあります。そして現在のリーダーであるケニーの必殺技「片翼の天使」につないで見事外国人初のG1制覇という偉業を成し遂げたのです。
ケニーのメッセージ
この試合から読み取れるのは、ディビッド、AJの思いを背負ったケニーの覚悟と責任感、そして2人の技に敬意を払いつつも今の自分を最強と認めさせる意味合いでも効果があったと思います。
さらにアメリカWWE行きを選択した前リーダー2人に対して、「自分は日本でメジャーになる」というメッセージも含まれていたと想像できます。
良い成果が出にくい時は・・・
こういう芸当をケニーはあの激闘の中でさらっと表現できてしまうのですから、まあ後藤には勝ち目はなかったですね。このようにひとつの技から読み取れるメッセージは無数にあります。
ちなみに私は社会人デビューしてからは、ほぼ20年接客業をしてきたのですが、仕事柄人間を観察し、自分なりに相手の心理状態を想像していたことも多々ありました。
接客業時代は楽しいことよりキツイことの方が多かったですし、そんな中で楽しみを見出すにはそれくらいしか方法を思いつきませんでした。
信念が強すぎると
その後病気になって、寝たきりから這い上がり、リハビリしながら、自分と向き合いつつ生きています。しかし、人間観察が義務だと思いながらやると続かないですよね。接客業時代がまさにそうでした。
仕事でも趣味でもそうですが、自分が「〜したい」という気持ちでないと、生きていても面白くないのですが、ついつい「〜せねばならない」事を優先しがちです。
仕事でも趣味でも「こうあるべきだ」とか「~せねばならない」という信念が強すぎると、力が入りすぎて楽しめなかったり、良い成果が出にくいことがあります。
まずは己を知る
しかし簡単に力を抜けと言っても普段から無意識に力が入っていると、そう簡単にはいきません。そこでまず自分を観察してみるのです。まずは己を知るということですね。
そのうえで、いろんな物事を観察して、それに自分がどう反応するかを知ることが大切なのです。すべてはそこからスタートするんですね。くだんのケニー対後藤の話に戻りますが、ケニーには「~せねばならない」気持ちで歴代バレットのリーダーの必殺技を繰り出したわけではないでしょう。メッセージとして「~したかった」からこそ、あの畳みかけはできたのだと、私は解釈しています。
色々な見方ができるプロレス
単に「勝ちたい」だけではない、「勝ちたい」をこえた何かを、見ている側に突き刺すこと・・・そしてその欲求を自身が誰よりも理解し、咀嚼したうえで繰り出したとしたら・・・もしかするとケニーがあの一連のフィニッシュにそういったメッセージを込めていたとしたら・・・・
プロレスって色々な見方ができますよね。だからこそ、いつまでも興味は尽きなくて、いつまでも見ていられるのだと私は思っています。
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