[プロレス読書感想文] プロレススーパースター本列伝・Theストロングスタイル 世界最強のプロレステクニック

[プロレス読書感想文] プロレススーパースター本列伝

プロレススーパースター本列伝・Theストロングスタイル 世界最強のプロレステクニック

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まえがき

選手生活引退後テレビの解説に携わっている私ですが、常々感じることは中継ではどうしても選手の紹介や、試合展開に重点を置かざるを得ず、レスリングというスポーツそのものの面白さ素晴らしさを、完全にフォローし得ないもどかしさです。

レスラーの本当の強さはその肉体とテクニックに秘められており、この意味でプロレスは全ての格闘技の集大成であると言っても過言ではありません。プロレスファンはもちろん多くのスポーツを愛する方々へ本書を送ります。

プロレスの教科書

1982年6月に刊行された「Theストロングスタイル 世界最強のプロレステクニック」は、新日本プロレスの鬼軍曹こと山本小鉄さん自らがモデルとなって、プロレスの基本技を図解付きで紹介している、いわば「プロレスの教科書」である。

テクニックはもちろん、試合前の練習、プロレスのルール、リングの構造といったところまで、事細かに解説が加えられている。

攻め合い、しのぎ合う

注目すべきは、「プロレスとは何か?」という疑問に山本小鉄さん自身が回答していることである。

小鉄さんが語っているのは、

攻め合いしのぎ合いを見せるのが、プロフェッショナルの格闘技スポーツであると理解すれば、プロレスにルールがないという風評の誤りに気付いてくれるだろう。(後略)

肉体がルール

そして「プロレスは肉体がルールであり、選手生命を奪う肉体への攻撃は、大原則として愚かである」と切って捨てている。

また「見た目より効果がない技も存在するし、その逆もあるというのは確かだ」としたうえで、観戦のポイントとして「”技の型”と”効果”の一般的知識を持った上で、どの技がどの場面で効果を発揮するかを判断することだろう」と書かれている。

テクニックを研究する

とはいっても「Theストロングスタイル 世界最強のプロレステクニック」が世に出た1980年代初頭は、ビデオすらやっと一般に普及し始めた時代である。

なかなか本を片手に、映像を見ながらテクニックを研究するというのも難しかった。

観戦の手引きに

しかし、「Theストロングスタイル 世界最強のプロレステクニック」は、当時まだまだプロレス初心者だった私にとっては間違いなく「観戦の手引き」にはなっていたのは間違いない。

ちなみに近年、SNSで物議を醸しだしたプロレスの手四つについてもこう書かれている。

以下引用。

組み合う瞬間から

プロレスリングのファンダメンタルポジション、つまり格闘開始の自然体、戦いの構えは各人各様によって違いがあるが、前後左右に自由に動けるよう、重心を低く安定させているのは同じだ。

バランスの取れた体勢のまま相手と組み合うが、この組合う瞬間から技は開始されている。次の技へ有利な体勢、相手のバランスを崩し体勢を取り合う。

この駆け引きは相撲の差し手争い、柔道の利き手の取り合いと同じだ。

レスリングの試合に「手四つの体勢」と表現されるのは、レスラー同士が片手を相手の首の後方にかけ、逆の手で相手の上腕を使う場合が多い。

この体勢で押し合い、もみ合いをしながら、技の機会をうかがう。そこで次の技を推測するのが楽しみというプロレスファンも多いようだ(後略)

実際にプロも使っている

この手四つに関しての意味合いも、現役・コーチを歴任してきた小鉄さんならではのものがあると思う。

余談だが、某選手から直接聞いた話では、今でもこの本の通りのやり方でヘッドロックをかけているそうだ。

実際に試合でプロが使っている技術であることは間違いないのだ。

お客様の満足のいく

なお、あとがきで、

プロレスラーは日夜の鍛錬はもちろん一般の方以上に精神を養い鍛えられた肉体とたゆまぬ努力で勝ち取った最新的な頭をもって、お客様の満足のいくレスリングを見せてほしいと思います。

ご一報くだされば

と苦言を呈する一方で、ファンに対して「わからないままにせず、ご一報くださればお答えします」と小鉄さんは書かれている。

結局、ご生前には聞かずじまいになってしまったが、この本に書かれているテクニックや練習方法が、口伝ではなくちゃんと形として伝わっていたら、プロレスの歴史もまた変わったものになっていたかもしれないと、今になって思う次第なのだ。

プロレス読書感想文
プロレス読書感想文について 私が感じた事を書いている プロレス読書感想文は、読んで字の如くプロレスにまつわる本を読んで私が感じた事を書いてます。 今のところ活字本が中心になっていますが、いずれコミックなどに広げていけたはいいな、と思っていま...






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