FMW暴走儀式2016最終戦下関大会観戦記(16.10.10(月) 海峡メッセ下関)
イントロダクション
超戦闘プロレスFMW「エンドオブサマー」シリーズ 最終戦観戦記←昨年の観戦記はこちらから
昨年のあまりに酷い伝説的な大会のあとにまさか一年ちょっとで下関にまたFMWがやってくるとは思いもしなかった。前回大会が四半世紀ぶりだったのに、どういう風の吹き回しだろう?
しかも休日なのに8階では入塾試験までやっているというのが、なんとも巡り合わせが悪い。16時試合開始とはいえ、どうせ定刻にスタートなんかしないだろうと思っていたら案の定、開場時間もずれまくり。
スタッフはほとんど地元のファンをグッズだかチケットだかで釣ったスタッフばっかりだし、もうハナから何も期待していなかった。今回もがむしゃら勢が出なければいかないつもりだったし。
▽シングルマッチ
◯パンディータ vs トゥルエノ・ゲレーロ×
最初はパンダの中の人ってあのひとが一日二試合するのかな?と想像していたが、出てきたのはひとまわり大柄な選手。まあ、中身が変わることはよくあるのだが、さて、そうなるとヘビー級には滅法強いゲレーロはより本領発揮しやすくなる・・・・と読んでいた。しかし・・・
今回のパンディータはルチャの動きはしないものの、なかなかのくせ者。ゲレーロとは真っ向からやりあうわけでもなく、パンディータのキャラを貫きながらゲレーロの間合いにも入らず、タイミングを狂わせていくので、思ったよりパンディータペースの試合になってしまった。
レフェリーのミスタースーを巻き込んだかと思えば、レフェリーとダブルでビッグブーツを決め、パンディータがカウントをいれるなどやりたい放題。終始パンディータの世界が崩れることなく、ゲレーロはいいところなしで敗れてしまった。本人的にはツメ跡も残したかったろうけど。
だから燃え上がるような試合には決してならず、非常に淡白な試合になっていた。もっとも大仁田が出る大会は大仁田の試合以外はすべて前座、もしくは露払いという考え方でカードが組まれている以上、これ以上の内容は望めまい。
▽FMW女子プロレス タッグマッチ
×ミス・モンゴル&さちこYOKOZUNA vs 花月&石橋 葵◯
FMW女子に居たのは実質ミス・モンゴルだけだが、なかなかどうして初登場のCPE/世界プロレス協会所属のさちこYOKOZUNAは初期のFMWにいた見世物小屋的雰囲気を醸し出す巨漢の選手。
171センチ、168キロというなかなかよそにはいない体格で、こういうのをどこからともなく見つけているモンゴルの人脈にはおそれいるばかり。本人もその見世物感を割り切ってやっているので、地方大会では受けやすい試合になった。
もっともこの体で動ける選手というのは正直男女通して浜亮太以外にはいないので、やはり石橋と花月が一生懸命動いて、要所をモンゴルが締める形でなんとか試合にはなっていた。
まあでも地方大会で一度見る分にはいいけど、そう長持ちしないだろうなあ。今の女子はスピード感重視のビジュアル重視だし、その真逆というというのはなかなか思い切ったことをしたなあという感じがあるけど。
どうでもいいんだが、私生活ではミセスになっているミス・モンゴルはリングネーム自体はミスのままままだった。
▽タッグマッチ
×佐藤恵一&HASEGAWA vs 新泉浩司&田中 稔 ◯
我らが新泉浩司が久々に下関登場。田中稔との蹴撃タッグは魅力的。かつて田中稔のキックによるKOは後楽園でみた対小坪戦や、海峡メッセでみたアステカ&ディアブロ戦でディアブロに放った一撃などが印象深い。HASEGAWAもキックが得意だし、やはりここはFMWのM、マーシャルアーツな部分を期待したくなる。
とはいえこの試合は正直田中稔が一人で引っ張り上げる試合になってしまった。新泉はその補佐という感じで、やっぱこのあたりはもっと前面に出て試合をしてほしかったなあ。田中稔とのタッグなんてなかなかない機会なんだし。露払い程度ではもったいなかった。
唯一見どころがあるなと思ったのは新人選手の佐藤恵一。今年全日を退団してWRESTLE-1に上がったところまでは知っていたが、まさかFMWにもあがっていようとは思わなかった。あのまま全日いてもどうかなあとは思っていた。
まあ系統はFMWも確かに全日系の団体ではあるんだけど。ただ、FMWにいてもWRESTLE-1にいても佐藤にはあまりいいことないような気がする。この試合はレフェリングのミスもあって全体的に締まらない試合になってしまった。これがメインだったら大事だけど、基本大仁田がいい格好すればすべてが丸く収まるので、やはりこの試合も露払いだったかな。
▽タッグマッチ
◯五所川原 吾作&藤田ミノル vs フレディー・クルーガー&W☆ING金村×
この試合からなぜか場内暗転。まあメインで鬼棒電流爆破を見せるための演出なんだろうけど、今回も音響がダメダメ。金村の曲はCDが音飛びしてかからず、ダンスなしで入場。フレディの時にはレザーフェイスのテーマをかけてしまうなど、もう90年代のダメインディー感がまるだし。
せっかく華☆激のMCsyujiさんがリングアナやってるんだから曲出しも頼めばよかったのに。このグダグダ感はFMWというより完全にW☆INGといってもいいだろうなあ。
そのうえ相変わらず、身体を鍛えてないのがまるわかりな吾作。巨漢は練習しないという典型のような選手で旧FMWでも散々チャンスをもらいながらことごとくそれをつぶしてきた。
おまけにみすぼらしい道着をきているので、余計に鬱陶しい。こうなるとフレディと藤田で何とか動いてほかの2人の分まで仕事をしないといけない。ある意味動ける選手が貧乏くじを引くというなんともえいない試合だった。ただ、ゼロワン時代以来の海峡メッセでもあり、大日育ちの藤田がFMWにあがるという絵はある種感慨深いものがあった。
▽下関初‼︎鬼棒電流爆破6人タッグデスマッチ
◯大仁田 厚&ダイスケ&久保 希望 vs 雷神 矢口&レザーフェイス&橋本友彦×
ガッツワールドのダイスケはこういう試合ではなくちゃんとした試合で久保や新泉と闘ってほしかった。正直大仁田の手下にしておくにはなんとももったいない選手。一方中身が気になるレザーはどうもかつての中身とは異なっている様子。少なくとも初代より一回り小さいうえに、チェーンソーは火花が飛ばないタイプ。まあ散々あちこちの会場を使用禁止にしてきた前科があるだけにそこは配慮したのだろう。ただ、この試合前に準備と称して鬼棒のセッティングが行われたのだが、有刺鉄線を張り替えるときのような緊張感はない。例のBGMはかかっているんだけどあまり盛り上がらない。しんがりで出てきた大仁田は「ここは(観客が)入ってないなあ」といきなり愚痴。そりゃあんたも営業来ないし、チケットを協力団体に丸投げするスタイルだったらこれが限界ってもの。そもそも去年、「もう二度と下関には来ない」とかいっておきながらしれっとまたやってくるあたりが嘘つき大仁田の本領発揮。
とはいえ序盤で矢口が大仁田の捕獲に成功すると最初に鬼棒爆破の餌食になったのは意外だった。正直久保を盾にして自分はおいしい所だけかっさらう気なのかなと思っていたので、自ら先陣を切ったのは予想外。とはいえ、中盤からテーブル破壊に行ったり、久保を電流爆破に巻き込んだり、いろいろやっていたけど、あまり試合自体は盛り上がらず、大仁田組がすんなり勝って試合後の大仁田劇場で締め。
後記
正直試合自体はどの試合も淡泊だった。大仁田FMWってこんなもんだといえばそれまでなんだけど。あと1年で引退だとかなんとかマイクで言っていたけど、絶対そんあことはないだろう。
藤田ミノル以上に一生プロレスに張り付ているに違いないし、よしんば動けなくなたっとしても電流爆破の利権は手放さないだろうからだ。前年はまさかのハヤブサ登場という全試合を天秤にかけてもおつりがくるくらいのポイントがあったけど、今回はがむしゃら勢が絡まなかったら多分行かなかったと思うし、実際そういう内容でしかなかった。
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