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[プロレス観戦記] 超戦闘プロレスFMW「エンドオブサマー」シリーズ 最終戦観戦記(15年8月30日(日) 山口・海峡メッセ下関)

2016/10/11

超戦闘プロレスFMW「エンドオブサマー」シリーズ 最終戦観戦記(15年8月30日(日) 山口・海峡メッセ下関)

がむしゃらプロレスの門司港大会をあとにして、本日二大会目のFMWに移動。海峡挟んでのハシゴ観戦はたぶんはじめての体験。そして、下関でFMWが大会を開くのは四半世紀ぶり。

前が下関市体育館で、ミスターポーゴが火気厳禁の会場で火焔噴射して以降会場が借りられなくなり、それ以降下関にFMWは来ていない。もちろん海峡メッセでははじめての開催、である。

日曜の夕方、しかも夏休み最後の休日開催という好条件下にもかかわらずロビーにいるのは、いつも下関近郊でみる顔ぶればかり。他団体がやるようなポスターを不法掲示するいわゆる「捨て看」すらやってない(まあ、法的に今はできないはずだけど)し、割引券のバラマキすらしていない。散々割引券ばらまいているドラゲーですら、春にきたときは150そこそこ集めるのがやっとというのが、今の下関大会の現実。

三年前に約8年ぶりに開催した新日本ですら、半スペースを7割埋めるのがやっとだったのだ。いくら大仁田の知名度をもってしても、何も営業しないで満員になるなどありえない話である。地方では継続開催していかない限りは、たとえ今の飛ぶ鳥を落とす勢いの新日本であろうとも、下関のハコを満員にすることは叶わないのだ。

その大仁田はなんと試合開始五分前に会場いり。あまりのオーラのなさにだれも気がつかない。そして当然のように試合開始時間は遅れるという、90年代のインディータイムが忠実に守られたものの、かなりの数の空席はついに最後まで埋まることはなかった。

まあ、グダグダインディー臭はそこかしこに再現されており、音響はしょぼいし、特設ライトを設置したのはいいが、ピンスポが眩しすぎて選手がどこにいるのかわからない。しかも上からつるしている照明はやたら暗い!

リングアナ氏はなんか退職したばかりのサラリーマンみたいな風体。メインの声の張り上げ方だけ荒井さんバージョンだったけど、どうせなら腰が折れるくらいにきっちり90度曲げて四方に頭を下げるくらいはして欲しかった。まだ再現度でいうならオッキーの方がマシかな?

第一試合:×ワイルドベアー V.S ○HASEGAWA

TシャツでW☆ING軍とわかるHASEGAWAは、身体こそ非常にシェイブしていて、一見できそうな選手。しかし、肉体のわりにプロレスは下手くそ。体型はぶよぶよしてるが、明らかにキャリアが上であろうベアーがめちゃくちゃ気を使って試合を進めていた。

しかしベアーにしても、おそらく若手のころに培ったであろう貯金だけで試合をリードしていたので、HASEGAWAの全てを受け止めきれていない。こちらも明らかに練習してない動きをしている。HASEGAWAは全然スイングしてないスイングDDTや、ベアーの身体を持ち上げきれずに、結果的に垂直落下式になっちゃったブレンバスターとか、とにかくどこから突っ込んでいいのかわからないくらい、突っ込みどころが満載過ぎた。

そういえば、この試合の2人とメインの矢野啓太ぐらいがロープワークを駆使していたのだが、選手がロープワークするたびに、明らかに油さしてない感じの妙なきしみ音がしていた。更に選手が受け身をとると、バーン!という乾いた音のほかにやはり妙な金属音が…。たぶんあれはFTOのリングをレンタルしているとおもわれる(レフェリーもきていたから)のだが、普通に試合してて「リング大丈夫か?」って心配しながら観戦する体験はそうそうできるもんじゃない。

ちなみに、ベアーが「結果的に垂直落下式になっちゃったブレンバスター」で頭をしたたかに打ち付けたことが決め手になり、HASEGAWAのユルユルなノーザンライトスープレックスでスリーカウントと相なった。しかし、かつてのFMWでは素顔時代のハヤブサや、若手時代の雁之助らが、熱いレスリングで観客を魅了していたのだが、その片鱗がかけらもないあたりで、だいたいこの団体をどうみていくべきか、自分のなかで値踏みができた気がする。

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第二試合:×奥田 朱里 V.S ○唯我

団体の値踏みができたとはいえ、第二試合は実力者の唯我がいる。お笑いもシリアスもなんでもできる万能型の選手なんで、少なくともベアーよりは、マシなリードができる期待はあった。確かに第一試合よりはマシだったのだが、相手の奥田がダメすぎる。

というか、実力派であるはずの唯我さえ、どちらが正面かよくわかってない状態で途中まで試合をしていた。やっぱ全国を回る経験値をもたない女子ってこういなっちゃうのかな?でもそこはさすがに気が付いたみたいで、すぐに試合中に修正をいれたのは、さすがだと思った。

この顔合わせだといろいろなことができるのだけど、箸休めとしてお笑いマッチ(第一試合は失笑マッチなんで、ただ笑われてるだけ)にするとしたら、唯我がいるこの試合になるしかないだろう。レフェリーのかつらネタも織り交ぜながら、試合は終始唯我モード。

で、奥田のどこがだめかというと、数少ない武器のキックがしょぼい。受け手になっているときはともかく、攻め手に回ると試合が突然心もとなくなるなど、もう全般にわたってダメオーラを出し続けていた。どこか褒めようと思っていろいろ探してみたんだけど、ヒールにもなってないし、ベビーでもないし、という感じで、これを相手に試合を組み立てた唯我のスキルの高さしかほめるところがないといったありさまだった。最後はきれいな弧を描くジャーマンが決まって唯我の貫禄勝ち。

試合後、握手と抱擁とともに、唯我に促されてテーマ曲に乗ってのダンスを楽しそうに、レフェリーとともに踊っている奥田の姿をみて多少救われた感があったかもしれない。

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第三試合:×超電戦士バトレンジャー V.S ○大矢 剛功

この試合の前に、リングアナが特別ゲストを呼び込んだ。しかしできたら名前を伏せてテーマ曲だけで、誰が来たかを当てさせてもよかった気がする。

その特別ゲストが車いすに乗ったハヤブサだったことで、結果的にはこの日一番の盛り上がりになったわけだが。ハヤブサが自分の言葉で24時間テレビ問題の引退説に言及し、これを否定。

「お楽しみはこれからだ!」といつものあれで締めてくれた。でも地方に住んでいるとハヤブサ自体見ることないし、結構貴重な時間をもらったと思う。何よりあのテーマ曲を会場で再び聞くことができるとは思いもよらなかったし、個人的には本当に胸いっぱいになることができた。これでチケット代のもとがとれたといってもいい。もっともこの第三試合が終わると、ハヤブサはいつの間にかいなくなっていたけど。

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さてこの第三試合、別な仕事に従事しながら北都プロレスにも参戦している大矢と、久しく見ないうちにかなり恰幅が良くなってパンパンになったバトレンジャー。強いていうならば、古き良き昭和のプロレスなんだけど、その昭和のプロレスを体感している私でさえ、ゆるゆるの引き延ばしをやってるようにしかみえなかった。

もともとバトレンジャーというキャラ自体が戦士としてもレスラーとしても微妙な立ち位置にいるがゆえに、素顔の時とは全然評価が違っていたのだが、あの体型を見る限り、たとえ今の時点でマスクを脱いでもあまり期待できそうにない。そういう意味ではもうバトレンジャーと同化してしまったのかもしれない。私が知っているUという選手はやはりどっかへ行ってしまったのだろう。そう思うしかなかった。

大矢も、もともとヤングライオン時代から生でみている選手なんだけど、それももう50代である。リングの上ではしゃきっとしてるものの、持病の腰が相当悪いのか、リングを降りると足を引きずって歩いていた。もはや両者とも中年の哀愁が漂いすぎていて、みてるこっちまでちょっと切なくなってきた。

笑ったのは、大矢が卍固めに移行した際、バトレンジャーのお腹がじゃまになって、頭を決めなくても技が決まってしまったところだった。あれはさすがにどうかと思う・・・・最後は大矢がまだこだわっているであろう、往年の必殺技であるバックドロップを腰にやさしく決めてバトレンジャーからフォール勝ち。しかし、みてるこっちも年取ってるんだから、やっぱあのころと同じってわけにはいかないよなあ。

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第四試合:×五所川原 吾作 V.S ○W☆ING金村

金村はW☆INGを名乗っているんなら、あの時代の入場テーマであるデンジャーゾーン(W☆ING版)ではいってくればいいのに、ブリブラダンスは中途半端だわ、Tシャツからこんもり盛り上がっているお腹は、あきらかにたるんでいるわとまあやる気のなさが全身からにじみ出ていた。

試合も、みていると往年の動きはすっかり影を潜めていた。金村の唯一のとりえが「プロレスだけはうまい」ところだったのに、それを失くしたら何もないじゃないかと思ってしまった。もう黒田と組んで、大谷や田中とやりあったような試合はできなんだろうなあ。

しかしそれ以上に吾作の体型も動きもだらしない。試合は殴るけるから場外へ移行。場外で数回金村が鉄柱に吾作の頭を打ちすえると、先日きったという額から、この日初の流血!流血なんてFMWでは珍しくもなかったのに、なぜかセミまで無血試合だったんだが、まあ流血する理由もないし、この2人にとっては切り札みたいなものだったんだろう。ところが会場の反応はスルーに近い状態。興奮度が上がるどころか、どんどんさめていっている。これでは、切った者損というほかない。

もともと下関で熱狂的に盛り上がった大会を体験したこと自体、稀ではあるのだが、ここまで無反応で、しかも入りが悪いとさすがに気の毒な気もした。

試合もあっさり金村が勝って、勝ち名乗りを受けた後、退場するために、トップロープに身をあずけて、その反動でリング下におりるムーブをやろうとしたら、なんとロープにひっかかってしまい、でぶった腹がめくれて波打った状態で、金村がぼてっとリング下に転落してしまった。

これはさすがに笑うしかなかった。一方の吾作は試合が終わったあとに熱くなって、「もう一回だ!もう一回!」と連呼していたが、その声をちゃんと聴いているお客がどれだけいただろうか?

この試合後休憩に入ったが、リング上で今大会をスポンサードしたお店の代表が告知のためにあがって、何か喋っていたのだが、当然だれも聞いちゃいない。というか、席ガラガラだし。まあ吾作のマイクすら聞かれてない状態ではやむをえないか。

メインイベント:6人タッグマッチ

○大仁田 厚&保坂 秀樹&リッキー・フジ

V.S×雷神 矢口&橋本 友彦&ザ・シューター(矢野啓太)

大仁田のプロレスというのは、実によく考えられていて、レスラーにつきものなハードなトレーニングしなくても、「凄い!」とお客に思わせることができる工夫を、あちこちに施してある。例えば、ストリートファイトルールであるとか(街のケンカと同じという体で試合するので、上半身を脱がなくてもいいし、コスチュームをわざわざ作る費用もいらない)、音量と視覚効果で煽る電流爆破(仕掛けを派手にしておくと、お客の目はそっちに向くので、鍛えてない肉体や練習してない技が注目されにくい)、試合後のマイク(技は失敗してもマイクでは決して失敗しない)など、とにかくよく考えたなというくらいに、細かい工夫をしている。

個人的にはレスラー大仁田厚は全日時代までしか評価はできないが、稀代のアイディアマンであり、ビジネスマンとして涙のカリスマを現在でも評価するのは、そこが所以でもある。

今現在膝が粉砕骨折したままの大仁田が未だにあの歳で試合ができるのは、まだ今より動けるうちに仕組み作りに成功して、実際に一時代お客の支持も得た体験があり、まだその貯金があるからに他ならない。

だが、それはあくまで全日時代の貯えが使えない大仁田の個人的事情から派生したもので、考え出した大仁田がやる分には構わないが、それに便乗して、ほかのレスラーが同じような楽をしていていいはずかない。だから、全体のグタグタ感を含めて、大仁田一座を形成する限り、大仁田とその他大勢という関係にしかならないし、大仁田の名前が使えなくなれば、彼らもレスラーからただの烏合の衆になりさがるのだ。

しかし、時代は移り、大仁田が特許をもつ電流爆破が使えない中、デスマッチのあり方を工夫した大日本やFREEDAMSが、上半身裸になり、鍛えなければできないデスマッチに特化していき、レスラーでなければ実現不可能なデスマッチを作り上げた。そして大仁田のデスマッチはいささか時代遅れになりはじめている。電流爆破のこけ脅しや、大仁田劇場のマイクだけではもはやデスマッチの目が肥えたお客がついてこなくなってきているのだ。

そして大仁田の全日時代を知るファンもまた少なくなってきている。大仁田も馬場直伝のしっかりしたクラシカルなレスリングを披露したくても、身体がいうことをきかない。最近の大仁田は時折思い出したかのように、ダブルアームスープレックスやサイドスープレックスなどを繰り出すが、クラッチまではできても膝の踏んばりがきなかいため、投げた相手の身体がながれてしまっている。見ているこちらももどかしいが、やっている本人はもっともどかしく思っているに違いない。

まあ、大仁田のアイディアに便乗しなければ今の金村や、まさか今の時代に、下関で試合をみることになるとは夢にも思わなかった橋本友彦らがリングにあがることすらできないだろうから、彼らがレスラーとしてアイデンティティーを保つためには大仁田一座の一員になるしかない。それをしなくていいのは、この中では3年ぶりに試合見た矢野啓太くらいだろう。

あと、コンディションのよさでは群を抜く矢口と保阪が対角線にいるのもミソ。そのおかげでW☆ING軍というのも、若干ぼやけた感じにはなっていた(橋本や矢野啓太はW☆ING所属経験はないし、もとW☆INGの保阪が大仁田サイドにいるし)。試合としては両群のバランスがとれてはいるんだけど。

今更だが、どうせFMWという看板でやるなら、シューターだけでなく、リーガクスーや、上田勝二いった胡散臭い格闘家枠も再現して欲しかった。先ほどもいった通り、デスマッチ新世代が新しい時代を描き出している現在、フロンティア・マーシャルアーツの部分で勝負して欲しかったなあというのが正直なところ。

色んなアイディアを提示して、その中からお客に最も受け入れられたデスマッチで勝負したいのはわかるのだが、アイディアマンであるはすずの大仁田厚の姿勢が若干守りに入っているようにみえた気がした。

今頃FMWの看板を持ち出したあたりの事情は、大仁田の意思とは関係ないのだろうけど(バトレンジャー主導でハヤブサが帰るリングを作るというための復活という体ではあるが)。そのあたりも含めて新しさがないのだ。

だからだろうか。試合後の大仁田劇場になっても、集まっていいものかどうか迷うお客が続出。あまりに集まりが悪いので、大仁田が無理やりマイクで促してやっと皆がリングを囲んだ。

「前の日の四国は超満員で、俺は急いで下関にきたら、ガラガラじゃねえか!まあ、でもこんなもんです。人生うまくいくこともあればこうなることもある。だけどな!俺は、俺は、プロレスが好きなんじゃー!」とひとしきり話し終えると聖水サービス。前の大会が火で今回は水かよ。コンディションが心配なリングはもちろん、メッセの床も水浸し。大仁田が「下関にはもう来ない!」と言っていたが、来たくてもこの惨状では二度と来られないだろう。

最初「水はあと2本しかないから大丈夫。かけたりしない」といいながら、思い切りかけまくり、あげく子どもをリングにあげて頭からジャバジャバ水をかけまくる。さすが嘘つきを自称するだけのことはある。「坊主!いいか!覚えておけ!俺は、俺は、大仁田厚じゃあ!」というマイクでしめ。

しかし機嫌がいいと売店にでてファンサービスに精を出す大仁田がそのまま控え室にかえってしまったのだから、「2度と来ない」というのは本音なんだろう。

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若手もいないし、セコンドもいない。リング撤収や後片付けはアルバイト任せ。根無し草の大仁田らしい、ハチャメチャで台風のように駆け抜けていったFMW。これを地域密着団体が同じことすれば、他団体や西日本のプロレスシーンに与える影響も看過できないため、厳しい意見を述べる。しかし、やったらやりっぱなし。ビジネスのイロハもプロレスの基本も無視したFMWのハチャメチャさは確かに今の団体に持ち得ないカオスな空間ではある。

2度と来ないから何をやってもいいわけではない。ましてや大仁田だから許されるわけでもない。現在のFMWのプロレスのクオリティは、かつて一時代を築いたころと比べても、信じられないくらい低いし、新日や棚橋にしてみたら「横一線に並べるな」くらいはいいたくなるだろう。

しかしこれがプロレスなのか?と問われたならば、「これもプロレスなのだ」としか言いようがない。そう思わせられた時点で私も大仁田厚に完敗していたのかもしれない。

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