プロレスリングFREEDAMS『いざゆけ無敵の自由軍団2022』
(2022年11月27日(日)福岡・北九州市門司赤煉瓦プレイス:観衆157人)
イントロダクション
昨日のがむしゃらプロレスに続き、本日は1年ぶりのプロレスリングFREEDAMS。
元々はFREEDAMSが先に決まっていて、がむしゃらが後から急遽開催された形になる。
プロレスリングFREEDAMSは、関東の団体ながら、北九州を西の聖地に位置づけて、コロナが猛威をふるった時期を除けば、毎年大会を開催してくれる貴重な団体である。
ウリであるデスマッチができない会場にも関わらず、北九州の人情に惚れ込んだ佐々木貴代表が、毎年コツコツと築き上げた人脈が奏効。
聞けば当日券が非常に伸びて初の満員札止めになったらしい。だいたいの団体は一度か二度で引き上げる北九州に、辛抱強く根を張り続けたプロレスリングFREEDAMSの底力は、メジャー団体にだって負けちゃいない。
下関→門司赤煉瓦
行きがけはとても渋滞しており、結構時間がかかった。
赤煉瓦についてみると、駐車場がまさかの満車。なんでも当日券が異常にのびたそうで、仕方なくちょっと離れた駐車場に車をとめて、列の後方に並ぶ。
日曜開催という事もあるのだろうが、ここまで満員になった赤煉瓦は記憶にない。12年間、殿とFREEDAMSがコツコツと積み上げてきた成果が結実医師た瞬間だったと思う。
オープニング
オープニングアクトはすっかりダムズの顔になったスギウラマンこと杉浦透。
なぜか、いきなり吉野レフェリーを呼び出し、「一緒に前説やろう」と無理やり巻き込んでしまった。
結局、肝心なガイドは全部吉野さんに丸投げして、暑苦しいスギウラマンのコールで大会はスタートした。
第一試合
◇FREEDOMS対がむしゃらプロレス団体対抗戦タッグマッチ
〇杉浦透&平田智也(10分36秒 右肘→片エビ固め)陽樹&●トゥルエノ・ゲレーロ
よりによって、DREAM TUBERのゲレーロとRe:ZARDの陽樹がまさかのチーム結成!
かつてチーム凱というユニットで、一緒にはやっていたが、陽樹が抜けてからは対戦することはあっても、組むことはまずなかった。
とはいえ、あれだけ仲違いしていた鉄生と陽樹が、対FREEDAMSで共闘し、Re:ZARDが誕生した経緯がある以上、何かしらの化学反応がおきる可能性は否定できない。
と、こう書いてはみたが、いざ試合が始まれば、陽樹&ゲレーロは普通にチームとして機能していた。
それは杉浦&平田が、仲間割れして勝てるほど甘くない対戦相手だからでもある。
がむしゃらプロレスは、社会人の中でも身体ができているし、プロが教えているだけに、技術的な面も高いレベルにある。
しかし、場数で上回る杉浦&平田は、やはりがむしゃらコンビを圧倒してくる。
プロレスほど経験値の差が如実に出てくる競技は他にない、と私は思っている。
がむしゃらプロレスにしても、例えばタックル一発、チョップ一発のアタリは決してプロに負けていない。
しかし。同じ技をやっても、がむしゃらよりFREEDAMS勢の方が、圧倒的に観客がどよめくのだ。
この表現力の差が、場数の差と同義かどうかはわからない。だが、多分プロレスでは、ニアイコールではないか?と私は考えている。
加えて殿を筆頭に全員が負けず嫌いなFREEDAMS。それがあるからこそ試合に緊張感が生まれ、決して馴れ合いに近い空気にはならない。
この馴れ合いにならない空気というのが重要なところ。
プロレスが戦いであると言うのであれば、必要不可欠になるポイント。
もちろんがむしゃらプロレス同士でやっても戦いは表現できているのだが、より激しさを増すのであれば、対抗戦というツールは使って当然だし、それを使いこなしている杉浦や平田は場離れしているとしか言いようがない。
陽樹とゲレーロは普段は敵対している同士である以上、どうしても連携という点では、一人一人が戦っている印象が残った。
そして「対がむしゃらプロレス」で団結しているFREEDAMSの方が圧倒的に有利だったような気がする。
最後は杉浦の右肘でゲレーロが沈む形になったが、この試合で得た戦いの空気を、今度はがむしゃらプロレスに持ち帰って、また激しい戦いを見せてほしいと思う。
第二試合
◇FREEDOMS対MYWAY6人タッグマッチ
GENTARO&ドラゴン・リブレ&〇香取貴大(10分51秒 変形バックブリーカー→片エビ固め)ヴァンヴェール・ネグロ&ヴァンヴェール・ジャック&●ユーセー☆エストレージャ
対抗戦大好きなFREEDAMSは、第二試合にもMY WAYとの対抗戦を組んだ。
問題があるとすれば、そろそろ「天才少年」枠からの卒業がみえているジャックとユーセーである。
こういう組み合わせをFREEDAMSが提示してきたということは、MY WAY勢を大人+子ども二人ではなく「三選手」とみなしていると考えられる。
第一試合でもプロレスは戦いであるという風に書いた。
それは元をただせば力道山が持ち込んだ物だが、昔のプロレスにはどんなスタイルであっても、根本に「戦い」というものがあったように思う。
それがいつしか「信頼」にかわり、ともすれば「馴れ合い」に見えてしまうというところが、今のプロレスの一番の問題点ではないかと私は思う。
対抗戦という形で「負けてたまるか」という気持ちをむき出しにしてくるMY WAYもいざ団体内で戦ってしまうと、この試合までの熱量を生み出していないように、私には見える。
馴れ合いとまでは言わないけれども、信頼関係があまり表に出過ぎてしまうと、プロレスとして戦いが表現できていないと言われても仕方がないのではないだろうか?
正直5月に感じた物足りなさはこの試合からは感じられなかった。
それはネグロ、ジャック、ユーセーに「FREEDAMSに負けてたまるか!」という意地が試合に現れていたからに他ならない。
この戦いの空気を自団体の中でも表現できるようになっていけば、福岡発全国も夢ではないだろうと思う。
ただ今のままだと仲間内でやっている雰囲気は、どうしても拭えないので、この体験を持ち帰って有意義に反映させてほしいと願ってやまない。
第三試合
◇タッグマッチ
●正岡大介&神威(8分20秒 キャメルクラッチ)山下りな&〇アレックス・コロン
実質GCW対FREEDAMSの対抗戦の様相を呈したこの試合。
山下は既に海外でもデスマッチアマゾネスの異名を轟かせ、ウルトラバイオレンス王座も奪取している。
この日組んでいるアレックス・コロンとは、同王座を巡り対戦して、山下が勝利している。
つまり、山下が主でアレックスが従になるチームなのだ。
試合が始まってみるとアレックスと山下の連携は非常にスムーズ。
GCWというハードコアデスマッチのイメージがある団体だが、アレックスは非常に基本のできた選手で序、盤のグランドムーブからもそれが見て取れた。
一方、山下が出てくると一転してラフ攻撃。
二人がかりの攻撃などでFREEDAMS勢を追い込んでいく。
まさに今の勢いをそのまま表現したような試合になっていた。
この試合を見たらおそらく誰も男性の中に女性が一人混じっている試合だとは思わなかっただろう。
それくらい山下の実力は突出してみえた。
いずれにしてもルールでは普通のプロレスだったにもかかわらず、スピリットはハードコアという感じのする試合だった。
最後はキャメルクラッチというオーソドックスな技で、正岡からアレックスが勝利したが、こうした技のチョイスも非常に渋く、見ていて面白いと思った。
セミファイナル
◇タッグマッチ
杉浦透&○平田智也 (12分3秒 ラリアット→片エビ固め) ビオレント・ジャック&●鉄生
第一試合で、がむしゃらプロレス勢を一蹴した杉浦&平田。今度は怪獣ジャックと、同じがむしゃらプロレスの鉄生。
プロとの対戦経験も豊富な鉄生は、がむしゃらきってのスーパーヘビー級。この中に混じっても体格差は感じない。
この試合で注目していたのは2試合目になる平田と杉浦。 ERE の中心人物でもあるビオレントジャックを相手に、どれぐらいの実力を見せることができるだろうか?
しかし、始まってみればその実力差はほとんど感じられず、むしろ平田や杉浦が圧倒する場面もたくさんあった。
とにかく相手に負けたくないという点では、第1試合と同じ姿勢だったし、ある意味良い意味で大人気ない。
それがプロレスリングFREEDAMSの特徴なんだなと改めて感じられた。
一方日本に定着してデスマッチファイターとしての道をひた走っているジャックにしてみても、とにかく暴れて暴れて暴れ倒すっていうそういうスタイルは健在だった。
この中で鉄生が埋没しないで存在感を残していたのは、やはり大したものだと思う。GAM1を制した実力は本物だったのだ。
最後は平田の強烈なラリアットで鉄生が沈んだ。
終わってみればセミファイナルにふさわしい好勝負だったと私は思っている。
メインイベント
◇6人タッグマッチ
葛西純&○佐々木貴&藤田ミノル(15分55秒 D-ガイスト→片エビ固め) ドリュー・パーカー&●佐久田俊行&ドブネズミ・フッキー
メインはFREEDAMS正規軍対E.R.Eの全面対抗戦。団体内ユニット対決は、この12年間で散々入れ替わり立ち替わりしてきたが、いずれも馴れ合いなどなく、ひたすら「闘い」を見せてきているのが特徴である。
E.R.Eには元・大日本勢が多いせいか?FREEDAMS大好き対抗戦の図式にもなっている。
試合は序盤から荒れ模様の展開。
E‣R・E が仕掛けて場外戦に持ち込む遅れを取ったものの、FREEDAMS軍もそれに対応して、会場中を使った場外戦があちこちで展開される。
吉野レフリーが「階段を上るな!」と制止するも、6人とも無視して会場中のあちこちで、満員のお客さんの中で暴れ回るデスマッチファイター達の姿は、非常に生き生きとしていた。
中盤、佐々木貴が捕まっていくと、ややローンバトルぎみになっていったが、それでも藤田や葛西を加えた豪華なメンバーは、一朝一夕ではやられはしない。
6人が6人とも非常に存在感を発揮したメインイベントにふさわしい6人タッグになっていたと思う。6人タッグといっても決して顔見せだけではない。
この試合にもプロレスとしての「戦い」が表現されていた、と私は思っている。
最後は佐々木貴がG-ガイストで粘る佐久田を仕留めたが、まさに西の聖地にふさわしいメインイベントだったのではないだろうか?
エンディング
試合後ドン・タッカー T シャツを掲げた殿は、12年前にドンタッカーと出会い北九州鬼石の聖地とすることを決めた話を、改めて満員のお客さんの前で語った。
それは藤田にしろ葛西にしろ同じ思いだったように思う。
きっと天国からドンタッカーや下渡会長は見てくれていると私も思う。
また来年もFREEDAMSが北九州で大会を開くときは、必ず参加したいと思っている。
後記
大会が終わって外に出てみるとまだ17時になっておらず、がむしゃらプロレスから24時間経っていないことに気づいた。
外はまだ明るかったからだ。
しかし帰り道は非常に渋滞したため、結果的に1時間以上かかって自宅に帰ることになってしまった。
それでも心地よい疲れが体を支配していて、しばらくはテンションが高くて眠れなかった。
来年も良い夢を見られるように、FREEDAMSに会えるように、日々一生懸命生きたいと思っている。ありがとうございました 。