[プロレス観戦記復刻版] 全日本プロレス97’サマーアクションシリーズ第14戦下関海峡メッセ大会(1997年7月15日)

イントロダクション

1月1ヶ月ぶりのプロレス観戦にして今年初の男子プロレス観戦は、方向性の違いからしばらく見ていなかった全日本。

全日本は、都合3年半振り。下関の大会なら、実に5年ぶりになる。

ところが何の因果かこんな時に限って体の調子が悪い。おまけに仕事終わりで会場に行ったのでヘロヘロになってしまった。

おかげで試合途中に眠りこけてしまう。これが後楽園のリングサイドだったらつまみ出されていたかもしれないが、そういうこともなかった。

第1試合:30分一分勝負

○浅子覚(13分32秒:スパイラルフォール→片エビ固め)●志賀賢太郎

派手な空中戦主体になった第一試合。沸きかえる会場をよそに、自分が望んだグラウンド主体で組み立てられていたかつての正しい全日本の前座試合は、もはや望むべくもないのか、と思うと少々寂しい気がした。

ただし何でもかんでも騒ぎ立てる都心の全日の会場とは違う感じもした。

3年前のこととはいえ今もそんなに変わっていないとは思うけど、下関の会場は、出される技に対しての、純粋な驚嘆があったように思う。それが、幾分救いであったかな。

この日はしいて言うなら昔の博多スターレーンの興行を彷彿とさせる会場の雰囲気だった。今のようになんでもかんでも騒げばいいというノリでない頃のスターレーン。

そんな雰囲気の中繰り広げられた現代の第1試合。これが後々繰り広げられたセミファイナルの試合での雛形であった事には後々気付かされた。

そしてそれはメインと比較すると、やはり前座は前座の試合であった。つまりメインの選手とそうでない選手が同じ技を使っても、観客に対しての説得力が違うということ。

実は後半から眠気がさしてきたので展開はよく覚えていない結果は浅子の勝ち。

第2試合:30分一分勝負

○菊池毅(12分48秒サムソンクラッチ→エビ固め)●井上雅央

ほとんどこの試合はほぼほぼ寝ていて覚えていない。

結果は菊池の勝ち。

第一試合と比べるとちょっとゴツゴツした感じで試合が進んでいたのは、せめてもの意地か?それとも井上に菊池が合わせたのか?それは分からない。

第3試合:30分一分勝負

○ジャイアントキマラ&永源遥&泉田純(19分30秒ボディープレス→体固め)ジャイアント馬場&●ラッシャー木村&百田光雄

休憩前の最後がこの試合。

試合内容自体は特に特筆するところはないけれど、キマラがボディプレスで木村さんを圧殺してフォール勝ちを収めた。

あまりの衝撃にしばらく大の字になってリングに横になったままのラッシャー木村に対して、異常なまでのマイクコール。

とにかく笑いを売りにしていると、普段なら心配してもらえる状況が、そうでなくなってしまう場合がある。

「明るく楽しい」の残酷性と言うか厳しさを垣間見せせられたような気がした。

普段ならさっさと引き上げてしまう馬場さん達を別にどうも思わないんだけれども、それがなぜかとても冷たい光景に見えてしまった。

しかしさすがと言うか咳き込み苦しそうにしながらも、必死にマイクを取って木村選手は話し始めた。

一言一言にいつものように沸く会場に対して、最後に「下関の皆さん今日は暑い中多数のご来場誠にありがとうございます」と締めたその姿に木村のプロ魂を見せてもらった。

その姿を見ているときはさすがにネタが5年前とほとんど同じだし、下関といえばふぐネタだし、とはさすがに思わなかった。

ちなみに前の方の初心者と思われるお客さんが「ローソンのババアが「いい席よ」って言ってたのにこんな一番後ろの席じゃねえかよ」と、文句を言っていたのだけど、そのローソンの店員が隣にいることも知らないで好き勝手言ってた。

まあ、誰がどこにいるかわからないんだから滅多なことは言わない方がいいと思う。

ちなみに、海峡メッセは東西に長くできているので、私の座った席身投げ南側最後列真ん中は最後列でも、実は一番見やすかったりするので、あながち遺跡というの間違いではないと思う。

第4試合:30分一分勝負

○渕正信&小川良成(バックドロップ→エビ固め)馳浩&●池田大輔

事前に、「ウリ」になっていた対戦カード。隣の初心者のプロレスファンたちも池田の名前はなぜか知っていた。

その割にパトリオットが新日本所属だとか訳のわからないことも言っていたのは謎だった。

まあ、今更ながらテレビの影響力というのは凄いものがある。馳のTシャツの下に沸き返る会場。池田は先に入場してきて水ふき。

しかし何か全日本ぽくない光景はここまで。小川と渕が特に気負った雰囲気もなくいつも通り入ってきたこともあったけれど、なにより試合が始まって、馳が渕にしかけてきた動きからして、既に全日本の光景になっていたようにも思えた。

新日本時代なら低い体勢から素早くタックルを決めたりしていた馳が、スタンドの体勢から手四つで入ってく、全日本ぽい動きをみせた。

郷に入っては郷に従えということなのか?そういえば馳は体つきも新日本時代から比べて、厚みを増していたように思えた。

ひとしきり馳と淵がグランドでこってりとした展開を見せた後は、馳のリードで池田がツープラトン攻撃を仕掛けていくという感じで試合は進んでいった。

どちらかといえば渕の鬼っぷりを馳が奪う形になってもいた。

池田の方といえばやっぱり捕まることが多く、関節技とキックで流れを変えるものの、決定打には至らず。この辺がバタバタせずに対応できるようになれば、もっと出来るのかもしれない。

くだんの初心者たちが池田のキックは、橋本真也ばりの威力と、友人たちに解説していた。どういう視点で比較していたのか?聞いてみたかったな。

ちなみにこの日は家族連れの姿を結構見かけた。子供達は結構リングを食い入るように見つめていて、真剣に応援していた。

マニアにはインディーという逃げ場があるが、家族が見に行ける団体というのも案外大切なのかもしれない。

最後は馳&池田の攻撃を耐え抜いた小川&渕が敵チームを分断。渕がバックドロップで池田を仕留めた。全ての攻撃をしのぎ切って、最後は勝つという全日本の受けの哲学を見た思いがした。

これも馬場さんが言うところの「比べてみてください」ということなのだろうか?

第5試合:30分一分勝負

スタン・ハンセン&○ジョニー・スミス(ダイビングエルボードロップ→片エビ固め)ジョニー・エース&●本田多聞

先ほどの試合途中、私たちが座っている最後方の席の通路をスーッと通る大きな影。「あれ?今のハンセンだよな?」というくらいひっそりしたもの。

すでにリングコスチュームには着替えていたものの、メガネをかけて小さくなって歩いていた。その姿からは、とてもじゃないがリングで見せる猛々しさは感じられなかった。

それが再び花道に姿を現すや、いつものブレーキの壊れたダンプカー状態。普段着では決してリングに上がらないハンセンのダンディズム見た思いがした。

しかし現実は厳しいもの。どちらのチームも若手を立てていた試合だったが、かなり積極的に多聞をリードして、自ら試合を引っ張っていたエースとは対照的に、スミスのサポートに留まってしまったハンセン。

どんな展開でも自分のペースに持って行ってしまった、かつてのエネルギッシュな姿からは想像もできないものがあった。

結果こそハンセンのサポートでスミスが、ムーンサルトからダイビングエルボードロップで、多聞からピンを奪った。

結局ウエスタンラリアットは予告止まりで終わってしまった。花道の人垣をかき分けていくハンセンの暴れっぷりが、ちょっとイラつき気味だったのは、そのせいなのかどうか?

第6試合::30分一分勝負

三沢光晴&○秋山準(20分13秒エクスプロイダー→片エビ固め)小橋建太&●マウナケア・モスマン

4者ともにすごく気合の入り方が違う。超世代軍対 GET という図式が、レスラーにも観客にも新鮮だったのかもしれない。

この試合が他と決定的に違っていたのは、若手に一歩譲るスタンスを取っているものの、ハンセンと違ってガンガン前に出ていく姿勢が、三沢と小橋にあったことだった。

それに応えてさらに踏み込んで前へ出て行く秋山やモスマン。加えてもう一点、たまたまかどうかは分からないが、試合の展開までの組み立て方が、第一試合のそれと非常に似ていたことだった。

同じ技を使っても一発の重み説得力は、はるかにこちらの方が上。

観客の反応も第1試合ならば、のっけからこんな技が出てという驚きだったのに対して、この試合では一発が出るたびに「おおー!」というどよめきが起こる。

これがメインイベンターと前座の差なのか?と言われればそれまでかもしれない。だが前座で大技が黙認されているのも、やはり「比べてください」ということなのだろうか?

試合自体はモスマンの頑張りが光りましたが、最後は秋山のエクスプロイダーに沈みました。

第7試合:60分一本勝負

川田利明&田上明&大森隆男(17分31秒ダイビングニードロップ→片エビ固め)スティーブ・ウィリアムス&ゲーリー・オブライト&●ザ・ラクロス

川田にしろ田上にしろ、この日は必要以上に気合が入っていた。

久々の土地での興行だからか?それとも高山の気持ちを知ることができたからか?は定かではないが、全体的にやる気の割に、完成度の低かった感じの試合だった。

結果的に大森がウイリアムス組に捕らえられて、終わり。以前に比べれば良くはなっていたけれど、この日は結果がついてこなかった。

ちなみにこの試合池田の対角線上に、小川と菊池がセコンドについて睨んでいたように見えた。またオブライトは上機嫌のセコンドに付いた池田と引きあげていった。 オブライトは池田の事を本当に「ブラザー」って言ってたのが印象的だった。

後記

満足そうに帰る観客達の姿はき地方会場らしくていい感じたっだが、マッチメイクにはもう一工夫欲しかったところ。

意味のない顔合わせもそれなりのものにしてしまう選手の努力に、団体がおんぶにだっこではダメだと思った。






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