くいしんぼう仮面 絵本出版記念イベント!!『北九州マットプロレス in HIT AND RUN』
(2018.6.29 金 ホークス応援BAR HIT AND RUN)
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http://sekapro.net/2017/04/16/%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%ac%e3%82%b9%e8%a6%b3%e6%88%a6%e8%a8%98-%e3%81%8f%e3%81%84%e3%81%97%e3%82%93%e3%81%bc%e3%81%86%e4%bb%ae%e9%9d%a2x%e3%81%8c%e3%82%80%e3%81%97%e3%82%83%e3%82%89%e3%83%97/
イントロダクション
4日連続で西日本ツアー中のくいしんぼう仮面が1年ぶりに、小倉にやってきた。今回の舞台は居酒屋がむしゃらの姉妹店である「ホークス応援BAR HIT END RUN」である。
もともとマットプロレスというのは、リングのおけない会場でもプロレスができるよう考案された、主に大都市ローカルな試合形式である。田舎とは想像もつかないくらい地価やレンタル料の高い都心部で、そこそこの人数で大会を開くには、もってこい。
オープニング
とはいえリング常設の会場や、道場所有で多団体に門戸を開放している団体などを利用すると、リング上での練習はできるので、そもそもマットプロレスしかできなくてプロになった選手や、リングに上がると試合ができないプロ選手を、今のところ私は知らない。
くいしんぼう仮面にとって幸運だったのは、屋台村でデビューした際(素顔・本名時代)に、リングがあったということで、〇野拳磁の無茶ぶりで突如デビューさせられたとはいえ、リング上での動きをマスターできたことが大きかった。
リング上で試合のできる選手はマットの上でも試合ができる。これはマットプロレス中心で活動しているどの選手にも共通していえることだと思う。
実際、九州では「プロレスはリングありきが当たり前」だと思っている選手・関係者は多い。地方に行くほど地価や、レンタル料は安くて済むので、リングはだいたいどの団体でも所有している。が、現実は体育館を借りてしまうと、広すぎてお客さんが埋まらないという課題がある。これは都心・地方に限った話ではない。
そこで、その隙間を縫うように、地方にマットプロレスを「輸出」しはじめたのが、くいしんぼう仮面ではないかと私は思っている。しかも「全観客参加型」という触れ込みで、お客さんを積極的に試合に絡めてしまう。これは地方ではまずないことでもあったので、大概静かに見ている地方でも盛り上がってしまうのだ。
今回のようにお店とのタイアップでやると、なおやりやすい。実はよく考えられたシステムなのだ。
▼シングルマッチ(15分1本勝負)
①×力 雷汰 vs ○KENTA
(6分07秒)(ボストンクラブ)
試練の三番勝負とは謳われていないが、相手がKENTAだけに十分「試練」といっても過言ではない。力はいきなり凶器を忍ばせてきたが、これはK.Kレフェリーがめざとく発見。「雑魚が凶器なんか持つんじゃねえ」というKENTAに、「雑魚だから持つんだよ」
と開き直る力。このいい意味での開き直りが、今までの力にはなかった部分なので、これは大いに評価してもいいと思う。
正直なところ、力の試合の中では今までで一番良かったと思う。なかなか気持ちが前面に現れにくい力にしては、勝とうという執念が凶器以外からも伝わってきた。その最たるものが足四の字だったと思う。
マットプロレスは通常のリングよりかなり狭い。狭いという事は四の字を裏返して、決めている選手の足を、逆に決めてしまうというエスケープができにくい。しかしKENTAはこの状況を逆手にとってお客さんに自身の身体をひっくり返させるという手に出た。もちろんレフェリーのブラインドを突いた好妙さ。当然下になった力は悲鳴をあげる。
これで一気に劣勢になってしまった力は、最後変形のボストンクラブでギブアップ負け。初のマットプロレス体験だったけど、課題もみえたし、いいところもみえた。でもKENTAのおぜん立てでできた試合だという事も忘れずに。いつかこのレベルの試合を自分で作れたら、ファンも自然に増えていくだろう。
▼タッグマッチ(15分1本勝負)
②×HIROYA & トゥルエノ・ゲレーロ vs ○鉄生 & くいしんぼう仮面
(10分38秒)(ラリアット)
正統派チームのドリームチューバー対悪役モードにチェンジしたくいしんぼうというなかなかレアな顔合わせが実現したカード。やはりこの狭い空間でHIROYAのデカさは傑出している。しかもデビュー二カ月目とは思えないチョップは、鉄生をたじろがせるくらい。
これに呼応するかのように、ゲレーロも限られたスペースで空中戦を展開。非常に見応えのある試合になった。
だが、マットプロレスにはリングを使うプロレスにはない「落とし穴」がある。それは「床の硬さ」。ヒットエンドランには床に人工芝が敷かれているのだが、下は当然コンクリート。要するに、ホンモノのドーム球場と大差ない作りなのだ。プロレスのリングのように、衝撃を吸収してくれるキャンパスも板もない。
マットは、このいわばコンクリートの上に二枚重ねられただけなので、衝撃の逃げ場はない。受け身をとるだけでダイレクトに身体にダメージが跳ね返る仕組みになっている。
そもそもドーム球場の人工芝でプレーする野球選手に怪我が多いのは、人工芝が悪いのではなく、衝撃を逃がさないコンクリートの床が悪いわけだ。店内に敷かれた人工芝は当然、野球をやるためでも、プロレスをやるためにも敷かれているわけではない。従って受け身をとること自体がリスキーだし、怪我にもつながるのだ。
しかし、マットプロレス初体験のゲレーロは果敢に空中戦にチャレンジしていた。ただ技術的には問題なくても、やはりダメージはあった様子。くいしんぼうはそのあたりはオーソリティなんで、危険のない技で試合を組み立てていた。もともと飛べる選手が敢えて飛ばないで、試合を作るという意味でもマットプロレスは、ハードルがあるわけだ。そういう意味では勉強になったのではないだろうか?
▼全選手バトルロイヤル
勝者 下渡後援会長(6分36秒)
全選手参加とはいえ、6人しかいないのだが、通常のバトルロイヤルならスカスカになる人数が空間の限られたマットプロレスだと、レフェリー含めて7人でちょうどいい。
序盤はKENTAが全員にチョップをしてチョップを打ち返されるという場面が続いた。一周するたびに「もう一回」コールが起きるので、その都度、全員にチョップしてチョップされていくのだが、これでKENTAは大ダメージを負ってしまう。この試合形式のいいところは、普段同じユニットに属している選手も敵同士になることで、結構新鮮な顔合わせがみられた。
だが、観客参加型プロレスの怖いところで、お客さんが戦力として加わるため、試合はだんだんカオス状態に。エストレージャからお馴染みのカウント2で起き上がるムーブに、首4の字固めの数珠つなぎまでほぼ全員参加状態。
最後の逆エビに移行する時に、くいしんぼうに指名された下渡会長が全員をひっくり返し、 まさかの全員ギブアップで、昨年に続き下渡会長がまさかの二連覇!
試合後はくいしんぼう仮面曰く「メインイベント」のアフターパーティーに突入。選手とお客さんのアフターバトルありの楽しい宴になった。
最後はくいしんぼう仮面の締めで全て終了。
後記
やはりマットプロレスには、色んな魅力が詰まっている。
マット一つで全国を飛び回るくいしんぼう仮面の新しい挑戦は着実に身を結びつつあると思う。
次回は早くも8月22日の開催が決定!大阪在住レスラーの参戦も決定した「ビッグマッチ」バージョンらしい。めちゃくちゃ楽しみである。