【プロレス入場テーマ曲】 プロレス的音楽徒然草 GET WILD

[プロレス入場テーマ曲]プロレス的音楽徒然草

プロレス的音楽徒然草 GET WILD

不朽の名曲の正体

今回は大森隆男選手の入場テーマ曲「GET WILD」をご紹介します。

「GET WILD」は1987年に発売され、社会現象を巻き起こした大ヒット曲です。もともとアニメ『シティーハンター』のエンディングに使用される前提で制作された楽曲で、当初から「疾走感ある都会的なサウンド」を狙っていたそうです。

「イントロはドラマ部分と重なるからおとなしめに」という依頼に対し、あがってきたイントロは既に完成版と同じインパクトを持つものでした。

しかし、協議の結果、セリフや劇中のBGMが重なることも考慮した上で、あえてそのままの形で進めていくことになったそうです。

プロレスの入場テーマ曲においても、実況と歌が被らないように歌唱部分を削って編集することがありますが、特に昭和の時点では音声技術が今ほど洗練されていなかったため、こうした細やかな配慮が必要不可欠だったわけです。

緻密に計算された音

ちなみに、コーラスが多いTM NETWORKの楽曲群の中で、「Get Wild」のコーラスがサビにしかないのには理由があります。それは、CDやアナログレコードより「テレビ」で聴く人が多いことへの配慮でした。モノラルスピーカーでも音がぼやけず鮮明に聞こえるよう、あえて音数を絞り、バラけないように構成したのだそうです。

今となっては、あの静かに入ってくるイントロなくして「GET WILD」はありえません。当時下された決断が、後の音楽シーンに大きな影響を与えたことになります。

「GET WILD」は、それまでのアニメエンディングのあり方を変えた歴史的な作品でもあります。

当時のテレビアニメは一般的に「①オープニング ②CM ③本編Aパート ④CM ⑤本編Bパート ⑥CM ⑦予告 ⑧エンディング」という流れでした。しかし『シティーハンター』は「⑤→⑧」という特殊な構成を採用し、イントロを本編Bパートの終幕に被せるという画期的な手法で放送されました。

作曲者の小室哲哉さんは、劇中で印象に残るよう様々な工夫を凝らし、あの後世に残る名イントロを生み出したのです。このイントロがドラマの幕引きと同時にエンディングのスタートになるよう計算されていたからこそ、唯一無二の名曲たり得たのでしょう。

時代を変えた先駆者

「GET WILD」が発売された当時は、音楽アーティストがアニメに本格参入し始めた黎明期でした。当時はまだ、アニメとのタイアップに難色を示すアーティストも多かったそうです。

しかし、TM NETWORKの3人は「毎週、無料で自分たちの楽曲がゴールデンタイムで流れる(当時の本放送は月曜夜7時)なんて、すごいじゃないか」とポジティブに捉え、アニメ参入を大きなチャンスと考えていました。

事実、1985年には小室さん(当時26歳)が単独でOVA『吸血鬼ハンターD』の劇中音楽を手掛けています。これが小室さんにとって初の劇場版サウンドトラックとなり、以降、数々のアニメ作品へ楽曲を提供していく起点となりました。

小室さんだけでなく、木根尚人さんは自身の小説『ユンカース・カム・ヒア』のアニメ化で音楽を担当し、宇都宮隆さんも『シティーハンター』の続編的作品『エンジェル・ハート』で主題歌を担当しています。

苦労人と運命の曲

大森隆男選手は、アニマル浜口ジムで身体を鍛えた後、全日本プロレスに入門しました。端正な顔立ちと恵まれた体格を誇りながらも、入門後はなかなか芽が出ず、人の良すぎる性格も相まって伸び悩む苦しい日々が続きました。

その後、プロレスリング・ノアやZERO-ONE、WJなどを転々とし、一時期は活動を休業していましたが、2010年に現役復帰。2012年には全日本プロレスへ再入団を果たします。

2011年、征矢学選手とタッグチーム「GET WILD」を結成。もともとこの楽曲は、そのチーム用のテーマ曲でした。

実は個人のテーマ曲ではありませんでしたが、征矢選手の退団後、シングルプレイヤーとなった大森選手がそのまま使い続けたことで、今ではすっかり「大森隆男のテーマ」としての認識が定着しています。

世代を超えた名勝負

2017年1月に観戦した全日本プロレス小倉大会では、「大森隆男 vs 中島洋平」というカードが組まれていました。

中島洋平選手のテーマ曲はBABYMETALの「Amore – 蒼星 -」。入場曲だけで見れば「BABYMETAL vs TM NETWORK」という異次元対決が実現したのです。

「Amore – 蒼星 -」は2016年のリリース。1987年発売の「GET WILD」との差は、実に29年。昭和のヒット曲と平成のヒット曲を背負って闘うという構図は、なかなかお目にかかれるものではありません。

試合は体格差で勝る大森選手が勝利を収めましたが、試合後に勝利者テーマとして流れた「GET WILD」は、会場で聴いていてやはり最高に心地よかったですね(笑)。

その後、大森選手は2024年からフリーとして活動。大日本プロレスやマジックボックスへの参戦のほか、求めに応じて古巣の全日本プロレスにも参戦を続けています。

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