プロレス的音楽徒然草 傷だらけの栄光
魂を揺さぶる名曲
本日は「傷だらけの栄光」という曲のご紹介です。この曲は『あしたのジョー2』(テレビ版)前期のオープニングテーマで、おぼたけしさんが歌われています。
おぼさんは福岡県北九州市生まれで、1970年代後半から1980年代にかけて活躍した歌手です。
アニメ『あしたのジョー』劇場版の主題歌「美しき狼たち」が記録的なヒットとなり、一躍脚光を浴びる。ハスキーで哀愁漂う歌声が特徴で、当時の出崎統監督作品の世界観を音楽面で支えました。
その劇場版『あしたのジョー』の続編となる『あしたのジョー2』でも引き続きおぼたけしさんが起用されました。なお、アニメ版『あしたのジョー』(PART1)は、当時連載中だった原作に追いついてしまったため、やむを得ず途中で終了することになりました。
完結までを描く
そして時を経て1980年、テレビシリーズの力石徹との死闘までを再編集した、劇場版『あしたのジョー』が公開されました。『あしたのジョー2』は、力石戦後から原作最終回のジョーが「真っ白に燃え尽きる」シーンまでをアニメ化したものです。
要するに、一度目のアニメ化では描かれなかった原作後半部分を映像化したのです。監督はテレビ版パート1と同様、出崎統さんが務めました。『あしたのジョー2』は劇場版に先んじてテレビシリーズが制作・放送されていました。ちなみに、放送枠は『ルパン三世』(第2シリーズ)が放送されていた月曜夜7時の枠を引き継ぐ形で放映されました。
地方の放送事情
ちなみに『あしたのジョー2』は『ルパン三世』同様、山口県ではリアルタイムで放送されていませんでした。1980年代当時、山口県の民放は2局しかなく、日本テレビ系列の山口放送がテレビ朝日系列とのクロスネットを行っていたからです。同じ理由で『全日本プロレス中継』も長らく見られずにいました。
この時代は「根性至上主義」からの転換期にありました。しかし『あしたのジョー2』の場合は、演出や作画がスタイリッシュになった点を除けば、あえて時代に迎合するような変化はなかったように私は感じています。
象徴的なラスト
ただ、『新・巨人の星II』(アニメオリジナルの最終回)の星飛雄馬と、『あしたのジョー2』のラストのジョーが、共に「旅立つ」ように捉えられる(飛雄馬はアメリカへ行く形で描かれています)結末を迎えているのは、どこか象徴的な気がします。
さて、「美しき狼たち」と「傷だらけの栄光」の大きな違いは、その「歌声」にあります。
枯れた声の魅力
「傷だらけの栄光」では、曲のイメージを最大限に引き出すため、おぼたけしさんはわざと声を枯らした状態でレコーディングに臨んだそうです。この「傷だらけの栄光」を入場テーマ曲に使用しているのが、DRAGONGATE(ドラゴンゲート)の望月成晃選手です。
望月成晃選手は、武輝道場を経て、ドラゴンゲートの前身である闘龍門JAPANに入団しました。数ある団体にフリーで渡り歩いていた頃に、闘龍門にレギュラー参戦を決めた理由について「CIMAのカリスマ性で未来のある団体だ」とインタビューで語っています。しかし、当時ヒールだった本人の口からは「CIMAを潰しとけばおいしい思いが味わえる」と述べていました。
カバーバージョンの妙
望月選手は空手仕込みの鋭い蹴り技を武器に、数々のタイトルを獲得している選手です。
以前はオリジナル版で入場していましたが、現在は望月選手自らがカバーしたバージョンが使われています。
入場曲の途中で「もっちー」の合いの手を入れるのが定番になっていますが、これを始めたのは望月選手の実のお父さんだったそうです。
「傷だらけの栄光」は、プロレスラーがオリジナル曲を自らカバーして入場曲にする稀有な例です。ぜひオリジナル版と聞き比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
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