[プロレス映画鑑賞記] ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン(原題:LOS CAMPEONES JUSTICIEROS・1970年メキシコ映画:上映時間81分)

せかぷろ

【ルチャ映画】ミル・マスカラスがマッドサイエンティストと戦う!?

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「ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン」ってどんな映画?

メキシコのプロレスラーたちが主演するルチャ映画というジャンルをご存知でしょうか?

ルチャとはメキシコのプロレスのことで、マスクを被ったルチャドール(プロレスラー)たちが正義と悪の戦いを繰り広げるのです。

その中でも、日本でも人気の高いミル・マスカラスが主役の「ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン」は、1970年に製作されたSFアクションムービーです。

あらすじ

この映画のあらすじは、こんな感じです。

ブルー・デーモン、ミル・マスカラスら ルチャ・リブレ(メキシコ版プロレス)の “正義の戦士団”5人衆は、今日もリングで熱い戦い を繰り広げていました。

ところがそこにマシンガンを 持った謎の小人軍団が襲来します。敵の親王は5年前に ルチャ界を追放され、マッドサイエンティストと化したマノ・ネグラです。

証拠はないがそうに決まっています。街のミスコンに出場している彼らの 恋人たちも次々とさらわれてしまいます。

怒りに燃える正義の戦士団!どうする正義の戦士団!

この映画の見どころは?

この映画は、B級映画好きにはたまらない魅力が満載です。まず、マシンガンで半裸の人間を襲撃するという無茶苦茶なスタートからして凄いのです。

が、なぜか敵のミゼットは試合が終わるまで律儀に待っているし、正義の戦士団は絆創膏貼っただけで治ってしまうのです。

おまけに、敵の親玉は街のミスコン程度の美女をさらって復讐しようとするし、発明だけは天才的なマッドサイエンティストなのに役に立たないものばかり作るし・・・という感じで、突っ込みどころ満載です。

また、この映画ではプロレス技はほとんど使われず、原始的に殴る・蹴るだけのアクションが延々と続きます。

しかも、場所を選ばずに野原や空中や水中でも闘います。ほとんどメヒコ版「路上プロレス」です。

そして、何よりも驚くべきは、彼らは「マスクを決して取らずに」戦い続けることです。

これはルチャドールたちにとってマスクが自分自身を表すものであり、それを取られることは最大の屈辱だからなのです。

この映画を見ていると、メキシコの太陽が脳みそを溶かしてしまったかのように思えてきます。しかし、それが逆にこの映画の魅力なのです。

ジャジーな音楽(しかも一曲だけ)がどんなシーンにも無限ループされており、その中で脳天気な闘いが繰り広げられる様子は、まさに自由の国メキシコの匂いを感じさせます。

ビバ!メヒコ!ビバ!ルチャ・リブレ!

感想

この作品、頂き物なんですけど、久しぶりに 頭の悪い映画が見られて大満足です。

いや、頭が悪いって言っちゃいけませんね。 B級の中のB級王者と言い直しましょう(余計悪いかも)。

まず、マシンガンで半裸の人間を襲撃するという無茶苦茶なスタートからしてイカレているのですが、 なぜかスナイパーのミゼットは、ルチャドールたちの試合が終わるまで律儀に待っているのが謎(笑)

しかも、この正義の騎士団はミゼットに対しても容赦せず、キッツイプロレス技をかけてしまうのです。

もはや笑っていいものか、どうなのか?

見ている方が困ってしまうレベルで暴力的な映画でもあります。

そもそもミゼットも試合終わりまで律義に待って、ルチャドールたちを狙うんだったら、リング上でなくてもできたはずなのに...

だから、結果的に凹られちゃうんですよ・・・

という突っ込みはさておき、ミゼットたちのマシンガンで撃たれたはずなのに、絆創膏貼っただけの治療で動き回るマスカラスもどうかしてるとは思いますが...(汗)

この後、なぜか敵が銃火器を使う頻度はどんどん 減っていき、代わりに肉体と肉体がぶつかり合う 「どこでもルチャ」が場所を選ばずに展開します。

野原はもちろん、空中でも、水中でも ルチャドールたちは「マスクを決して取らずに」 戦い続けるのです。

しかも、プロレス技はほとんど使いません。原始的にひたすら殴る・蹴るの単純なアクションがこれでもか、というシーンがシツコイくらいに流されます(主戦場は野原なので、雰囲気は路上プロレスに近いです)。

ルチャリブレといえば華麗な空中殺法を期待する方も多いと思いますが、この映画にそんなものを期待するだけ時間の無駄です!

ビバ!メヒコ!

「街のミスコン程度の美女」をさらって、マスカラスに復讐しようとするマノ・ネグラの頭の悪さも大概ですが、このマッド博士は、なぜか発明だけは しょっちゅういろんなものを作り出すのです。

しかし、どれも全く役に立たないものばかり作るという、ある意味ボヤッキー並みの天才なのです!!

後はひたすらジャジーな音楽がどんなシーンにも、同じように延々流れているというルチャ映画お決まりの 抑揚のなさが、見ている我々を催眠状態に陥れていきます。

つまり、だんだん「これってアリだよなあ...」 と薄ぼんやりとした頭で思うようになってしまうから 怖いですぞ、ルチャ・リブレ!

さすが自由への闘いです。 もう自由すぎるくらい自由なのです。 闘う必要がないくらい自由!!!!

もうここまで来たら、筋書きなんてどうでも 良くなってきます... というか最初から筋なんて期待していないん ですけど(笑)

代わりに嫌と言うほど、脳天気な闘い模様が延々と繰り返されます。しかし、ルチャ映画は こうでなくてはなりません!

たとえブルー・デーモンが主役なのに、日本版では 「ミル・マスカラスの」、と謳われていても、 目くじら立ててはいけません。 そんな事例はごまんとあるんですから。

いやー、堪能しましたね、メヒコはいい! 本当にすばらしいです。太陽の国は頭の中までとろけているのです。グラシアス!

こんなのアメリカじゃまず撮れはしません。

いや、世界中探したって、こんな映画があるのは メヒコだけです。すばらしい文化だと思います。

ビバ!メヒコ!ビバ!ルチャ・リブレ!

この映画はどこで見られるの?

残念ながら、この映画は日本では劇場未公開です。しかし、DVDで見ることができます。

実は、この映画は「ミル・マスカラス ビバ!ルチャシネマ×2 」というDVDに、「荒野のルチャ・ライダース/地底王国を撃破せよ!」と共に収録されているのです。

しかも、日本語字幕付きです。これは、ルチャ映画ファンにとっては貴重な作品です。

このDVDは、Amazonなどで購入できます。2023年時点でも比較的入手は可能です。私には一銭も入りませんけどね(笑)

本当にマスカラス映画では貴重な日本語字幕作品なんで、この機会にぜひご覧ください。

まとめ

「ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン」は、1970年に製作されたルチャ映画です。

ミル・マスカラスをはじめとするメキシコのプロレスラーたちが、マッドサイエンティストと戦うSFアクションムービーです。

B級映画好きにはたまらない魅力が満載で、メキシコの自由な文化を感じさせます。日本では劇場未公開ですが、上記のDVDで見ることができます。

ルチャ映画ファン・B級映画ファンのスキモノには必見の作品ですぜ!

プロレス映画鑑賞記
プロレス映画鑑賞記は、プロレスにまつわる映画を見て、私が感じたことを書いているブログです。プロレスを描いた作品やプロレスラーが出演している作品を対象にしています。私のプロレスに対する執着に近い愛情が詰まった感想文をお楽しみください。
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