GAMSHARA SPRING CRASH 2024
(2024年4月21日(日)会場/門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
3月終盤ごろまでみぞれが降っていたくらい寒かったのに、いきなり夏日になったかと思いきや、今度は梅雨並みの降雨と、ここ最近の気温は本当におかしなことになっている。
あれだけ好きだったプロレスですら、興味が減退してしまい、芯から楽しめなくなってしまった。
まさか自分の興味が体調不良に引っ張られて、減退してしまうとは想定していなかったが、このままズルズルプロレスから足が遠のくのは本意ではない。
妥協案として、最低がむしゃらプロレスだけでも観に行くという事だけは決めてみた。
実際、プロレスに対して、こんなに興味が持てなくなるなんて、思いもしなかった。
しかし、何とかかつての熱を取り戻したい気持ちはある。個人的に今回の観戦はその試金石として位置付けることにしたのだ。
下関→門司赤煉瓦
週末はあいにくの雨。体調はあまり芳しくないため、少し遅く家を出た。
トンネルはさほど混んではいなかったが、国道199号線は安定の大渋滞。まあ、それも想定内。切り替えてのんびりと運転して、赤煉瓦到着。
門司赤煉瓦プレイスは他にもイベントをやっていることがあり、この日は朝から駐車場がだいぶ混んでいたらしい。
雨の中待ち時間をいろんな人と喋りながら過ごすとあっという間に開場時間となった。
オープニング
オープニングアクトに登場したのは、SHIGEKICHIリングアナと、ダイナマイト九州。
九州がいるとどうしても横にゲレーロがいるくらいセットになっていた風景が、今日からは見られない。そう思うと少し切なくなってしまった。
そして、2人が退場すると、入場テーマに乗って、がむしゃらプロレス代表SMITHが登場。
いきなり猪木問答よろしく「俺は怒っているぞ!」と矛先は2月にRe:ZARD入りしたゲレーロや、メインで3度目のタッグ王座にチャレンジするKENZOにむかう。
勢いでRe:ZARDを説教するといい出して、テーマ曲を鳴らすが誰もでてこない。ならば、と裏切られたHIROYAを呼び出そうとこちらも入場テーマをかけるがでてこない。
「いつからがむしゃらプロレスはこんなになったんだ?」と1人憤るSMITH代表は、7月28日に開催される次回大会をSMITHプロデュースにすると一方的に発表。
もともとがむしゃら一の自由人であるSMITHが好き放題にプロデュースする大会…
今までありそうでなかった大会になりそうではある。怖いようで楽しみになってきた。
第一試合
▼シングルマッチ(20分1本勝負)
×HAGGAR vs ○鉄生
(7分43秒急降下ロケットランチャー)
がむしゃらの頂点に立つ鉄生の使命は、自身の役割関係なしに、下の世代を自分のライバルとして育てねばならない事にある。
本来なら若さに任せてのし上がってくる若手の壁にだけなればよい話なんだが、人材不足の折り、この手法だと団体自体の底上げにもならない。
勢い新しい好敵手を外部に求めざるを得なくなるわけで、これはがむしゃらプロレスの歴史上かなり危惧される状態でもある。
ヒールとしての自身の立ち位置を変えずに、ライバルを自団体から発掘するには、現状自分が下の世代をレベルアップさせる以外に方法がない。
さて、HAGGARがその期待に応えられるかどうか、なのだが。
試合が始まってみると、鉄生の余裕を崩すべく、序盤から打撃で膝を破壊しにいくHAGGARに、着実な進化の跡が伺えた。
これに対してかつては身体の硬さを逆手にとられてきた鉄生が、丸め込みや押さえ込みでHAGGARの動きを封じにかかったのも面白かった。
最初はお手並み拝見という余裕も感じられた鉄生が途中からギアを一段あげて、本気で仕留めにきたのは、多分HAGGARがそれだけチャンピオンに肉薄した証拠なのだろう。
結果的には鉄生が急降下ダイビングヘッドバットで、粘るHAGGARを振り切る形にはなったが、近い将来HAGGARがGWAタイトルに挑戦する日も遠くないと感じさせられた一戦だった。
第二試合
▼牛たん あかべこ presents▼
GWA6人タッグ選手権(60分1本勝負)
[チャレンジャーチーム]ブラック★スティック & ×パンチ君 & 竹ちゃんマン vs [第3代チャンピオンチーム]○ポール・ブレイザー & ダイナマイト九州 & SMITH(14分02秒シャイニング・ウィザード)
2023年10月の八児大会で王座が移動した6人タッグベルトの初防衛戦。なんせ王者組は住んでいる場所も異なるゆえに、スケジュール調整もひと苦労。
そして、人数がたくさんいる時ならまだしも、出られるメンバーが限られている中での挑戦者選びもまた苦労がいる。
今回はどう考えても寄せ集めにしかみえないメンバーで、いずれタイトルマッチを組むにあたり、チャレンジャーチームも他団体頼みになりかねないのが現状である。
とはいえ、黒棒&パンチ君&竹ちゃんマンはがむしゃら屈指の芸達者軍団でもあるので、試合はかなりゆる〜く盛り上がった。
試合のハイライトはやはり執拗な頭部攻撃にさらされたポールのローンバトル。
ある意味普段がむしゃらではなかなかない髪の毛ネタが擦り続けられていて、王者組の見せ場になっていた。
試合は長い長い九州タイムや、まさかの場外戦があるなど、なかなか飽きさせない展開になり、最後はリングに残ったポールのシャイニングウィザードで、パンチ君を仕留めて初防衛に成功。
試合としては非常に面白かったし、6人タッグ戦の魅力も十分にでていた内容になっていた。
ただ、人員不足の折、次にタイトルマッチが見られるのはいつになるやら…。
第三試合
▼3WAYマッチ(30分1本勝負)
×ZAKA vs ○MIKIHISA vs ×尾原毅
(6分52秒ごっつあん固め)
がむしゃらプロレスでは割と珍しい3WAY。SNSでZAKAが「初挑戦」だと公言したが、おそらくがむしゃらメンバーの2人も言うほど経験はない。
そもそも前回がむしゃらで3WAYをやったのは、ジュニアタイトルをかけての試合だったはず。
アメリカでは盛んな試合形式だが、そもそも日本ではなかなか馴染まない。その3WAYががむしゃらでどういう化学反応をおこすだろうか?
全員が初体験という3WAYは最初は手探り手探り。
序盤こそ同ユニットで共闘しそうな雰囲気だった尾原とMIKIHISAだったが、これはあっさり分裂。
しばらくは片方がリング外に出るため、実質シングルマッチみたいになったかと思えば、突然我慢くらべが始まったり、となんとなく自分たちが見てきた3WAYっぽい動きを落とし込もうとしていた。
結果的にはリング下にいた時間が長かったMIKIHISAが全体の流れを把握できていたせいか?ZAKAと尾原をまとめてダブルフォール。
見事に漁夫の利を掻っ攫う事に成功した。おさまらないのが尾原とZAKAで、普段組まない2人が抜群のコンビネーションでキックの速射砲をMIKIHISAに叩き込むが既に試合は終わったあと。
最後にはじめての3WAYはやりにくかったらしくZAKAが思わず愚痴っていたのが面白かった。
第四試合
▼シングルマッチ(30分1本勝負)
×豪右衛門 vs ○久保希望
(12分04秒ダイビングセントーン)
NASTY OUTSIDERS同士の一戦。KENZOとのタッグが空中分解するなど、今ひとつ調子があがらぬ豪右衛門にとって、久保希望戦は、仕切り直しとしてうってつけ。
何よりこのまま地盤沈下してしまうのは、がむしゃらプロレスにとっても、豪右衛門自身にとってもよくないのは、いうまでもない。
入場こそいつも通りだった豪右衛門だったが、一発一発の攻めがいつもより厳しめ。難敵・久保希望の壁は同じユニットにいるからこそ身にしみてわかっているのだろう。
しかし、体重差のくくりとしてはスーパーヘビーとジュニアクラスになるものの、経験豊富な久保の攻撃は一発一発が重たい。
おまけに、豪右衛門にない身軽さまで武器にしている分、まともに食らい続けていたら、ダメージが蓄積するのは明らか。
それでも豪右衛門は不器用なりにスーパーヘビーの戦い方を貫いていたし、久保もそこは同ユニットだからと容赦はしない。
したがって、通常体重差で有利になるはずの豪右衛門がチャレンジャー的立場で必死に食らいついていき、久保がそれを受けてたったため、単なるシングルマッチではなく、豪右衛門再生というテーマがある試合になっていたと思う。
最後は矢折れ力尽きた豪右衛門を久保が仕留める形で終わった。当然試合が終わればノーサイド。清々しい結末になった。
個人的には数々の試合を拝見した中で豪右衛門のベストバウトになったと言ってもいい試合内容になっていたと思う。
これをきっかけに、もともと高いポテンシャルがある豪右衛門が覚醒していけば、がむしゃらプロレスはまだまだ面白くなっていくだろう。
セミファイナル
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
YASU & ×HIROYA vs ×トゥルエノ・ゲレーロ & 上原智也
(19分30秒)
※ノーコンテスト
2月の大会で袂を分つ形になったHIROYAとゲレーロが早くも直接対決でぶつかる。
とはいえ、今までユニット違いで実現していなかったゲレーロ&上原はなかなか強力な敵でもある。
何より、HIROYAにはユニット存続の危機にあるDREAM TUBERの立て直しというミッションまで背負わされた形になっている。
そのHIROYAを裏切ったゲレーロは、過去に使っていたテーマ曲をリミックスした新しいバージョンに変更。
登場した出たちは全身黒ずくめに目出しマスクの下にペイントを施したRe:ZARDバージョン!しかも手にしたGWAジュニアのベルトにピンク時代のマスクを貼り付け、過去との決別を表示したかのような出で立ち。
個人的にはグレートムタの和風部分を取り去り、狂気の部分を増殖させた感じで、さながらダークヒーローという感じ。
試合がはじまると、しばらくは上原対HIROYA、YASU対ゲレーロで進行して行ったが、やがてゲレーロとHIROYAがついに邂逅。
セニョールピンク時代は、割と感じなかった背丈とがたいの良さは、ゲレーロがHIROYAとぶつかり合うことで、際立ってみえた。
また、初タッグになる上原との連携も申し分なく、普段組む事がないHIROYAとYASUのコンビネーションを寸断していく。
最初こそ何か押さえ込むように淡々と試合をしていたHIROYAだったが、Re:ZARDのセコンド陣が椅子を投入すると、ついに椅子を掴んで応戦に。
気の毒なのは、裁くK.Kレフェリーで、通常ルールの試合になんとか戻そうとするが、冷静なのがYASUだけではどうにもならない。
巻き添えを喰らいながらも何とか試合を成立させようとしていたが、ついに諦めてゴングを要請。
試合はノーコンテスト。しかし、収まりがつかないHIROYAは、退場するRe:ZARDを追いかけて大乱闘。もはやYASUの声も耳に入っていない。
リング上には、投げ入れられた椅子が散乱しており、2度目の休憩を挟んで同じくRe:ZARDが保持するGWAタッグ戦が行われることになった。
メインイベント
▼GWA無差別級タッグ選手権(60分1本勝負)
[チャレンジャーチーム]○嵐弾次郎 & KENZOvs [第15代チャンピオンチーム]サムソン澤田 & ×陽樹
(21分37秒宮津湾トーンボム)
※第16代新チャンピオンチーム誕生
もはや盤石の王者になってしまった陽樹&澤田。その王者の対抗馬として白羽の矢が立ったのが豪右衛門&KENZOだった。しかし、このチームはあっさり空中分解。
仕切り直しとしてKENZOは、シングルで対戦して「通じ合えた」嵐弾次郎と再チャレンジすることに。
果たして盤石の王者相手に今度こそタイトルを奪取できるだろうか?
さて、試合前「腰回りが寂しいので、ベルト流出させてやる」とSNSで意気込んでいた弾次郎は、KENZOと共に気合いを入れて、タイトル獲得に意欲満々。
豪右衛門&KENZOのときは、リーダーになるはずの豪右衛門の不調に引っ張れた感じがあったが、弾次郎は前回戦ってKENZOの力量も把握済み。
あとは、弾次郎を戦力としてどこまで温存できて、KENZOが Re:ZARDの厳しい攻撃に耐えきれるかが鍵になってくる。
以前なら割と早いうちにガス欠していたKENZOだったが、さすがにこう何度もチャンスをもらいながら、今回も結果が出ないという形ではさすがに済まされない。
まさに背水の陣という表現通り、KENZOは矢面に立ち続け、Re:ZARDの厳しい攻撃にも耐えつつけた。
個々の能力なら嵐組を圧倒していたはずのRe:ZARDも、予想外と思われるKENZOの粘りに舌を巻いていたのかもしれない。終盤では場外戦に持ち込み、ゲレーロがレフェリーをとらえて、場外カウントを数えさせないという強引な手で、挑戦者チームを窮地に追い込んでいく。
このようにどう見ても王者組の流れだった試合を、KENZOは耐えきってほぼ強引に自軍にたぐり寄せた。
どれだけ弾次郎がフォローを入れても、パートナーの頑張りなくしては、タッグ王座は手中にできない。そういう意味では間違いなくこの試合は退路を断ったKENZOのものだった。
最後は弾次郎の必殺技「宮津湾トーンボム」が炸裂し、難敵陽樹から3カウント。自身が獲ったというより、勝敗に大きく貢献したKENZOの成長を誰よりも喜んでいたのが、他ならぬ弾次郎だったのが印象に残った。
しかし、ゴングがなっても収まりがつなかい Re:ZARDは、なおも弾次郎とKENZOに襲いかかる。
これに呼応してセコンドのHAGGARや HIROYAが応酬したため、セミファイナルの続きみたいな大乱闘。
たまりかねたSMITHが飛び出してきて Re:ZARDに「帰れ!」と一喝。それでもしばらくはおさまりがつかず、場内は騒然としていた。
エンディング
あらためてマイクを持ったSMITHは、新チャンピオンにねぎらいの言葉をかけると、弾次郎とKENZO、セコンドについたHAGGERにHIROYAを指して「これはがむしゃらの新しいリーダーズだな」となぜか勝手にまとめてしまった。
これに対して「(京都から)車で8時間かけてきて、それはない」と弾次郎があっさり否定。しかし続けてがむしゃらの若い世代の相談役として活動していく事を宣言!
最後はKENZOの「3.2.1がむしゃらー!」で締め。確かにがむしゃらの新時代を予感させる結末になった。
後記
個人的に最初はどうなることかと思っていたが、無理矢理にでも見に来て本当によかった。体調自体は二転三転する中、今後どうなっていくかは一抹の不安があるものの、首の皮一枚繋がった感じはする。
正直、基盤になる仕事さえしっかりできるようになれば、出来ることも増えてくるし、ハードワークにさえならなければ、まだまだ長い人生の折り返しも見通しがでてくる。
そういう意味では今回の大会には色々なエネルギーをもらうことができた。
次回大会は7月28日。久々開催になる福岡国際センターでのG1クライマックスを真裏に回しての、SMITHプロデュース大会になるという。いったいどんな内容になるのか、想像もつかない。
とりあえずG1は置いておいて、7月の大会を楽しみに待つとしよう。みなさん、ありがとうございました!
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