【プロレス観戦記】GAMSHARA NEW YEAR IMPACT 2026 (2026年2月1日)

がむしゃらプロレス観戦記

GAMSHARA NEW YEAR IMPACT 2026

(2026年2月1日(日)門司赤煉瓦プレイス)

イントロダクション

待望のがむしゃらプロレス2026年最初の大会は「NEW YEAR IMPACT」。

かつてはヘビー、タッグ、ジュニアの三大タイトルマッチといえば年末の「MANIA」で行うのが恒例だったが、いつしかジュニアとヘビーだけが行われる形式へと変わっていった。

そんな中、昨年後半はどちらかといえば対立していた嵐弾次郎とKENZOのタッグ王者チームが、久々に組んでタイトルマッチに挑むのが本大会の目玉である。

他にも、この日が誕生日となるSMITH代表の記念試合や、北都プロレスでプロになってからは初めての登場となるシドニー昌太スティーブンスの凱旋など、見どころの多い大会となっている。

下関→門司赤煉瓦

一月末からやってきた寒波の影響で気温は上がらず。雪が降らなかったのは幸いだったが、晴れていても強風が吹き荒れているため体感温度はマイナス1℃。

しっかり防寒対策をしてきたつもりだったが、赤煉瓦プレイスに着くと……やはり寒い!

知人と話をしながら寒さをやり過ごし、定刻通りに開場。中に入ってみると、珍しくリング練習が行われていた。プロレス教室でお馴染みの前回りや後ろ受け身を入念に繰り返している。

イベント試合などで行われることはあるが、主催試合でこうした光景が見られるのは非常に珍しい。40年ほど前の新日本プロレスでは、開場後も若手を中心とした練習風景が見られたものだが、リングで受け身を取って鳴り響く音は、どんな音楽よりも「プロレスを観に来た」という実感を抱かせてくれる。

オープニング

2026年最初の大会ということで、全選手(Re:ZARDを除く)の入場式が行われた。注目はこの中に無所属となった鉄生が混じっていたことだ。

デビュー以来一貫してヒールを貫いてきた鉄生だが、それゆえに「GAM1」以外の選手入場式に出てくることはまずなかった。今回、満を持しての参加となったわけだ。とはいえ、ベビーターンしたわけではないので、特別に媚びるような態度を見せることもない。

選手を代表してSMITHがマイクを持った瞬間、BGMが流れ、クラッカーが鳴り響く。お客さんからは一本ずつ花が贈られた。「俺、今日引退?」とおどけながらも嬉しそうな代表。マイクを握ると、SNSで「54歳」と書かれたことにクレームを入れつつ、しれっと現GWAヘビー級王者・HIROYAがベルトを会場に持ってきていないことを暴露してしまう。

その後、全対戦カードが発表され、いよいよ2026年のがむしゃらプロレスがスタートした。

第一試合

▼「2026年オープニングマッチ」
シングルマッチ(30分1本勝負)
HAGGAR vs ×MIKIHISA(4分05秒)

個人的には、HAGGARがデビューしてからのベストマッチは、2025年末の「MANIA」での試合(KENZO&HAGGAR vs 嵐弾次郎&佐々木貴)ではないかと思っている。今回のこの試合は、その「答え合わせ」だ。

格上の選手と戦って必死に食い下がっていったあの時の気持ちが、対MIKIHISA戦でどれほど発揮されるか。大きなHAGGARコールに押されてノリノリのHAGGARに対し、MIKIHISAはのらりくらりと凌ごうとする。リング下で駄々をこねたり、HAGGARが降りるとさらっとリング内に戻ったりと、なかなかペースを握らせない。

試合が本格的に始まると、ひとつの変化に気づいた。もともとMIKIHISAとHAGGARは、体重差を除けば使う技が似ている。二人とも蹴りと関節技を中心に試合を組み立てるタイプだ。だが、この日のHAGGARは違った。見た目に合わせてかパワーファイトを中心に据え、これまでほとんど出していなかった声がよく出ていたのだ。感情がお客さんにダイレクトに伝わってくる。

マスクマンの先輩であるリキ・ライタも、最初は今ほど声が出ていなかった。少しずつ試合に慣れ、声が出るようになることで試合の質が向上していった。ようやくHAGGARも何かを掴む段階に来たのかと思うと、感慨深い。

やはりヘビー級がジュニアヘビー級に勝つとき、圧倒的な体格差やパワーを見せつけられると説得力が生まれる。同期のKENZOにはかなり遅れをとったが、HAGGARもようやく上へあがるタイミングが来たのだろう。

最後はパワーにものを言わせたHAGGARの勝利。先輩からの勝利が当たり前になりつつある。2026年の活躍が楽しみだ。

第二試合

▼「SMITH誕生日だヨ!全員集合」
6人タッグマッチ(疲れん程度1本勝負)
竹ちゃんマン & パンチくん & 〇ダイナマイト九州 vs リキ・ライタ & ポール・ブレイザー &×SMITH(21分29秒)

 2009年に初めて小倉北体育館でSMITHの試合を観てから、もう17年の歳月が過ぎた。当時30代後半だったSMITHが50代になっているという事実は、なかなか受け入れがたいものがある。とはいえ、見ている自分も40代から60代になっているのだから、これは現実なのだ。

西日本の社会人団体では50代の選手も珍しくなく、皆が元気なのが特徴だ。SMITHももちろんその一人。もともと「自分が目立たないと気が済まない」性質だけに、いつも以上に張り切って見せるかどうか。

さて試合は、赤鬼に扮したSMITHと青鬼に扮したポールが「悪い子を成敗しに来た」という流れで、いきなり鬼軍団が九州軍を奇襲。そのまま場外戦になだれ込んでいった。

時間は「疲れん程度」とはいえ、通常のポールではなく「青鬼」として試合をする姿はかなりレアだ。おまけに自ら仕掛けた場外戦となると、滅多に見られるものではない。

しかし試合が進むにつれ、青鬼のまま「フォウ!」と叫び出し、ちょいちょい素のポールが顔を覗かせる。最初はそのたびに赤鬼SMITHが突っ込んでいたのだが、だんだん面倒になってきたのか、途中から放置。

終盤は九州の出番。いつもの通り「1、3、5、7、九州、九州!」を決めようとしたが、最近は誰も付き合ってくれない。それでも気持ちよく定番ムーブをやっていたのだが、突き出したケツに鬼コンビのダブル金棒がクリーンヒット。

これではたまらんと思ったのか、九州は用意していたバースデープレゼントと「誕生日おめでとう」のタスキを差し出し、SMITHを完全に油断させる。ところが、これが罠だった。SMITHが完璧に油断したところを下から丸め込んで3カウント!

さらに九州が「ネタ被ってるじゃないか」と、オープニングですでにお祝いが終わっていることに文句を言い始める。誕生日を白星で飾れなかったSMITHは、渡された空箱を見て悔しがるが、後の祭りであった。

第三試合

▼「GWAシングル王者2名がタッグで登場!」
スペシャルタッグマッチ(30分1本勝負)
トゥルエノ・ゲレーロ & 〇陽樹 vs アストロZ & ×HIROYA(16分16秒)

昨年末の「MANIA」でジュニアとヘビーの両王座を戴冠したアストロZとHIROYAが初タッグを結成。相手はタイトルも含め、さまざまな因縁があるゲレーロと陽樹だ。

がむしゃらプロレスでは長年、SMITHやマスクドPTが高い壁となり、鉄生や陽樹らがそこに何度もぶつかっては跳ね返されてきた。彼らは必死にもがきながら、自分たちの力で時代を掴み取ってきたのだ。そして今度は鉄生や陽樹が、HIROYAの前に立ちはだかる「壁」になる番なのだ。

HIROYAを簡単に「がむしゃらの顔」にしてしまうことは、自分たちが散々苦労してきた歴史を否定しかねない。だからこそ壁になる側も必死になる。そうすることで伝統は継続されていく。単なる因縁では済まされない闘い模様が、この一戦には含まれている。

オープニングから「ベルトを忘れてきたこと」をいじられるHIROYAだが、勢いに任せてRe:ZARDチームを追い詰める。しかし、専用の入場テーマ曲を持ち、他団体でもタッグを組むことが多い陽樹とゲレーロは、即席の王者コンビよりも明らかにタッグワークで勝っていた。

もしこれがシングルマッチだったら、また違った印象になったかもしれない。だが、上の世代に煮え湯を飲まされてやっと掴んだ自分たちの時代を、そう簡単に下の世代へ譲るほど彼らはお人好しではない。今はまだ、陽樹や鉄生の世代がトップであることは疑いようがなく、ファンからの信頼も声援もダントツで多い。この「積み重ね」こそが、HIROYAたちがこれから築き上げていかなければならない部分だ。

終盤、Re:ZARDがレフェリーを引きつけ、その隙にセコンドが椅子を陽樹に渡し、HIROYAを痛打。一瞬の隙だったが、この「狡猾さ」が勝敗を分けた。

勝った陽樹はHIROYAに、ゲレーロはアストロZにそれぞれ挑戦表明。ここで終わるわけにはいかない彼らも必死だったのだ。対するHIROYAはベルト忘れを再度突っ込まれ、苛立った様子。

一方のアストロZは、春大会を家庭の事情で欠場するため、4月以降にゲレーロの挑戦を受けることを承諾した。春大会でのダブルタイトルマッチこそ叶わなかったが、ヘビー級王座戦の実現は濃厚。これは楽しみだ。

休憩

5試合というカード構成は一見短く思えるが、一試合当たりの密度が非常に濃いため、かなりの時間が経過していた。

プロ団体は休憩なしで一気に終わらせることも多いが、観客としてはこうした中休みがある方がありがたい。

セミファイナル

▼「勧善懲悪!Re:ZARD制裁マッチ!」
6人タッグマッチ(30分1本勝負)
OT-1000 & サムソン澤田 & 上原智也 vs シドニー昌太スティーブンス & レオパルドン横山 & 久保希望(18分39秒)

注目は、岩国プロレス時代に何度も参戦していたシドニーが、プロになって初めて凱旋することだ。シドニーはかつてSMITHが所属するユニット「DREAM TUBER」に在籍していたこともあり、戦力として非常に頼もしい。北都プロレスで積んできたキャリアもあり、八面六臂の活躍が期待される。

対するRe:ZARDもみすみすやられるわけにはいかない。北都のベルトを携えて登場したシドニーは堂々とした佇まいで、久々の対決となるRe:ZARDとのぶつかり合いを心底楽しんでいるようだった。以前は見せなかったグーパンチの出し方などにもキャリアが感じられ、これまでの道のりが間違いではなかったことを証明していた。

試合では、先発を買って出た横山と、因縁の深まるOT-1000の絡みが注目された。素手で攻撃すれば機械の体にダメージを負うはずだが、シドニーが持ち込んだ超重量級の鎖がOT-1000にヒット。精密機械がまさかの故障を引き起こす。

長い時間捕まっていた横山がようやく自軍にスイッチ。Re:ZARD制裁に燃える「横山社長」は自力でピンチを脱出する。しかし、Re:ZARD唯一の二冠王となった上原が、シドニーや久保を蹴散らし、再び横山を引きずり出した。最後は澤田のスピアーからノーザンライト・スープレックスを決められ、横山社長が直接カウントを取られて敗北。

Re:ZARD側に「チームとしての年季」があったという結果だろうか。正義が必ずしも勝てないという現実をまざまざと見せつけられる幕切れとなった。

メインイベント

▼「海千山千 vs 勇往邁進」
GWA 無差別級タッグ選手権(60分1本勝負)
【挑戦者組】YASU & 鉄生 vs 【第16代王者】KENZO & 嵐弾次郎
(16分52秒)
※王者組3度目の防衛戦似失敗:挑戦者組が第17代王者に!

最近は無所属の選手が増えているが、がむしゃらプロレスでいち早く無所属を貫いていたのがYASUであり、それに追随する形になったのがRe:ZARDを追放された鉄生だった。

その鉄生がHIROYAへの挑戦以前に「やりたいこと」としてタッグ王座に照準を絞ったのが、昨年の「GAMSHARA MANIA 2025」であった。

一方、王者側のKENZOは防衛に自信を見せ、「自分たちが勝ったら挑戦者チームをPanzer4へ強制加入させる」という条件を提示。この試合の結果次第で、団体内の勢力図が大きく変わる可能性が出てきた。

序盤、王者組が体格を活かしてジュニアのYASUを攻め立てる。対するYASUもスピードと小柄な体格を活かし、巨漢コンビの隙を突く。

ここに敢えて体格の違うYASUが入っていることに意味があるのだ。意外と打たれ強く、すばしっこく、隙あらばダメージを積み重ねるYASUのプロレスは、大型パワー対決にはない独自の「味」を生み出す。

だが、近年のYASUの対ヘビー級戦績は必ずしも芳しくない。KENZOにも敗北を喫しており、長年の疲労蓄積からかテーピングも目立つ。

それでも、かつて土屋クレイジーと組んで無敵のタッグ王者として君臨したキャリアは死んでいなかった。今回のパートナーは鉄生だが、かつてのユニット「gWo」で行動を共にした仲であり、信頼関係は申し分ない。

鉄生もまた満身創痍ながら、ライバルである弾次郎に対し、肩のサポーターを外して真正面から勝負を挑む。YASUと鉄生のコンビネーションは次第に噛み合い、気がつけば王者組を上回っていた。

要所でダメージを最小限に抑えたYASUが効果的なタッチワークを続け、最後はリーダー格の弾次郎をYASUが鮮やかに切り返し、自力勝利をもぎ取った!

当然、力尽きて負けたわけではない前王者はピンピンしているし、逆に新王者はマットに崩れ落ちている。しかし、勝ったのは立ち上がれずにいるYASUと鉄生だ。「まだやれるぞ!」と悔しさを露わにする弾次郎だったが、すべては遅すぎた。

エンディング

マイクを握ったYASUは、軽量級の自分でもここまでできること、そして長くタイトルから遠ざかっていた悔しさを自身の言葉で切々と語った。鉄生もパートナーへの最大限の感謝を述べ、最後はYASUの音頭による「3、2、1、がむしゃらー!」で大会を締めた。

正直、ポーズを決める余裕もないほど消耗していたのが本音だろう。それほどまでに死力を尽くした試合であり、同時に大きな充実感があったのだと思う。素晴らしいメインイベントだった。

追記

北九州というのは土地柄、非常に会場が白熱するいいところでもあるのだが、時々自分の憂さ晴らしに大声を出しまくり、周囲が眉をひそめるような歓声もあったりして、こういうのは正直なところ騒音でしかない。

今回も最前列に一名そういう人物がいたのだが、困ったことにこの御仁、場違いなヤジを飛ばすだけでなく、場外乱闘でも絶対席をたたないのだ。逃げないのが自分のポリシーみたいな事をいっていたが、万が一それで怪我でもしたら、絶対文句いうに決まっているし、主催者側も責任問題が出てきてしまう。

これはどこかで明文化するか、訴えられてもいいように対策を講じておいた方がいいかもしれない。なんなら返金して退場してもらうくらいの措置まで必要かもしれない。

今まではがむしゃらプロレスとお客さんの信頼関係で成り立ってきた部分だけど、そこを曖昧にしておくと後々よくない気がするんだよなあ。

後記

試合が終わって外に出ると、空は幾分明るくなっていた。 赤煉瓦プレイスには新しい建物が建設中で、駐車場は以前の半分のスペースになっていた。幸い近くに終日300円の駐車場を見つけられたが、門司駅前は年々ビルが増え、駐車スペースが減っている。数年先にはどうなっているか分からない。

JR駅前という立地を考えれば、いつかは「下関に車を停めてJRで門司入りする」時代が来るかもしれない。博多行きが新幹線ではなく高速バスが主流になったように、時代と共に変化していく。

がむしゃらプロレスと出会って、あと3年で20年。その時、この団体や風景はどうなっているだろうか。多少の不安を感じつつも、それ以上に楽しみにしている自分がいる。

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