プロレスリングFREEDAMS |『いざゆけ無敵の自由軍団2024』
(2024年11月23日(土):福岡・北九州市門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
一月に仕事を辞めて、六月に教育支援(就労支援)をスタートさせ、十月に両親が揃って入院という、もはやプロレスどころではない怒涛の時間を過ごしてきた2024年。
更に11月は、水曜緑内障検診、木曜がん検診、金曜心療内科からの土曜FREEDAMSに日曜日のがむしゃらプロレスと、時間的にも金銭的にも厳しいスケジュールが集結。
熟考した末、北九州初上陸から皆勤賞だった都の宴を欠席して、プロレス観戦のみに集中することにした。
就労支援と言っても無収入だし、時間もタイトな以上、これはやむを得ない選択だった。
年齢的なことはともかくとして、あちこちにガタが来ている心身に無理させるわけにはいかないのだ。
更にいうなら、この年末から来年にかけて、両親がどうなるかわからないし、私の体調もどうなるかわからない。今年観に行けたのはある意味奇跡なのだ。
下関→門司赤煉瓦
気温は昨日よりやや低め。寒いので4枚重ねで出かけるが、寒暖差アレルギーがでてしまい、運転しながら鼻水がとまらない。
おまけに連休初日という事で関門トンネル前は大渋滞。結局門司赤煉瓦についたのは、1時間半後。
マスクは複数枚用意して、水は500ミリのペットボトルに替えてきたので、乱闘に巻き込まれても逃げられる準備は整えてきた。
結局、入場時にはそれほど待機列もなく、すんなり入って、階段列3段目から観戦することにした。
今回は吉野レフェリーと富山リングアナが欠場のため、レフェリーはがむしゃらからK.K &Bee那須の両名と、MY WAYからレフェリーマンが、リングアナはがむしゃらからSHIGEKICHI本部長が参加して、いつもとは少し違う雰囲気になっていた。
まあ、赤煉瓦だとこのメンツの方がむしろ見慣れているため、違和感はなかったけど。
オープニング
こちらはいつも通り、マイクを握らなくても普段からうるさいスギウラマンが登場。
最初は殿がやっていたオープニングアクトも、今ではKING of FREEDOM WORLDチャンピオンとして、団体の顔にもなったんだから、当然と言えば当然。
興奮すると声がうらがえるとこまで、殿から受け継いだスギウラマンのコールで大会はスタートした。
第一試合
◇がむしゃらプロレス提供試合
×HAGGAR &KENZO (9分6秒:ブレーンバスター)YASU&○HIROYA
第一試合はお馴染みがむしゃらプロレス提供試合。最初の頃はがむしゃら選抜+FREEDAMSのX二人が、各チームにつくという構成だったが、最近は単独でひと試合任されるようになった。
北九州を西の聖地として定めてから10数年が経過し、今や純血メンバーだけでカードが組める。まさにFREEDAMSとがむしゃらプロレスが「心の提携団体」と呼ばれている所以でもある。
さて、HAGGARとKENZOは同期であり、デビュー当時はよく組んでいたのだが、KENZOが嵐弾次郎とGWAタッグ王者になってからは、しばらく組む機会がなかった。
KENZOにしてみたら、対角線に翌日タッグ王座に挑戦してくるKENZOがいるのも懸念材料。
そのYASUのパートナーはHIROYAであり、YASUを除く3人はPanzer4という同ユニットに所属している。
つまり、KENZOとHAGGAR、HIROYAはPanzer4としてがむしゃらプロレスを代表してこの場にいるので、気合いが入らないわけがない。
その意気込みは十分伝わってきたのだが、KENZO&HAGGARには、しばらく組んでいない不安点もある。
ましてや、HAGGARにしたら先を行くKENZOにも、実質的なリーダーであるHIROYAにも負けたくない気持ちはあるだろう。
しかし、経験豊富なYASUがコントロールしたHIROYAとのタッグは想像以上に噛み合っており、ほぼ同門対決でありながら、非常に激しい攻防となった。
結果的にはHAGGARがHIROYAから強烈なファルコンアローでピンフォール。残念ながら同期タッグは爪痕を残せなかったが、次組む事があるとしたら、是非ともHAGGARの更なる成長をみたいと思っている。
第二試合
◇6人タッグマッチ
GENTARO &香取貴大&×ドラゴン・リブレ (10分26秒:ヘッドシザースクラッチ) ○植木嵩行(ホセ植木)&ヴァンヴェール・ネグロ&ヴァンヴェール・ジャック
がむしゃらプロレスに続いてはMY WAYが登場する九州枠パート2。こちらは通常のFREEDAMSにおける闘いに、MY WAY親子が放り込まれる形になる。
最近は土曜に北九州大会、日曜にMY WAYの大会が連続して行われ、MY WAYには FREEDAMSの選手がゲスト参戦する流れになっている。
通常なら日曜の前哨戦を土曜日にやってもいいはずなんだが、それじゃ当たり前すぎて面白くない。
何より北九州はMY WAYにとってホームでもアウェイでもない場所であり、MY WAYだけでなく、FREEDAMSファンやがむしゃらファンも多数駆けつける。
そんな中で、MY WAYの何たるかを見せるなら、ヴァンヴェール親子以外適任者はいないと思うのだ。
そんなマスクマン親子に植木を混ぜたチームは、なぜかメキシカンな香りを漂わせて入場。選手コールの時も「ホセ植木」とコールされ、「ビバ!メヒコ!」とノリノリな様子。
試合が始まると、香取やリブレが年齢の近いジャックとバチバチな視線を交わすが、血気はやる若者たちをうまい具合にいなしてコントロールするのが、GENTAROや植木の役割。
特にこうした多人数タッグになると、GENTAROのインサイドワークはキラッと光るため、非常に印象的でもある。
ところがメヒコに味をしめた植木は、ある意味ヴァンヴェール親子以上にノリノリだった。
確かにMY WAY勢も悪くはなかったし、そもそも他団体との抗争ではよりイキイキしてくるのが、彼らの持ち味でもある。
ところがとにかくホセ植木はキャラが立ちすぎている。普段の植木嵩行でも十分すぎるくらい目立つ存在なのに、ルチャリブレに染まったホセは更に誰よりも目立っていた。
最後もドラゴン・リブレの空中戦から、ホセがくるりと体勢を入れ替え鮮やかな抑え込み。
これは他の5人も唖然としていた。
最後はもちろんヴァンヴェール親子と共に「ビバ!メヒコ!」と叫んで、ホセは終始上機嫌で退場していった。
第三試合
◇タッグマッチ
○マンモス佐々木&阿蘇山 (12分22秒:29歳→体固め)最上九&●鉄生
全員100キロオーバーのスーパーヘビー級対決。見どころはベテラン越境コンビの方がデカくて動けてパワーでも衰え知らずというところ。
となれば、最上も鉄生も真っ向からぶつかっていくしかない。小細工より大男同士がひたすら激突し合うというプロレスのシンプルな攻防が、この試合の見どころになりそうだ。
かつてK-DOJO時代に一回北九州に来たことはあるが、最上が所属する後継団体の2AWにしろ、12月に博多で大会を開くJTOにしても、北九州とは縁が薄い。
したがって最上はおそらく赤煉瓦では実質初登場と言っていいはず。
初登場で意気込む最上だが、なんせ相手は自分以上にデカいマンモスと阿蘇山。最初は組み合ってみたものの、すぐに鉄生と交代。
鉄生は、久々の対戦になる阿蘇山と真っ向勝負に挑む。驚くべきは年齢を感じさせない阿蘇山のコンディション!
体格もパワーもスピードもこの10数年全く衰え知らずなのだから、もはや脅威的である。
阿蘇山ほどではないにしろ、マンモス佐々木もベテランの域にいるレスラーだが、この二人がまあ強いのなんの。
最上と鉄生のコンビも重量級タッグとしては申し分ないのだが、いかんせんマンモスと阿蘇山がすごすぎた!
ただ、印象的だったのは4人が4人とも楽しそうに試合をしていたこと。それぞれに思いはあっただろうが、互いにそれをぶつけ合ったことで、ど迫力ファイトに繋がっていったと思う。
狭い赤煉瓦という会場で、プロレスの魅力が、シンプルに伝わったという意味では、このカードが組まれた意味は十分あったと思う。
マンモスが垂直落下式ブレンバスターで鉄生を仕留めた後、退場する鉄生に向かって、何か声をかけていたが、多分ベテラン組も相当手応えを感じていたのかもしれない。
それだけのものを最上も鉄生も残したのだから、誇っていいのではないだろうか。
セミファイナル
◇タッグマッチ
竹田誠志&●山下りな (14分6秒:エビ固め)○ビオレント・ジャック&吹本賢児
もはやいるのが当たり前になってきたデスマッチアマゾネス・山下りなは、竹田誠志と組んで、ジャック&吹本という強力コンビと対戦。
会場的にデスマッチはできないものの、ハードコアな匂いがぷんぷんしてくるメンバーの中で、誰が一番いい血を流せるか?
もちろん会場の関係で、実際に流血するのは稀ではあるんだけど、この四人が集まってタダですむわけにはいかないだろう。
そう、確かにこの試合は違う意味で、タダでは済まなかったのだ。それは一体どういう事だろうか?
こちらの期待とは裏腹に、なぜか入場時から竹田と山下はなぜかいがみ合っていたのである。
二人の仲違いは試合中も継続し、あわや空中分解しかねない雰囲気が漂う。
しかし、なぜか二人とも肝心なところで踏みとどまり、試合は絶対に壊さない。
他方でジャックと吹本に連携は不安なく、普通に行けば勝てそうなものだが、竹田と山下のチームプレイが変則すぎて、なかなか攻め落とせない。
しかし、そもそもスムーズなチームワークが最初からない竹田と山下は試合終盤こそわずかながら連携をみせたものの、最後は山下がジャックの妙技に抑え込まれて敗戦。
最後まで怒っていた竹田はもちろん山下を置き去り。ギクシャクした試合だったけど、基本的には面白い内容だった。
メインイベント
◇6人タッグマッチ
●葛西純&佐々木貴&藤田ミノル (18分13秒:レッドブリック→エビ固め)○杉浦透&正岡大介&平田智也
メインはベストオブFREEDAMSと呼べるメンツが集結。特にもと北九州市民であり、西日本には度々戻ってきている藤田にしてみたら、格別な凱旋には違いなかろう。
そして、2024年7月、家庭の事情により興行へのフル参戦を年内一杯と発表した正岡にしたら、ラストになる北九州大会となるだろう。
凱旋と卒業が絡んだメインには様々な人間模様が垣間見える。もちろんいつも通りダムズらしく、賑やかで激しい闘いになることは間違いないだろう。
ベテラン軍は葛西のテーマ曲で登場したが、葛西のコールが終わるやいなや、杉浦軍が3人を急襲。リングで覇権をとったヤングダムスは、そのまま場外になだれこんだ。
当然会場の全てが戦場になるわけで、これはFREEDAMSの十八番!
若手が奇襲を仕掛ける場合、そこが頂点になって勢いが続かないけど、杉浦みたいな若き王者側がやると、ベテランを勢いで飲み込みかねない。
それだけに、殿も葛西も藤田も引くわけにはいかない。こうなってくると乱戦になっても試合は面白くなっていく。
リングに戻っても試合は一進一退。今のFREEDAMSを支える自負をぶつけてくるスギウラマンや平田は、年内にフル参戦撤退を表明している正岡をフルサポートしつつ、ベテラン軍に猛攻を加えていく。
一方で殿も葛西も藤田もそれぞれ見せ場を作り、これぞFREEDAMSのメインイベントという内容で、久々にプロレスらしいプロレスを単能できた。
最後はレベル50に達した葛西から現KOFチャンピオンの杉浦がピンフォール勝ち!
年齢は数字でしかないと公言する葛西は、普段から厳しいトレーニングを課しているが、まさか最初の勢いから、最後に至るまで押し切られれるとは…。
ただ、この敗戦は葛西の衰えではない。
現在の王者として杉浦がFREEDAMSの顔になっているという当たり前の現実を見せつけたに過ぎないのだ。
エンディング
当然、締めのマイクはスギウラマンが務める。オープニングもエンディングも杉浦透がマイクを持つのは、長い北九州大会では初めての事。
そして、ひとしきり喋り終わると、スギウラマンは佐々木貴代表にマイクを渡す。
これも異例といえば異例。しかし、プロレスリングFREEDAMSはこれからこうした光景が当たり前になっていくのだろう。
最後は来年も西の聖地に帰ってくる事を約束して、大会は終了した。
後記
全五試合で休憩なしのスタイルは、特に日曜のMY WAYが入るようになって、大会後に開催される殿の宴の時間もふくめての対策になったのだろう。
しかし、試合だけでも充分お腹いっぱいになるくらい楽しめた。後で聞いたら宴もかなり盛り上がったそうだ。
現在のところ、こうしたスケジュールになると、体調面でも金銭面でも宴込みというわけにはいかないので、それは仕方ない。
しかし、プロレスリングFREEDAMSについては、せめて試合だけでも可能な限り見続けていきたい。本当に心からそう思っている。
楽しかったです。ありがとうございました!