[映画鑑賞記] スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ
17年12月15日鑑賞。
『フォースの覚醒』のラストシーンで、万感の思いを込めてルークにライトセーバーを差し出すレイ。彼女をじっと見つめるルーク。そこに言葉はない。観る者の胸を感動で満たし、同時に様々な想像をかき立てずにはいられなかった、このラストシーン。――そして物語は、『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』へと受け継がれる。
伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーとめぐり逢ったレイが知ることになる驚くべき真実とは？ なぜカイロ・レンはダース・ベイダーを受け継ごうとするのか？ さらには、レジタンスを率いるカイロ・レンの母親レイアと、ポー、フィン、BB-8らレジスタンスたちの新たなるミッションとは？ そして、タイトルの“最後のジェダイ”が意味するものとは？
――知られざる秘密が明かされるとき、さらなる謎が生まれる。（あらすじは公式サイトより）
レイア姫との再会
昨年末に亡くなったレイア姫ことキャリー・フィッシャーさんが生前既に登場シーンを撮影し終えていたため、図らずも没後1年にして、スクリーンで「再会」を果たすという僥倖？に恵まれた。もっとも「ローグワン」ではカメオ出演しているので、厳密には再々会という形になる。
キャリーさんの没後、数々の醜聞がマスコミやネットに踊った。しかし、現実の彼女がどうであれ、スクリーンの中では永遠にレイア姫である。その事実は変わらない。ある意味、自分の頭の中にあるレイア姫のイメージについた煤を払う意味でも、今回の映画はタイミングがよいとさえ言えるのではないだろうか？
さて、さすがにレイア姫の「早逝」が及ぼした影響は決して小さくはない。一説によると次作エピソード9はストーリーの変更を余儀なくされたという。また、ディズニーがエピソード9以降もスターウォーズを作り続けるという噂すら流れている。
スターウォーズは大まかに分けて、基本3部で一つのストーリーが完結する。よってエピソード7と9を繋ぐ8は、最初から単体では完結しないのだ。それがわかって観に行くわけで、間に「ローグワン」のようなアナザーストーリーがあるとはいえ、完結まで2年待たせる価値がないと、エピソード8の評価は辛くならざるをえない。果たして内容はどうなっていたか？
正直、「続く」ではなく一本の完結した話として「最後のジェダイ」を作る気だったというのはみていて伝わったのだが…
色々あった「気になる点」
ネタバレにならない程度に感想を書くのは難しいのだが、気になったところをいくつか書いてみたい。
①時間配分って難しい
②ディズニー的要素の是非
③暗黒面におちるのは誰？
④帝国の逆襲との対比
⑤エピソード９はどうなるんだ？
①に関しては、あくまで個人的に感じたことだが、前半戦は比較的退屈な感じがして正直眠かった。エピソード７で盛り上がりに盛り上がった期待値が瞬時に覚めていくのが感じられた。もっともこの静かなシーンがないと後半のエキサイティングなシーンが浮き立たない。そういう意味では難しいところだが、ルーカスならどうしたかなあ？という目線でどうしても見てしまった。スターウォーズファンが作るスターウォーズと、そうでないスターウォーズ。どちらが正しいか私にはわからないが・・・・
②についてはBB-8の人気を超えるキャラクターとして公開前から話題になっていたポーグのことだが、このポーグの描き方がなんとなくスターウォーズの世界観をぎりぎり壊しているような感じがしたのだ。なんというかピクサーとかならアリだけど、スターウォーズにこういうマスコットが複数いるかなあ？という疑問があったのだ。BB-8は戦闘にも出ていくキャラクターだけど、ポーグは癒しやほっこりを与える役割しかふれないし、実際そういう風にしか登場しない。このディズニー要素は監督のお気に入りでもあったそうだが、これもルーカスだったらどうしたろうなあと思って観てしまった。
③はもしかすると「あの人」が？という予感があったが、光と闇の二面性をもつカイロ・レンの葛藤が物語の大半を占めていた。とはいうものの、それほど悩み多き感じはみえなかったし、正直描きこみ的にはやや食い足りない感じさえした。果たして今後カイロ・レンをこれからエピソード９でどう描いていくのか？
エピソード９はどうなる？
光の側面をもつレイとレンの対比は次作でもメインにはなるだろうが、ちょっと先が見えにくいなあという感じがした。あとレイア姫の扱いはいったいどうなるのか？はこのエピソード８をみた限りではわからなかった。鑑賞後、友人たちと予想してみたけど正直「これ！」というアイディアはでなかった。まあそれはそれで楽しみではあるのだけど。
④だけど、帝国の逆襲では有名な「ルーク、私はお前の父だ」という衝撃的な種明かしがあったため、エピソード８でも「もしかして」という期待があったのだけど、正直これも「！」というものはなく、壮大な種明かし（があるとしたら）は次作に持ち越しとなっている。長編サーガになったスターウォーズシリーズではシリーズを追うごとに期待値が高まっていくのは仕方ないことかもしれないが、やや拍子抜けした感は否めない。
むしろエピソード７から９までって、エピソード６までのキャラを総退場させて新しいサーガを作る布石にしたいんだろうか？とも邪推してしまった。
ということを踏まえて⑤を考えていくと、ハン・ソロやレイア姫といった旧作キャラの再登場に頼れないエピソード９は果たしてどうなるのだろうか？という期待と不安がある。来年6月のハン・ソロ主役のアナザーストーリーは別にしても、すでに撮影が終わっているといわれているエピソード９がどういう形で収束していくのか？
正直、「最後のジェダイ」は映画としては意外と手堅く作った感じがあって、かつどこの層にもそれなりに訴えようとしている感じがした。これを踏まえて、エピソード９が果たしてどのくらいのお客さんに納得してもらえる最終回になるのか？もしも更なる続編としてこの物語が続くのであれば、三作で一話完結というスタイルすら崩される危険性さえあるともいえる。ディズニーが介入したことによる功罪が相半ばする新シリーズだが、期待半分弱、不安半分強で、二年後？の公開を待ちたいと思う。
