*

[映画鑑賞記] 劇場版仮面ライダーアマゾンズ最後ノ審判(ネタバレあり)

18年5月21日鑑賞。

Amazonプライム・ビデオ初の日本オリジナル作品として2016年に2シーズンが配信された「仮面ライダーアマゾンズ」を映画化。配信版シーズン2の後の物語となり、人工生命体「アマゾン」をめぐる新たな計画や、水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガと鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファの信念がぶつかり合う激闘が描かれる。人間による人工生命体「アマゾン」の殲滅作戦が佳境を向かえ、残りは生存が確認されている2体のアマゾン、水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガと鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファを狩れば、すべてが終わるはずだった。しかし、アマゾンをめぐる新たな計画「アマゾン畜産計画」や謎の養護施設の存在が明らかになり……。(解説は映画.comより)

仮面ライダー初の4DX

シン・ゴジラ以来2年ぶりの大奮発で4DXを選択。しかし、マジンガーZ同様パンフ売り切れ。東映このパターン多いなあ。確かに余らせても意味はないけど、ほしいものがないとガッカリするんだよなあ。公開3日で売り切れって。こんなことなら日曜に別件でコロナワールドに来ていたのでついでに買って帰ればよかったと後悔した。

というわけで出鼻を挫かれたものの、例年の3月恒例だったヒーロー大戦映画をやめてまで、アマゾンズ単独の映画が作られたのは個人的には嬉しい限り。ほぼアマゾンズのために、Amazonプライムに加入した私としては、二期の最終回に納得いってなかったので、騙された気分で見にきた。

そもそも地上波では見られない仮面ライダーというのは、なかなかに魅力があるし、あの血しぶきドバーッの戦闘シーンを大スクリーンでみたい気持ちもある。ただ、ニチアサのライダーも近年は頑張っているし、アマゾンズはまた別物としてみるのが正解だろう。

といっても「最後ノ審判」は、一期・二期をてがけた小林靖子さんが監修に回り、仮面ライダーエグゼイドの高橋悠也さんが、脚本を担当している。エグゼイドはニチアサの中でも絶望成分高めだったと私は思っているのだが、やはりアマゾンズ一期・二期の毒気と超絶望感と比較してしまうと、全体的にぬるい。というか、一期・二期とこの劇場版だと、設定につながりにくいところがあって、その疑問を最後までぬぐいされなかった。具体的にいうと・・・

①鷹山仁がつかまっている理由が劇中にない

②草食アマゾンが作れるなら、最初から作っておけばよかったのでは?

③アマゾン牧場を作らねばならない理由が不明

本能と理性の葛藤

①についていうと、二期において目が見えなくなってもなお、ゾンビのように実の息子を殺そうとしていた鷹山仁の生命力をもってしたら、施錠した鎖くらいで自由を奪われるはずがないので、なんらかのダメージがあるか、弱みを握る描写がないと、説得力に欠ける。 

そのくらい鷹山仁というのは執念の人としてシリーズでは描かれているので、この映画の仁はまるで別人だった。その上、二期ではほとんど見えなかったはずの目が見えるようになっていたし(これも説明がない)。

②はそもそも論になってしまうのだけど、人を食べる新たな食物連鎖の頂点として登場したアマゾンズは「人以外のものは食えない」設定ではなかったのか?

確かにアマゾンが、人肉以外のものを摂取する描写はあるのだけど、そこで、本能(本当は人肉を食べたい)と理性(でも本当は殺したくない)との葛藤に悩むところこそが、アマゾンズのドラマにおける真骨頂だったはず。

草食アマゾンが生み出せるなら、家畜化とはいかないまでも、人間との共存はできたはずなんで、その可能性を無視して、駆除していたのならそれはかなり乱暴な話でもある。下手すると一期・二期の全否定にもつながりかねないのではないだろうか?

まだ続きがありそうな

③は、食糧不足が要因であるかのような描写もあったけど、ではなぜそうなってしまったのか?という点については説明がない。おそらく「食う側」だったアマゾンが「食われる側」に回るという発想から出てきたアイディアなのだろうけど、にしても駆除される対象だったアマゾンを食べるという発想に至った具体的な動機が弱い。

しかも、もともと肉食だったものを草食にできる(まあ、結果的には破綻してしまうけど)のか?という疑問は最終的にぬぐえないままだった。

とはいえ、なんの疑問も抱かずに、他人の命になろうとする子どもたち(草食アマゾン)の描写はかなりイッちゃってる感満載だった。それだけにちょっともったいないなあ、と思わずにはいられなかった。

結局、優と仁の間で一応の決着はつくのだけど、二期で語られた部分がばっさり削げ落ちていて、二期のストーリー自体が何だったんだろう?という疑問を抱かずにはいられなくなってしまう。やはり二期ありきで完結編を作るんだったら、「なかったこと」にしてしまうのはまずいのではないだろうか?

で、一番の大きな疑問は、もともと子どもに見せる気がない「仮面ライダー」だったはずの「アマゾンズ」がスプラッターも残酷描写も比較的抑えめになっていたこと。

まあ、ネット配信と映倫とでは描写に対して多少配慮するところも違うのかもだしれないが、「最後ノ審判」という表題の割には、まだ続きがありそうなオチになっていたのもイマイチしっくりこなかった。これだったら、普通にプライムで3期やってほしかったなあという気持ちにさえなってしまう。

尺と映画上映に関する倫理規定の相違、そして何よりでかい画面で見る以外にはこれといって得しない劇場版になっていたのは大変残念だった。期待していただけに「これじゃないなあ」という感じが満載。

色んな意味で寸止め

それでも俳優陣の熱演と、アマゾンアルファとアマゾンオメガの死闘は確かに大画面で見てよかったと思えるところなんで、そこは評価したい。

特に新アマゾンのアマゾンネオアルファとして登場する、 御堂英之助役の姜 暢雄 さんは、言わずと知れた、忍風戦隊ハリケンジャーのクワガライジャーだし、鷹山仁役の谷口 賢志さんは、救急戦隊ゴーゴーファイブのゴーゴーブルーなんで、戦隊出身の俳優さんたちが仮面ライダーで再び邂逅するというのは、特撮ヲタ的にはかなり胸熱な展開でもある。

でもやっぱ配信の完結をするなら、配信で終わらせてほしかったな。手加減したアマゾンズはもはやニチアサのライダーとなんらかわらないわけだし、最後まで絶望感が残った、なんともいえない後味の悪さこそが仮面ライダーアマゾンズの最大の特徴だったはず。

だから、せめて劇場を出るときに足取りが重くなるくらいでないと、「アマゾンズ」を見た気がしない。いろんな意味で「寸止めな感じ」がして、アマゾンズとしては大変に残念な映画になっていた。

正直、私が強いてこの映画を完結編というんなら「鷹山仁」編の完結であって、水沢優の物語としては全然消化不良な感じがしてならない。もし作るんなら劇場ではなくネット配信に戻して今度こそきちんとアマゾンズを完結させてほしいと切に願わずにはいられない。

やっぱ私は騙されちゃったかなあ。アマゾンズは一期で終わっていたら間違いなく名作だったのに・・・・続編ができるたびにボロがでてくるのでは見るに忍びない。

最後に4DXの件だけど、特に劇場に血の匂いが充満するわけでもないし、血や肉が想起されることもない。代わりにやたら水しぶきが飛んでくるので、濡れて大丈夫な格好で観に行かれることをお勧めしたい。まあ、別に通常上映でもなんら問題ないんだけど(笑)

にほんブログ村 アニメブログへ

au公式/ビデオパス

 

-映画鑑賞記