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[万国びっくり映画鑑賞記] シン・ジョーズ

2017/12/09

17年12月8日鑑賞。

核実験の罪が生み出した悪魔―

太陽が照りつけるカリフォルニア州、サンディエゴのビーチはいつもの賑わいを見せていた。
そこに突如浮かび上がった焼死体。さらには焼かれた魚の死骸が波打ち際に打ち上げられていた。

ライフセーバーのジーナとカプランはその謎を追っていくが、核実験の影響により進化したサメだと判明。体内に核エネルギーを持つサメは熱焔を放ち、ボートの釣り人、海水浴を楽しむ若者に次々と襲い掛かり犠牲者は増えていく。

しかし人類が自らの手によって生み出した悪魔の逆襲は始まったばかりだった・・・(あらすじはamazonより)

溢れんばかりのバカ映画臭

「核実験の罪(sin)が生み出した悪魔」

という意味で「シン・ジョーズ」らしいんだが、このコピーが書いてあるパッケージのロゴがどう見ても「シン・〇ジラ」と酷似しているのは、私の目が悪いせいだろうか?確かに核実験が生んだ怪物という点だけは〇ジラと酷似しているのだが・・・・

原題は「ATOMIC SHARK」ということで一応なんか〇ジラに寄せようという認識だけはあるみたい。ちなみに吹き替え版だと多少「シン・ゴ〇ラ」リスペクトな和訳を試みたセリフがあるそうだ。みてないけど(笑)

設定からあふれんばかりに立ち込めるバカ映画臭は、もはやよくこんな奇抜な発想が出てくるなとあきれるほかないくらい奇妙奇天烈。それでもまあ、サメが海から出てくるだけマシともいえなくはない。

今回のサメの設定は放射能を常にまとっていて身体が赤く焼けただれ熱を帯びているというもので、まんまシン・〇ジラなんだが、問題はその描写。黒煙を上げながら赤い背びれが接近してくるという見た目からして斬新なビジュアル!「え?サメが燃えているってどういうこと?」としばしあっけにとられること受けあい。

スタッフもやはりというかこれほどのスキルをもっているサメを、海の中だけで活躍させるのはもったいないと思ったのか、途中から地上にも飛び上がることが可能という近年のサメ映画ばりの身体能力も披露。さらに触れたものは炎を上げて燃え、周囲を泳ぐ魚には放射能汚染により一定時間後に爆発するという追加効果まで与えている・・・・

21世紀まで放置しているって!

サメが放射能をまとう原因になったのが、80年代にサンディエゴ沖で故障した旧ソ連の原潜から漏れている放射能らしいのだが、21世紀の現代までよく今までそんなの放置していたよな。ソ連崩壊からもう何年たっていると思っているんだ?

ってかメルトダウンするような生物が生息している近くによく海水浴場を作ったよな・・・・この危機管理能力のなさは、能天気なアメリカらしいっちゃらしいのだが・・・・(苦笑)

さらに自身は常に発熱しているため海水で冷やされていないとオーバーヒートして核爆発するという、言うなれば自爆能力まで持っているのだが、これがサメだけでなく、周辺に泳いでいる魚も同様なんだから始末に負えない。その魚を食ったグルメレポーターが、まるで秘孔を突かれたかのように膨らんで爆発する様はもはやコントを見ているとしか思えない。というか被ばくしたら生物は皆「爆弾化」するのか?そんなの初めて知ったぞ!

こんな凶悪な能力を持つモンスターに立ち向かうのがまたいちライフセーバーや学者の卵とかいう民間人の寄せ集めなんだが、シン・〇ジラの有能な素人とは比べ物にならないポンコツぞろいで、こちらも期待を裏切らない。

命をかけてメルトダウンしたサメに立ち向かうのにいちいちSNSで動画配信していたり、作戦中にアクセス数を気にしたり、お前ら本当にやる気があるのか?というくらい能天気。作戦もガバガバゆるゆるで、結果、当然のように当事者たちは、食われたり燃えたりして死んでいくのだが、これもやむを得ないとしか言いようがない。そして結末では○○が吹っ飛ぶのだが、なぜ吹っ飛ぶのかは見てのお楽しみということにしておこう。

ラストに○○が吹っ飛ぶ!


とはいえストーリーのベースは「ジョーズ」に近く、民間人たちがサメ退治のひとつにジョーズと同じやり方で(は当然倒せないのだが)やっつけようというシーンもでてくる。ただ、登場するモンスターのインパクトの大きさに比べて、作中での騒動があまりに小規模で警察や軍が動き出さないのはもちろんのこと、ビーチを閉鎖させるとかでゴタゴタすることもないため、まさかこの展開でラストに〇〇が吹っ飛ぶとは・・・という意味では大いに期待を裏切られた(笑)

こんな放射能に被ばくした生物がうようよしている海域で海水浴を楽しんでいるくらいだから、人が何人死んでいても毎日が平常運転というのももはや潔いといってもいいくらい。これじゃ軍も警察もサメ退治にでてこないのもやむをえまい。よって民間人が全部なんとかするしかないという意味では「自己責任」がテーマなのか?と勘繰りたくもなる。まあクリーチャーがいても海で泳いだり、命がかかっていてもエロ思考だけは手放さない人間ばっかでてくるんだから仕方ないか。

意外にもドローンとかを活用(劇中でも使用)して空撮に取り組んだり、絵作りは妙に凝っていて、シリアスに出来そうな題材なのに、何故か時間が進むたびにどんどんシリアスからかけ離れていく頭の悪さには絶望感すら感じてしまう。サメの恐怖だとかパニック感だとかいうものはもう一切期待しないで、放射能の扱いのガバガバさ加減と意味不明な超展開に爆笑しながら見るのが一番正しい鑑賞法だろう。

いや、ある意味万国びっくり映画という線でいうなら「王道」な作品でした。暇で暇で仕方ないというあなたにだけはお勧めしたい映画。でも間違ってもシン・〇ジラみたいなものを期待しないように、とだけはいっておこう(笑)

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