[映画鑑賞記]劇場版 動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊
今年も早いもので、スーパー戦隊とプリキュアの入れ替わる季節がきてしまった。時がたつのは早いものだ。ついこの間、トッキュジャーとニンニンジャーが共演していたのに、今度はニンニンジャーが見送る立場になっている。来年の今頃もジュウオウジャーをみて「懐かしい」と思って劇場にいる、全く進化のない自分の姿がありありと想像できて、なんか自分でもいやな感じがするのだが、これはもう変える気すらないので、来年も堂々と「おおきなおともだち」として映画館へ行こうと思う。ちなみにさすがに冬休みも終了した平日の昼間では観客も「おおきなおともだち」しかおらず、見渡すと劇場内には私含めて3人のみ。でも勝手知ったる連帯感があって、この人たちならマナー違反はないだろうと思っていたら、本当にその通りでやはり映画は平日の昼間に限るということを痛感させられた。
さて、1月のスーパー戦隊映画の観方は、基本的に
①現戦隊と前年度戦隊が交戦。
②なんだかんだあって和解
➂協力して強大な敵を打ち倒す
おまけ:次期戦隊が顔見世
という流れになっていて、本作もその流れからは一ミリもずれてない。というかそれしかないのだが、今回は色んなちょっと趣向が違った。まず両戦隊がほぼ小細工なしでがっつり戦うシーンがあることで、しかも結構長い。中盤までこれをどうもっていくのか楽しみでしょうがなかった。下手をすれば歴史が変わってスーパー戦隊の歴史が途絶えてしまうという意外とありそうでなかった危機感をあおったのも面白かった。
更に、ニンニンジャーの自由すぎるキャラクター。「忍びなれども忍ばない」パワフルでむちゃくちゃなメンバーは、野生解放を謳うジュウオウジャーをも圧倒していてどっちが主役だかわからなかったほど。最後に超衝撃なオチまで含めて完全にニンニンジャーに食われた映画になっていた。ジュウオウジャーのキャラが弱いということではないんだけど、あのラストではそりゃ全部もっていかれるよなあ。天晴はこうしてみるとかなりずるいキャラクターだよなあと私は思う。伏線もなしにこんなことしたら普通「いい加減にしろよ」といわれかねないのだが、テレビシリーズで一年間刷り込まれてきたせいか「天晴だと仕方ないかな」と思わせてしまうあたりが「ずるい」のだ。
子孫がタイムスリップしてくるネタは結構使い古されたネタで(そもそもドラえもんからしてそうだし)新鮮なイメージはなかったんだけど、ド直球のオチにもっていったのはなかなかありそうでない。しかも劇場版だし、テレビシリーズだけみて今回の映画をみてないと、のちのち結構驚くだろうなあと思わずにはいられない使い方だった。タイムスリップの仕方も「忍術」という「ありそうでなかったド直球だし、この映画は下手な小細工なしに楽しもうという雰囲気に満ち溢れていて、結構頭を空っぽにすると楽しめる映画かもしれない。
ジュウオウイーグルの大和もジュウオウ・ザ・ワールドのみっちゃんもどっちかというとネガティブな感じがするキャラなんで、全員がどっかねじが外れてるニンニンジャーとの共演だと割を食っちゃうかなあ。でもここまで両戦隊ががっつり組んだ戦隊映画は結構珍しいかもしれない。そういう意味では王道なようでいて結構アニバーサリー的な映画だったんだろう。
とはいえ35周年のゴーカイジャーみたいにど派手な記念企画ではなかった。歴代戦隊も画面には登場するが、レッドだけだし、出演(しかも声だけ)したのは、ライブマンのレッドファルコンこと雨宮勇介だけだった。現レッドのジュウオウイーグルと鳥つながりのレッドで、いわゆる動物モチーフ戦隊のハシリでもあるから人選自体には問題ない。確かに内容からしたら過去より未来に歴史をつないだことで、新戦隊のキュウレンジャーが宇宙からやってくるというのも登場の仕方としてちゃんとストーリーに絡んでいてここも面白い所ではあったのだが、やはり40周年アニバーサリーとしてはややものタラらなかったかなと。別に今の「ちいいさいおともだち」の親世代だけが喜ぶだけでなく、いろんな人が見ても楽しめる、歴史あるスーパー戦隊だからこそ、ちょっと過去にも時間を割いてほしかったなあと思うのだ。
そして、次期プリキュア「キラキラ☆プリキュアアラモード」でキュアカスタードを演じる福原遥嬢が声だけとはいえ、まさかの悪役で登場というのも面白かった。歴代プリキュアで自身の演じた後に戦隊やライダーで悪役になった例はあるけど、放送開始直前というのはたぶんはじめてかもしれない。今後は本格的に声優を志さられるということで、これはいい経験になったに違いない。顔出しでも戦隊映画では出演経験があるし、本人的にも面白い仕事だったかもしれない。
しかし春映画はまたもライダーVS.スーパー戦隊の超ヒーロー大戦になるみたい(懲りないなあ・・・)だけど、現ライダーのエグゼイドも次期戦隊のキュウレンジャーも最初から人数多いし、目がちかちかする配色だし、この上歴代ライダーや戦隊出すスペースがあるのやら・・・・でも、やっぱ観に行っちゃうんだろうなあ。
余談だが、今夏公開が決定しているアメリカ版スーパー戦隊こと「パワーレンジャー」の劇場版映像が流れていたのだが、あちらのスタッフとあちらのキャストを使うと、戦隊というより完璧にマーベルコミックの映画のようで、「これを戦隊映画としてみていいものかどうか」悩みそうな予告編になっていて、若干不安がよぎってしまった。