【プロレス入場テーマ曲】プロレス的音楽徒然草スナイパー・フロム・ザ・ダークネス

[プロレス入場テーマ曲]プロレス的音楽徒然草

プロレス的音楽徒然草スナイパー・フロム・ザ・ダークネス

殿堂入りの黒い猛牛

今回は、2026年にWWE殿堂入りが発表されたバッドニュース・アレン(バッドニュース・ブラウン)のテーマ曲である「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」のご紹介です。

アレン選手は2007年3月6日早朝、急性心不全を起こし病院に緊急搬送され、63歳でお亡くなりになられていますが、「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」はPURE-J女子プロレス所属のKAZUKI選手が、引き継いで入場曲として使用されています。

バッドニュース・アレン選手は「黒い猛牛」の異名を持つ強豪でした。バッドニュース・ブラウン、またはバッドニュース・アレンのリングネームで、新日本プロレス、WWF(現WWE)、カルガリー地区などを主戦場に、ラフ良しテクニック良しのヒールとして活躍したレスラーです。

柔道銅メダルの実力

アレン選手はモントリオールオリンピック柔道重量級銅メダリストという、輝かしい肩書きを持つ実力者でもあります。彼は新日本プロレスの練習生として入門していますが、今でいう「青い目のヤングライオン」たちの先駆けといっていい存在です。

新日本時代はシリーズに欠かせない名脇役として活躍し、主にタッグマッチで才能を発揮して、歴代エース外国人のパートナーを務めました。

大野雄二が放つ旋律

「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」はジャズピアニスト・大野雄二さんの作品です。初出は1982年に発売された『新日本プロレス/スーパー・ファイターのテーマ2』というアルバムで、「FIGHTING SPIRITS ORCHESTRA」の演奏という表記があります。

大野さんはアルバム2曲目の本曲と、アルバムのトリに起用されている「ローリング・ソバット」でもキーボードを担当されています。

ルパンを支えた天才

大野さんは高校在学中に独学でジャズを学び、大学時代にジャズピアニストで作曲家の前田憲男さんに師事します。大学在学中、プロ・ピアニストとしてデビュー。しかし1970年代前半にピアニストを休業し、作曲家活動に専念され、テレビドラマや映画の劇伴などを手がけ始めます。

その中の一つが1976年の映画『犬神家の一族』の音楽担当で、この作品によって大野さんの名前は一躍有名になりました。なお、『犬神家の一族』の主演を務めた石坂浩二さんは高校・大学と大野さんの同級生にあたるそうです。

驚異的な作曲ペース

1977年にはテレビ版『ルパン三世』第2シリーズの音楽を担当し、70年代前半の「ジャズ・ロック」「クロスオーバー」を継承し、映画音楽や歌手のアルバムに反映させました。大野さんは、ルパンのシリーズだけで200曲も書いたといわれています。

楽器は使わず、朝起きたらすぐに鉛筆を握り、五線紙に向かう生活を続け、新シリーズのたび、1日15時間を作曲や編曲に費やす生活を3カ月間続けたと言われています。

炸裂する大野節の粋

大野さんの音楽性の特徴は、演奏能力のあるミュージシャンを積極的に起用し、自身のキーボード演奏に複雑な調性や和音、リズムを導入したことで、リズムセクションにジャズ・ルーツらしいホーンセクション・ストリングセクションが特徴であると言われています。

このホーンセクションが「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」でも遺憾なく発揮されています。イントロからしばらくはダークな曲調が続き、一転してポップで爽やかな曲調に変化するときに、大野節が炸裂しているといってもいいでしょう。

下関で体感した熱狂

プロレス会場で大野雄二サウンドを聴いたのは、私が初めて故郷・下関で見た大会での出来事でした。それは昭和62年4月30日の、下関市体育館での新日本プロレスでした。

当時、ワールドプロレスリングが『ギブUPまで待てない!』に変更されて、その2回目の中継が入っていました。セミファイナルでは前田日明対クラッシャー・バンバン・ビガロ、メインではアントニオ猪木対バッドニュース・アレンというカードが組まれていました。

そこで「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」が流れたわけです。

菊川に神が舞い降り

時を経て2011年12月に大野雄二さんが下関でライブされました。正直、東京でも行かない限り、大野さんの生演奏なんて一生聴く機会はないと思っていました。

そして当日。実は、満員になるとは思っていなかったので、開始15分前に着けばいいかなと思って家を出たら、なんと、いつもはスカスカのアブニールの駐車場が満杯! コンサート後にサイン会があるというので、CDを物色しました。

会場入り口では地元のCD屋さんが、ここぞとばかりに大野さんのCDを並べて売っていたのです。

ルパン愛とサイン会

あいにくと、ルパン関係のCDやレコードは腐るほど持っているので、今まで持っていなかったバージョンが欲しくて『ルパンティックファイブ版』を購入。

もうこの時から興奮状態がMAXに来ていて、「こんなチャンス一生ないかも」なんて話していたら、売店のおばちゃんに笑われてしまいました。いや、大げさでもなんでもないですからね。下関市民会館ならまだしも、まさか菊川で聴けるなんて……。

ハートを掴む名演奏

さすが公営の会館だけあって、定刻通りにスタート。大野さんたちが登壇すると、会場は一斉に大声援と大歓声に包まれました! オープニングはいきなり『ルパン三世のテーマ』から入って、『愛のスコール』! これでハートはがっちり掴まれました。

MCはギターの方が担当されていましたが、バスで来られたそうです。菊川に向かう路線に「大野」経由というのがあるのですが、それをネタにしたら地元は大ウケ! そりゃそうだ! しかし、福岡から下関に入って、JRで小月まで行き、そこから路線バスというのは、いかにも旅から旅を繰り返すツアーミュージシャンっぽくて、格好よかったですね。

銭形マーチに痺れる

それにしても、アブニールにあれだけのお客さんが入っているのを見たのは初めてでした。そして熱狂度も半端ない! なにより意表を突かれたのは、曲目に『銭形マーチ』があったことです!

原曲は、正直なところ三波春夫先生のあまりに強烈な個性しか印象に残っていなかったのですが、ジャズアレンジされると、むちゃくちゃ格好いい仕上がりで大興奮。

そこから次元のテーマ『トルネード』に続く流れには、しびれましたね。中盤の『セクシー・アドベンチャー』では、「必ず死人(しびと)が出る」というほどの熱い演奏でヒートアップ!

圧巻のサンバ

そしてアンコールでは、大野さんのソロ弾き語りによる『ルパン三世 愛のテーマ』にしびれ、そのあとは映画『カリオストロの城』で銭形とルパンが城の地下から脱出してオートジャイロを奪うシーンで流れる『サンバ・テンパレード』に続く流れ。……お見事でした!

もう酔いしれっぱなしの2時間でした。購入したCDを持って列に並び、大野さんはじめバンド全員の方のサインと握手をいただきました。最初が大野さんだったので超緊張しましたが、本当に神に会えた気分でしたよ……。

七十歳の現役パワー

大野さんは本当にお若い!

1941年生まれですから、当時で御年70歳! その方がほぼスタンディングで2時間を演奏しきったのですから、そりゃあ感動しますって! こんな夢のようなひと時が過ごせようとは……。

「生きててよかったです」と言っていたら、また売店のおばちゃんに笑われました。「1年といわず、3年は寿命が延びたよね」って。

残念ながら「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」は演奏されませんでしたが、こうして下関で大野雄二さんの生音を聴くことができました。今でも「スナイパー・フロム・ザ・ダークネス」を聴くと、最初に見た猪木戦と最初に体感した大野さんのライブを思い出すのです。

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