[アニメ感想] 2019年春アニメ完走分感想文 ULTRAMAN
かつてこの世界には〈光の巨人〉と呼ばれる存在がいた。やがて〈光の巨人〉はその役目を終え、遠い宇宙にある自らの故郷へと帰還し、同化していた地球人はそれまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり、科学特捜隊日本支部もその役割を終えて、光の巨人記念館へとその姿を変えていた。
早田進次郎は多感な思春期を過ごす高校生。だが彼は、自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった人間離れした“普通”ではない力を持っていることを自覚していた。
そんなある日、進次郎は父・早田進が、かつてウルトラマンであったことを知る。そしてウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人たちの存在も。進次郎は、秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手によって開発されたウルトラマンスーツを着用できる数少ない適合者だった。
「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」(あらすじは公式HPより)
疑問に思う点がいくつか
月刊ヒーローズに連載中の漫画が原作のアニメ。今をときめくNetflixが手がける作品だけあって、モーションアクターを使ったフル3DCGアニメとして制作されている。
原作は、等身大でスーツを着て戦うというまったく別のウルトラ作品として描かれる予定だったそうだが、編集部からの要望で方針転換し、円谷プロの「ウルトラマン」から数十年後を舞台とする作品に変更されたそうだ。
しかし、このアナザーストーリーにしたことで、疑問に思う点がいくつかあって、アニメの尺内では十分に説明されていないように見受けられる点が非常に惜しい。原作を読めばわかるのかもしれないが、それを言っちゃうとおしまいなので、できるならアニメの枠内で説明して欲しかった。
それはなぜ、早田が巨大化したウルトラマンだったのに、息子は等身大でスーツなのか?という点。好意的に解釈すると、主人公で早田の息子である進次郎がまだウルトラマンとしては未熟なため、巨大化できないのだ、と。
おそらくこの解釈で間違いではないと思うのだが、劇中では説明されていない。もしかしたら原作では、すでに触れられているのかもしれないが、仮に進次郎が覚醒し、いずれ巨大化してしまうとしたら、パワードスーツ系の戦闘服はいずれいらなくなるのだろうか?
アドバンテージを捨てた先に
昭和が生んだ二大ヒーローであるウルトラマンと仮面ライダー。ウルトラマンが巨人であるがゆえに、仮面ライダーは等身大のヒーローを目指したらしい。そのウルトラマンが巨大化というアドバンテージを捨てた先にあるものが何なのか?アニメだけでは正直わからなかった。
むしろマーベルが得意にしている苦悩する異形のヒーローという感じもしなくはないのだが、ウルトラマンがその特殊性を捨て去ってまで描くテーマかというと微妙な気がする。
アニメの評価に関しては概ね好意的な意見が多数見られたけど、隅々まで溢れたウルトラ愛が痛いくらいに伝わってくるだけに、妙にアメコミチックなCGに乗っかっている2Dの表情したキャラクターがなんかしっくりこなくて、面白いんだけど、なんか痒いとこを掻いてくれていない妙な気分になってしまったというわけなのだ。
方向性として攻殻機動隊みたいなテイストも混じっているんだけど、科特隊のカラーとは今ひとつ親和性がないような感じもしたし、むしろこういう内容ならウルトラセブンの方が向いていたような気がする。
二期がもしあるなら、見てみたいけど、どうかなあ。