[アニメ感想] 2018年冬アニメ完走分感想文 宇宙より遠い場所
2018/03/31
そこは、宇宙よりも遠い場所──。何かを始めたいと思いながら、中々一歩を踏み出すことのできないまま高校2年生になってしまった少女・玉木マリことキマリは、とあることをきっかけに南極を目指す少女・小淵沢報瀬(こぶちざわ・しらせ)と出会う。
高校生が南極になんて行けるわけがないと言われても、絶対にあきらめようとしない報瀬の姿に心を動かされたキマリは、報瀬と共に南極を目指すことを誓うのだが……。(あらすじは公式HPより)
不覚にも泣いてしまった
4人の女子高生がそれぞれの理由で、宇宙より遠い南極を目指す旅に出るお話。「ノーゲーム・ノーライフ」のいしづかあつこ監督とマッドハウスによるオリジナル作品。もともとはラブコメだったという予定だったそうだが、結果的にはこういう話になってよかったと私は思っている。
そして得てして12話で終わりがちなところを、1話足してでもきちんとした形で物語を終わらせてくれたことを心より感謝したい。最終回で不覚にも泣いてしまった視聴者のひとりとして、これは永遠に語り継ぎたいと思ったし、これを機に旅の面白さ、そこで出会う人との物語がもっと増えていくと、ロードムービーがひとつのジャンルとしてアニメに定着するかもしれない。そう思わせてもらえた。
ありそうでなかった南極ものという目の付け所と、ありきたりだけど、しっかりとした人物描写。特に実写でロケハンするのは相当大変な場所でもあるので、アニメだからできた描写もたくさんあると思う。
アニメだからこそできた作品
ひとつ例を出すとオーロラの描写。CGで実写にしちゃうと、作り物感が半端なく出てしまうけれど、これが絵だからこそ受け入れられた のではないかと思う。
そもそも日本の映画で、「宇宙よりも遠い場所」を実写化できるとは思えないし、それだけの力量があるキャスト・スタッフはいないとさえ思っている。間違いなくこれはアニメだからこそできた作品なのだ。
そして最終回、第13話。感動の別れ。旅の終わりは始まり・・・・そう予感させるきれいなエンディング。正直日常ものとして「」をとらえていたので、ここまで最終回で感動してしまうとは思ってもみなかった。
悔しいけれど本当に定年に作ららえた一本一本があったからこその、大団円だったと私は思っている。
終わるべきところにきちんと着地した
女子高校生四人という事で、従来だと年齢の近いキャストを配することが多いのだけれど、あえてそこは演者のしっかりした実力で選んだと思われる声優時はこれ以上ない仕事をしたと思う。
すべてにおいてしっかりとした計算のもと、終わるべきところにきちんと着地した「宇宙よりも遠い場所」。私は終生この作品の感動を忘れないだろう。
最後にもともと、いしづかあつこ監督は力量のある演出家だとは思っていたが、初のオリジナル作品を成功させたことで、今度はオリジナルで劇場作品を1本取ってほしいと私は期待している。
それも「宇宙よりも遠い場所」の総集編とかではなく、完全オリジナルの新作で。「劇場版ノゲノラ」でクオリティの高い映像を見せつけたいしづか監督だったらきっと期待を裏切ることはないと思う。