[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 地球を護る者 CHALLENGE OF THE PSIONICS
今回は1983年に公開された幻魔大戦のオリジナルサウンドトラックより「地球を護る者」のご紹介です。ちなみに「歌」ではなくてBGMです!しかしこのBGMは世界的キーボード奏者でもある、故・キース・エマーソンの作曲によるもので、当時としては画期的なドルビーステレオで録音されています。その荘厳さと、スペシャルアニメーターとして参加した金田伊功氏の実力も相まって、屈指の名場面が誕生しました。
ちなみに平井和正×石ノ森章太郎版の原作は未完のまま終わっていますが、このアニメ版は金田さんの素晴らしい仕事が実質幻魔との壮絶な死闘を描き切っているため、独自の解釈とはいえ一本の映画として完結しています。
また、当時漫画家だった大友克洋さんが、はじめてアニメ制作に参加したのが「幻魔大戦」です。大友さんはキャラクターデザインと、原画の一部を手掛けていますが、これがきっかけでアニメ版AKIRA(1988年)で本格的にアニメ映画に参入し、以降すっかりアニメの人になってしまいました。
幻魔大戦が公開された1983年というのはまだ一般的に大御所ミュージシャンがアニメ音楽を手掛けるということが珍しかった時代です。いくらお金をかける角川映画だからといってもこれはかなり画期的なことでした。既に大物アーティストだったキース・エマーソンが日本のアニメのBGMを手掛けたのはこの「幻魔大戦」一度きりですから、いかにレアだったかがおわかりいただけると思います。
この幻魔大戦は本編こそデジタルリマスターされているのですが、肝心のサウンドトラック盤はレコード音源をそのままCD化したもので、正直ファンとしては不満が残ります。主題歌の「光の天使」(歌・ローズマリー・バトラー) の方はリマスタリングされて、角川映画の主題歌集にも納められていますが、サントラの音源と、リマスタリングされた音源とでは露骨に差がありすぎるため、ぜひとも復刻の際は、サントラ盤もしマスタリングしてほしいものです。