[アニソン] アニメ的音楽徒然草（特別編） ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~
2017/03/05
「OUT OF BORDER」「WEATHER REPORT BLUES」「DETHMAIL BLUES」
作詞 - りんたろう / 作曲 - ムッシュかまやつひろし / 歌 - ムッシュかまやつひろし、ディレック・ジャクソン
今回は、ムッシュかまやつ追悼記事として、かまやつさんが音楽を手がけたオリジナルビデオアニメ「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~ 」より、挿入歌三曲をご紹介したいと思います。といっても音源はCD化されていないらしく、今回は紹介できません。
「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~ 」は名アニメーター、故・金田伊功氏をフィーチャーした作品で、りんたろう監督はじめ、幻魔大戦のスタッフの多くが再集結した作品です。あらすじは・・・・
テクノポリス・ムーンライトシティでは、ダウンタウンの若者たちの間で「デスメール」と呼ばれるソフトが蔓延し、そのメールをダウンロードした若者たちによる犯罪や自殺が多発していた。その頃、吉祥寺の生臭坊主の進之介は、行きつけのバー「スージー・ウォン」のダンサーのナミホに入れ込み、何とか二人の関係を上手く運ぼうとしていた。しかし、その都度ダウンタウンの暴走族に邪魔されてしまい、リーダーのピンキーからは「その女には関わらない方がいい」と警告されてしまった。
暴走族とのイザコザがあった翌日。ナミホがバーの仕事を辞めたことを知った進之介は、思い切ってナミホの住んでいるアパートに向かった。しかし、そこにはナミホの姿はなく、代わりに一枚のマイクロフィルムが置いてあった。そのマイクロフィルムには、大企業・越後屋グループが「デスメール」を使いムーンライトシティを支配しようとする証拠が記されていた。事情を知った進之介は、探し出したナミホと越後屋グループの計画を阻止するためにピンキーたち暴走族と協力し、越後屋グループの本部に乗り込む。(あらすじはwikipediaより)
幻魔大戦で音楽にキース・エマーソンを起用したように、割とアニメ畑ではないアーティストを起用するりん監督ですが、この「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~ 」におけるムッシュの起用は私としてはかなり意外な感じがしていました。実はこのはるか前、1974年に放送された「はじめ人間ギャートルズ」のOPとED、ならびに劇中音楽（藤沢守＝久石譲さんと共同担当）を手掛けられていたのですが、それでもアニメ畑の人という印象は私にはなかったのです。
しかしいざ実際作品として見てみると、これが実に作品とマッチしているのです。特に金田伊功さん自らが手掛けたシーンとかまやつさんの挿入歌との相性が抜群によくて、見ていて高揚感すら感じました。考えてみるとこの時代、金田さんは宮崎駿さんと組んで仕事をしていました。ですが、私的には金田さんの躍動感あふれるエネルギッシュな作画が年々スポイルされていっているような気がしてなりませんでした。
対してりん監督と金田さんの相性は抜群によくて、「幻魔大戦」はもとより、「劇場版銀河鉄道９９９」での惑星メーテルの崩落シーン、そしてこのダウンロードを経て、手塚治虫原作のメトロポリスにいたるまで非常に多くの名シーンを生み出しています。
92年というと、金田さんは「紅の豚」に関わっています。ジブリでの物足らなさをおつりがくるくらいに取り返してくれた「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~ 」ですが」、いかんせんOVAであり、そうヒットもしませんでした。「幻魔大戦」が表だとしたら、「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~ 」は裏だったといえるかもしれません。それはりん監督作品としてもそうだし、金田さんの仕事としてもそう。そしてギャートルズが表だとしたら、ムッシュの提供楽曲としては裏になるといってもいいのかもしれません。
でも、やっぱあのドキドキするような躍動感を思い出すと、今でも心が躍り出しそうな気分になります。そこにムッシュの歌が加わったことで、「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~」は間違いなく素晴らしい映像になったと私は思っています。「ダウンロード~南無阿弥陀仏は愛の詩~」は VHSとLDにしかなっていなくて、今見返すのが非常に困難ということが返す返すも残念でなりません。音源もどうか商品化していただき、ぜひ聞いてみたいのですが、難しいのかなあ・・・・
