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[映画鑑賞記] 劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

2017/06/25

17年3月3日鑑賞。

人気テレビアニメ「ソードアート・オンライン」の劇場版。原作は川原礫によるライトノベルで、謎の次世代オンラインゲーム「ソードアート・オンライン」の仮想空間に閉じ込められてしまった少年キリトが、仲間とともにゲームクリアを目指して奮闘する姿を描いた。劇場版は川原による書き下ろしオリジナルストーリーとなり、監督・脚本はテレビシリーズも手がけた伊藤智彦が引き続き担当する。VR(仮想空間)世界へのダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端ウェアラブル・マルチデバイス「オーグマー」が発売され、「オーディル・スケール」と呼ばれる専用のARMMO RPGによって、オーグマーは瞬く間に世間に広まっていく。アスナたちもプレイしているそのゲームに、キリトも参戦しようとするのだが……。(あらすじは映画.comより)

行こうかどうか迷った末に見に行った。というのも私はテレビシリーズは一期の途中、つまり茅場晶彦が退場した時点で興味が失せたし、同じ原作者だと「アクセルワールド」の方が好きだったから。でも人気が出たのはソードアート・オンライン(SAO)の方。アクセルワールドも映画化されたけど、こっちは総集編。SAOは二期あって映画だし、ハリウッドで実写化も決まっている。実写はどうでもいいけど、私としては「アクセルワールド」とは扱いに差があるなあと思わずにはいられない。そんな感じでソードアートオンラインに滅茶苦茶思い入れがあるわけでもなかったし、見るのを躊躇した大きな理由でもあった。

まあそれはともかく、「オーディナルスケール」はとりあえず茅場編までの知識があったからそれなりに楽しめた。やっぱ仮想世界と現実の距離が縮まっている現代にあって、非常にタイムリーな作品になっているのは面白いところ。個人的にはテレビシリーズである程度完結している登場人物より映画にしか出てこないキャラクターに注目してみていた。というか自分がゲーム苦手なんでゲームうまいやつには感情移入しにくいからでもある。

まず歌姫ユナ。「メガゾーン23」の時祭イブ、「マクロスゼロ」のシャノンら錚々たるヴァーチャルアイドル(VA)の系譜を受け継ぐ正統派VA。でもちょっと悲しい出自もあったりするこの映画のキーになる登場人物。声を担当したのは「アナ雪」でも見事な活躍をみせた神田沙也加。それにしてもまさか松田聖子の遺伝子がこんな形でアニメに関わるとはある意味感無量でもあった。ファーストマクロスのリン・ミンメイは全盛期の松田聖子がモチーフになったキャラでもあるし、ある意味ヴァーチャルアイドルの元祖みたいなところもある。

もっとも声優学校を卒業している彼女を芸能人枠でくくるのは無理があるし、舞台経験も豊富。アイドルチックな楽曲と、歌い上げる挿入歌でちゃんと歌いわけているところも素晴らしかった。もちろん演技が素晴らしいのはいうに及ばず。

そしてラスボス感が半端ない茅場の師匠として登場する、オーグマー開発者の重村教授をベテラン・鹿賀丈史が演じているのも注目ポイント。こうしてみると有名人ではあるが、実は実力のある人しか起用していない。時に冷静な教授として、時に冷徹な悪のボス、そして時に悲しい父親の顔・・・重村教授を単なるラスボスではなく、きちんとした人間として演出していたのは見事だなと思った。

またキリトたちの前に立ちはだかるエイジはミュージカル畑より井上芳雄を起用。現実世界をベースにしているARでは無双になっているエイジは同時にVRでは忘れたい過去をもっていた・・・・

この記憶というのが映画のキーポイントで、登場人物たちの「記憶」というのが重要なテーマになっている。でも何度も言うけど私はテレビシリーズである程度完結しているキリトたちの物語よりも、重村教授やエイジたちのストーリーに肩入れしてみていたので、正直もうキリトたちの物語はもういいかなと思ってしまった。たぶん映画に続いて続編もあるのだろうけど、SAOというもの自体がすでに失せた時代を、同じ登場人物を使って延々と描かれてもなあという気もする。もしやりたいなら違うキャラクターを使ってアナザーストーリーにしてほしいのだけど。

あと、あれだけVRの世界で無双を誇っていたキリトがARの世界で悪戦苦闘している部分は面白かった。どっちかというと今回の映画の主人公感はキリトよりアスナの方にあるかなと私は感じたので、アスナファンのサイドから見ると非常においしい映画になっていたのではないかな?

映画としては一見さんお断りというより広い世代に向けてSAOの世界を知ってほしいという意図からか、ものすごく丁寧に作られていた。そこはやはり伊藤監督さすがだなと思った。もっとも一部で言われている「ポスト新海誠」というのは、伊藤監督自ら否定していたけど、そこでくくるとしたら流れ星を描いているあたりくらいあだし、別にキリトとアスナはすれ違ってもいないので、「ポスト新海誠」という指摘は的外れといっていいかもしれない。

全体を通すと劇場でみてよかったなと思える作品に仕上がっていた。ただやっぱナレーションで説明されている部分くらいの予習は必要かなとおもった。見てない私がいうのもなんだけど。

余談ながら同じA-1が作っている「WORKING!!」の舞台であるファミレス「ワグナリア」がちょっとだけ登場する。まあスタッフも被っているし、こういうお遊びはありかな?もっとも「WORKING!!」の舞台は北海道でこっちは東京なんで、キャラがコラボしているわけではないんだけど。

主題歌をテレビシリーズからずっと担当しているLisaの歌声がエンドロールで聞こえてくると「ああ、やっぱこれだよな」という安心感がある。シリーズを通して応援してくれたファンにはたまらない締めだったと思う。さてこの映画を経て「続き」はどうなっていくのだろうか?いつまでも死んだ茅場やSAOに頼った後日談はもうこの辺で一旦締めてもいいように私は思うのだが・・・・









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