プロレススーパースター本烈伝・シーズンズ・グリーティングス (ザ・プロレス本)
解説
思い思いのホリデー・シーズンを過ごすプロレスラーたちのクリスマス・ストーリー。ミネソタ州、フロリダ州、ミシガン州などを旅して歩いた著者が見たプロレスラーの日常生活。(解説はAmazonより)
斎藤文彦さんとは
「シーズンズ・グリーティングス」は、1995年に刊行されたプロレスジャーナリスト、フミ・サイト―こと斎藤文彦さんの著書。
斎藤文彦さんは、1980年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたライター・コラムニスト。
季節のご挨拶
「シーズンズ・グリーティングス」を直訳すると季節のご挨拶となる。
思い思いのホリデーシーズンを過ごすプロレスラーたちが作中には登場する。
狂言回し=僕
「シーズンズ・グリーティングス」内で所々に出てくる「僕」はフミ・サイト―さん本人。
この「僕」は読者とこのストーリーの主人公の皆さんの関係を成立させるためにそこにいるだけの狂言回しとなっている。
あくまで客観的
ここが結構重要で、「僕」は、英語を駆使して選手とは親しい関係にはあるのだけど、読み進めていくと、決して一線は越えていない。
あくまで第三者的に、客観的に描かれているのが特徴である。
クリスマスストーリー
フミさんが書きたかったのはプロレスラーという神々とのクリスマスストーリーなんだそうだ。
フミさん曰く「アメリカ人にとって「神」「ゴッド」はごく日常的な概念です。そしてクリスマスはそういうことを思い出させてくれる季節のようでした 。」とある。
病院で読んだ
ちょうどこの本は昨年から今年にかけて抗がん剤治療のための入院期間に、再び読み返そうと思って病院に持ち込んだ中の一冊である。
折しもクリスマス時期に、入院しているベッドの上で「シーズンズ・グリーティングス」を読み返すことになろうとは、思いもしなかった。
あたかもその場に
改めて読んでみると、まるであたかもその場所にいたかのような錯覚を覚えたのだ。
時空も距離も遠い世界のお話なのに、とても不思議な気分だった。
すがりついたのは
この時のことは退院してからも不思議と覚えている。
ちょうどクリスマスイブの日に、4人部屋の3人が退院してしまい、私一人がビルにぶつかる木枯らしの音を聞きながら、ひとりぼっちのクリスマスを過ごすことになった。
しかし、抗がん剤治療の副作用で味覚異常がはじまって、食事の味がしない中、すがりついたのはプロレスしかなかった。
意味を持たせたのは
ガンになる前、「シーズンズ・グリーティングス」は実家にたくさんあるプロレス本のひとつにすぎなかった。
それに意味をもたせたのは、紛れもなく闘病生活だったと思う。
あの時期、あの場所で
あの時期、あの場所で読んだから意味があった。
そんな気がしてならないのである。
「シーズンズ・グリーティングス」が敢行されたのは、かれこれ20年以上前になる。
神々に思いをはせて
登場する神々の中には本当に天国へ行ってしまった方々もいらっしゃる。
たまにはそういう神様たちに思いをはせて見るのも悪くないかもしれない。