GLEAT Road to glory~GLEAT栄光への道~G PROWRESTLING Ver.22
(2022年4月16日 ・土・福岡・西鉄ホール:観衆238人・完売/札止め)
イントロダクション
抗がん剤治療+コロナウイルス蔓延により、行けそうな大会まで延期になったり中止になったりしていた二月、三月。
配信観戦していた分、プロレスに対する飢餓感は薄らいではいたが、それでも生観戦したい気持ちがなくなったわけではない。
散々悔しい思いも多々したけれど、4月12日の検査で異常なしといわれ、16日には晴れてプロレス観戦にドクターからゴーサインが出た!
空模様も、前日までの曇天から一転春霞もほぼない晴天!
ところが日差しの割に昼間になってもなかなか気温が上がらない。春先の気温差は油断ならない。
その割に出かける人も多いらしく、いつもの駐車場が満車。
幸い時間に余裕もたせていたので、しばらく待ってから入庫。余裕で博多行きの新幹線に乗れた!
行き慣れている道なのだが、抗がん剤治療明けのせいか?全てが新鮮に感じられる。
プロレス観に行ける事は決して当たり前にできるわけじゃない。そのありがたみを噛み締めながら、西鉄ホールに向かった。
GLEATに関していうと昨年の初上陸時は入院中で行けなかった。
GLEATの公式YouTubeは時間のある時に見ているが、LIDET UWFだけなら行かなかったかもしれない。
前回もそうだったらしいが、今回もチケットは完売。そりゃ、GLEATも強気でくるよな。
最近はパンフがない団体が多く、記念で集めている私としては残念。売れなきゃ作らないのも時代の流れか。
もしかすると、いずれは西鉄ホールから国際センター進出もありえるかもしれない。
ただ、UWFスタイルにあのハコは向いてないんだけど。
オープニング
団体によってはギリギリまでホール前ロビーにあげないところもあるが、GLATEはわりとあっさりあがらせてくれた。
グッズは番号制で奥から取り出すスタイル。全部スタッフがやるあたりは新日本とそう変わらない。サイン入りグッズも事前に用意したものが売られていた60 SECONDS(シックスティ・セカンズ)のもののみ)。
ファンとしては目の前でサインをいれてほしいところだけど、このご時世では仕方ない。
中に入ると本日のリングアナ・山村武寛あらためDJヤマムラタケヒロのDJプレイが行われていた。
Wikipediaによると
今現在もレスラー復帰は未定。その間は#STRONGHEARTSが参加する興行のスタッフとして活動する中、以前より興味のあったDJを本格的に始める。個人のライブ配信サイトなどで定期的に披露し、#STRONGHEARTS興行、木村花記念興行、GLEAT興行などでオープニングDJを担当している。
とあった。OWEの時はまだ不慣れな感じがあったのに、場数をこなしたせいか堂々としていた。立派になったなあ。
DJプレイのあとは全選手入場式ではなく、タイトルマッチ調印式へ。挑戦者に挑戦者の証としてメダル(王者が防衛した場合はメダルとトロフィー)が授与されるシステムになっていた。
最近こうした流れは省かれる傾向にあるが、時間が許すのであればやった方がいいと思う。メダル授与も斬新だったし。
第一試合 G PROWRESTLING【6人タッグマッチ】20分一本勝負
飯塚優&●渡辺壮馬&岩﨑永遠 (15分28秒サンダーボルト→片エビ固め)○河上隆一&KAZMA SAKAMOTO&島谷常寛
GLATEのいいところは若手が中心に回っているところ。ただ、若手が中心にいるといっても、対戦相手には強力なユニットが存在している。それが、BULK ORCHESTRA(バルクオーケストラ)。
正直Uスタイルと兼務している飯塚にしても、G PROWRESTLINGの方が輝いて見える。本人がやりたいのはどっちなのかはわからないけど。
個人的に気になったのは、やや試合がバタバタしていたこと。若さがほとばしるのは悪くないが、終始バルクオーケストラが優勢に試合を進めていた。
プロレスは視野の広い方が試合を支配するし、お客さんの印象にも残りやすい。
河上かKAZMAかがリーダーとして若い世代を引っ張るのもアリだとは思うが、対角線にいて闘う事で伝えられることもある。
実際、要所要所で河上やKAZMAが閉めていくので、島谷のキャラも生きていた。
そういう意味では、リーダー格のベテランがいない「正規軍」は自分達で学んでいくしかないのだ。
第二試合 G PROWRESTLING【シングルマッチ】20分一本勝負
○宮城倫子 (8分8秒シットダウン式ラストライド)●マドレーヌ
実質GLATEには細川と宮城の2人しか女子選手がおらず、Uスタイルにしても普通のプロレスにしても、YouTubeで私が見た限りでは、イマイチ存在感が薄い。
マドレーヌは定期参戦しているけど、プロレスの所属はディアナだし、総合もやっているので、ぶっちゃけUスタイルでやっても、普通のプロレスをやってもGLATE勢より存在感がある。
正直、通常のプロレスルールなら体格差で勝る宮城が有利だし、格闘系ならマドレーヌが有利になるだろう。
実際、試合内容もそんな感じになってしまった。マドレーヌは、自身の得意分野である関節技やグラウンド技術で宮城を翻弄してきた。その展開はよかったと思う。
ただ、マドレーヌは、宮城との体格差を考慮した上で、通常のプロレスルールでも魅せられる技術は持っている選手だと思うので、そこはもう少し攻め込んでほしかった。
プロレスだからと言って勝ちにこだわらないでいい、ということではない。魅せた上で勝つのがプロレスラーだと私は思う。
なお、個人的には宮城がフィニッシャーにした、落差をつけたシットダウン式ラストライドは、危険技とは断じたくない。
しかし、マドレーヌが試合後自力で帰れないくらい深いダメージを与えてしまったのは、やはり後味が悪かった。
大谷の一件があったから余計にそう思えたのかもしれない。
第三試合 G PROWRESTLING【シングルマッチ】20分一本勝負
◯田村ハヤト (8分53秒ジャックハマー→片エビ固め) ⚫️神野聖人
神野はプロレスリングBASARA所属の期待の新星。もともとはK-DOJOやDNAなどで練習生だったが怪我で泣かされてきた過去がある。
今の鍛え抜かれた神野の肉体を見ると、かつて怪我が多かったという過去は、にわかに信じがたい。
一方、田村は2019年7月、JUST TAP OUTでデビューした選手。
2022年2月に行われたG-REX初代王者決定トーナメントでは、カズ・ハヤシ、飯塚優、伊藤貴則に勝利し決定戦進出もしている。
そして神野と同様鍛え抜かれた肉体をもつ田村は、やはり肉体を売りにするバルクオーケストラの一員である。
両者ともマッチョタイプの選手だけに、序盤から激しいぶつかり合いになる。プロレスは基本、殴る・蹴る・ぶつかるだけでも試合は成り立つ。
ハンセン対ベイダーみたいな闘いが好例だろう。しかし、悲しいかな田村も神野も上背がない。彼らに後10センチタッパがあれば、今日みたいな試合をしても説得力があっただろう。
とはいえ、田村が属するバルクオーケストラにしても特別大型の選手はいない。要は見せ方を工夫すれば、まだまだやりようはあるはず。
別に大型選手の真似をする必要はない。彼らは彼らなりに、自分たちの肉体を鼓舞する方法を探していけたらそれでいいと思う。
第四試合 スペシャルマッチLIDET UWFルール 【ダブルバウト】20分一本勝負
田中稔&○伊藤貴則 (13分40秒KO*ハイキック)佐々木日田丸&●冨宅飛駈
UWFインターのころからいわゆる「ダブルバウト」はさんざん見てきているのだが、個人的には普通のプロレスにおけるタッグマッチの方が面白いと思っている。
なぜなら、ダブルバウトの場合、タッチして交代すると、それまで維持してきた緊張感が一旦途切れて、またスタートからやりなおしになるケースが多々あったからである。
したがって、Uスタイルをやるんだったら、私はシングルマッチの方が好みではある。
とはいえ、伊藤を除く三人は純正のU戦士をもいえる。おそらくダブルバウトの欠点も利点も知り尽くしているだろう。
そんな、ベテラン揃いの中で、LIDET UWFを牽引する伊藤が、どう見せ場を作っていくのかが個人的には見どころだと思ってみている。
意外にもと言っては失礼だが、この試合に限っては、選手が交代しても緊張感は保持されたままだった。
これはやはり四人が四人とも、UWFルールをよく理解して試合しているからにほかならないだろう。
GLEATはYouTubeで大会を見る限り、時々「なんで、UWFと普通のプロレスの二刀流をやっているんだろう?」と思うことがちょくちょくある。
UWFが派生し、総合格闘技へと進化する過程をリアルタイムで体験してきた人間の悪い癖で、頭が硬くなってしまうのは我ながらよくないな、とは思う。
ところがこのダブルバウトでは、通常のプロレスルールのようなスムーズさで、なおかつUWFのような緊張感を持続できていた。
つまり、UWFとプロレスのハイブリッドと言ってもいいかもしれない。いや、UWF自体プロレスのいちスタイルではあるのだが、そもそも格闘技方面に向かっていた時代とはベクトルが違うのである。
だから、令和の現代にあって、総合の礎になる必要のないUWFスタイルは、ある意味そうした呪縛から解き放たれて自由になったのかもしれない。
試合は、かつてのU戦士、冨宅から伊藤がダウンを奪い勝利。ベテランの中でも埋没せず己のUWFを貫いた成果だろう。
まだまだ伸びしろはあるに違いないが、伊藤を含めた若い世代の作るUWFには期待していいかもしれない。
試合は伊藤が強烈なジャーマンからハイキックで冨宅を沈めた。しかしおさまりのつかない日田丸は試合後も腕立て伏せで「やり足りない」アピール。ぜひ継続参戦してもらいたいところである。
セミファイナル G PROWRESTLING【タッグマッチ】20分一本勝負
井土徹也&佐藤恵一&●頓所隼 (18分10秒フランケンシュタイナー→片エビ固め) T-Hawk&CIMA&○鬼塚一聖
60 SECONDS(シックスティ・セカンズ)対#STRONGHEARTS(ストロングハーツ)のユニット対決。CIMAを除くと基本みんな若い。セミ前のダブルバウトとも比較できる。
まあ#STRONGHEARTSが下手打つはずもなく、ここは純粋に楽しめそうなカードである。
さて、この試合のキーポイントは、#STRONG HEARTSの試合運び。司令塔のCIMAが盛んに「頭!頭!」と指示を出していたのだ。
言うなれば近代プロレスの申し子とも呼べるCIMAとはいえ、危険な頭部攻撃を推奨するのか?と思いきや、#STRONG HEARTSの三人は、ヘッドロックを中心に試合を進め始めた。
「なるほど!」とこれは見ていて一本とられた。
ヘッドロックの攻防はともすればスピードを犠牲にしかねないきらいもある。
しかし、#STRONG HEARTSはその点もクリアにしながら、序盤のほとんどをヘッドロックの攻防に費やした。
さすがキレもののCIMAである。これがほかのGLEATの若い世代にもできるようになって欲しいんだよなあ。
もし、60 SECONDS(シックスティ・セカンズ)が、#STRONG HEARTSに先んじてヘッドロック中心の攻防をやっていたら、それこそ60秒もかからずに、新時代の景色を見せられただろう。
そう、かつてCRAZY-MAXでCIMAがみせたように、60 SECONDS(シックスティ・セカンズ)も新時代のCRAZY-MAXになれたかもしれない。
しかし、残念ながら古くて新しいプロレスを観せたのは、#STRONG HEARTSの方だった。
あのヘッドロックのリレーを先に思いついたとしても、それを効果的にお客さんに伝えるのは難しい。これからシックスティ・セカンズの3人はプロレスの奥深さにぶつかって学んで会得していくんだろうなあ。
メインイベント G PROWRESTLING:G-REX選手権試合:30分一本勝負
◯[王者]エル・リンダマン (17分55秒ジャーマン・スープレックス・ホールド)⚫️ [挑戦者]クワイエット・ストーム*初代王者が初防衛に成功
福岡にタイトルマッチを持ってきたというところでは、GLATE攻めているなという印象がある。自分の体調のこともあって、4月16日を観戦復帰の日に選んだ理由の一つがこのタイトルマッチである。
正直両方とも若手時代から知っている選手ではあるんだが、特にリンダマンの近年の成長は目覚ましいものがある。百戦錬磨のクワイエット・ストームといえど油断して勝てるほど甘くはない。
実際、上背はないが岩のようなストームに、リンダマンは結構苦戦していた。リンダマンも結構体格的には見劣りしないのだけど、やはり頑丈さで勝負すると分が悪そうに見えた。
バルクオーケストラはセコンドにはついているが、特に介入もしなかったため、同じくセコンドについていた#STRONG HEARTSとは乱闘にならず。
だからその分リングの戦いに集中できたのも良かった。実際内容もタイトルマッチらしい試合になっていたし、見応えもあった。
強いて難を言えば、リンダマンのジャーマンは芸術的なフィニッシャーだと私は思っているので、できれぼ乱発は避けてもらいたい。
とはいえ、乱発しないと勝てないくらいクワイエット・ストームが強かったのも事実。
また、リンダマンの「何がなんでもジャーマンで決めてやる!」という執念も感じられたので、一概に乱発を否定するものではない事は言っておきたい。
結局、最後はリンダマンの執念が乗っかったジャーマンで粘るクワイエット・ストームを振り切った形で、決着。
試合後、マイクを持ったリンダマンは「挑戦者が次から次から押し寄せてくるようなタイトルにしたい」と群雄割拠という表現で、バルクオーケストラだけでなく、身内の#STRONG HEARTSからも挑戦者を募り、GLATEだけでなく、プロレス界の活性化を宣言した。
実際、G-REXのタイトルは色がついていない分、まだまだこれからのベルトではあるのだが、チャンピオンとしてエル・リンダマンが明確なチャンピオン像をもっていることで、面白いタイトルになっていきそうな気はする。
後記
全体的にどの試合も面白く見られたし、Uスタイルも外れではなかったので、また観に行きたいと思える大会だった。次回大会は11月18日。
土曜はいきやすいので、可能ならばまた足を運ぼうと思う。
西鉄ホールから地下に下りて、いつものかつ丼カレーを食して帰路に就こうとしたら、帰りの切符がない。結局新しく切符を買いなおして新幹線にのった。
病み上がりで慣れないことしたせいか?いつも以上に疲れが酷くて朝起きても体が重かった。リハビリとしては少し張り切りすぎたかもしれない。