DRAGON GATE TRUTH GATE 2020開幕戦(2月1日(土)18:00試合開始 山口・海峡メッセ下関)
イントロダクション
1月22日。母が腹痛を訴えて緊急搬送された。検査の結果、腸閉塞とわかり緊急手術。まさか1年前に自分がかかった病気に親がなろうとは思わなんだ。
幸い手術も無事終了。だが、ことはそれだけではおさまらない。退院してからも母が不調訴えたり、父のボケが進行したりで、ストレスがマックスにきていたところにドラゲー観戦のお誘いがあり、飛びついた次第。
オープニング
さて、そんな状況なんで、流れが早いドラゲーの今がどうなっているのか、情報収集する気持ちの余裕がない。
生観戦も半年ぶりだし、ある意味過度に期待せず、まっさらな状態で見に行けるというのは、ある意味ありがたいことかもしれない。
第0試合 トライアウトタッグマッチ
マイケル・スー&小舩賢登vs ホーホー・ルン&亀井丈人(フルタイムドロー)
香港から来たマイケルとホーホーは、OWE中国のメンバーと比較すると、ずっとプロレス寄り…というより完全なプロレスラーになっている。
どこの団体も若手確保に四苦八苦している中、ドラゲーはコンスタントに若手が育っているイメージが強い。昨年この位置で見ていたワタナベヒョウ改め、H・Y・Oが既に戦力として計算されていることを思うと、この四人もいずれ上で試合する可能性も高い。
実際、四人のポテンシャルはとても高く、あっという間にタイムアップ。さすがに5分という時間設定の中で試合を組み立てる力はなかったが、いい勉強にはなったと思う。
トライアウトでなくてもいいので、ストロングマシンJにもできるだけ地方大会を会見させたほうがいいのではないかと思う。東スポ新人賞などもはや形骸化した賞ではあるけど、新人賞受賞者である以上、巡業をこなしていくのは最低条件だし、それをしないという点では疑問が残る。
オープニングマッチ
横須賀ススム&×マーティン・カービー vs ○Kzy&Ben-K (13分34秒、エビ固め※ランニング・エルボースマッシュ)Kzy○
ドラゲーの第一試合恒例、ユニットが全員出てきてアジテーションするおなじみの場面があって、そこから呼び込まれる形でススムとマーティンが登場。
マーティンはイギリスで2006年にデビューした選手で、数々のタイトルを手中に収めた実力者という触れ込み。片やススムは全日本の至宝・世界ジュニアのチャンピオンであり、その実力は疑いようがない。
初めて試合を見るマーティンは、ピンクのタイツにピンクのレガースに、スキンヘッドといういでたち。しかめっ面のテクニシャンというイメージが私の中では強いイギリスのプロレスラー像とは大きく異なり、
かなり陽気。しかもそれほど飛び技主体でも、グラウンドで試合を組み立てるでもない選手だった。
何というか全体的にバランスよく上手いという感じ。ただしススムとの連携はそこまでスムーズではない。そのススムは序盤からいきなり「ジャンボの勝ち」を繰り出すなど、短期決戦狙いみたいな戦い方をしていた。
これが災いしたのか、連携では一枚上をいくドラゲーサイドが終始試合を支配。特にKzyは影になり日向になりで、チームの勝ちにさりげなく貢献していた。その差が大きく出た試合だったように思う。
第2試合・望月成晃 vs 奥田啓介(10分10秒、両者リングアウト)
今回最注目のカード。奥田がドラゲーに殴り込みをかけてきた時に、迎えうったのがモッチーで、そこから奥田が望月道場入りしたくだりまでは覚えているんだが、気がついたら闘龍門対ドラゲー対R・E・Dという流れができてしまった。
モッチーが闘龍門側にいるのはまだわかるんだが、外様で入ってきた奥田がドラゲー派にいるのは違和感がある。そういう意味では、このカードをどう見るかという点では観る側に色々問いかけがありそうな気がしている。
モッチーのTwitterを見る限り、奥田が急に師範から呼び捨てモードに入ったのが気に入らないらしく、既に戦前から舌戦が繰り広げられていた。
試合はモッチーが奥田の土俵に入っていく流れではあったし、ちょいちょいお笑いチックな要素も入れつつ、終始余裕で流れをつくっていた。
しかし、場外戦で両者が思いの外熱くなりすぎて、まさかのカウントアウト。奥田はまだしも、ベテラン望月がやらかすとは予想もしてなかった。50にして血気盛んなモッチーが思わぬところで足元を掬われてしまった。
第3試合・闘龍門 vs R・E・D
ウルティモ・ドラゴン&×ドラゴン・キッド&ドン・フジイ vs ○ディアマンテ&KAZMA SAKAMOTO&H・Y・O(13分39秒、横入式エビ固め※急所から丸め込む)
校長がドラゲーに合流してからははじめて観戦するわけだが、フリーのKAZMAが参加しているあたり、純粋に敵対関係として見られるかどうかはなんとも言い難い。
そもそもウルティモ校長が頼み込んで今のドラゲーに絡んできたわけではない。むしろどちらかというと、ドラゲー側が三顧の礼で、ウルティモ校長を招き入れたとみるのが正解だろう。
となると、対戦相手のR・E・Dだけでなく、同じコーナーにいるキッドやフジイさんも校長を本気にさせる必要があるのだが、果たしてどれくらいの意識で究極龍と絡んでいくのか、注視してみていきたい。
ベビーサイドはキッドとフジイさんが先に入場して、ウルティモ校長が後から入るわけだが、散々聴き慣れているセパラドスが、ドラゲーの会場で流れるというのはなかなか感慨深いものがあった。
さて、試合は、要するにウルティモドラゴンをベビーとヒールが、ひたすら接待し続ける内容になった。
特にR・E・D側はセコンドの清水までいじられる(なぜか介入するたびにビンタされていた)など気の使い方が半端ない。片やベビーサイドはベテランのキッドが技を受けまくる。
まるで、全員がマスカラスなどのレジェンドと対峙した時のNOSAWA論外状態で、その中でウルティモ校長はいつも通りのムーブで会場をわかせる。
だが、乱戦にもちこんだR・E・Dは一瞬の隙をついてキッドから3カウント。これに校長が物言いをつけた。「おい、そこの金髪豚野郎!俺にもビンタさせろ!」
このマイクに乗っかってセコンドについていたサイリョウが「メインでR・E・Dが負けたらビッグR清水が、観客全員からビンタされる」という約束を、本人の了解なしで決めてしまった。
セミファイナル・
YAMATO&×ジェイソン・リー vs ○ヨースケ♡サンタマリア&ドラゴン・ダイヤ(12分48秒、狙い撃ち♡)
これは3軍対抗でもない純粋なドラゲー内対決になる。対抗戦抜きにいつものドラゲーが楽しめるという意味では、今でなくても見られそうなカードだが、プロレスは何が起こるかわからない。地方の何気ないカードが二度と見られないというケースは普通にありうるからだ。
第一試合に登場した時から、同ユニットながら微妙に距離を置いていたYAMATO組とマリア組だったが、マリアが先発で出てくると、先にでたくないばかりに、YAMATOとジェイソンが先発を譲り合ってジャンケンをはじめてしまった。
結局、ジェイソンか負けて試合はスタートするのだが、観客は当然マリアの味方になるので、下手に厳しい攻めでいこうもんならたちどころに大ブーイングが飛んでくる始末。
一方そのとばっちりを食ったダイヤはYAMATO&ジェイソンにいたぶられ放題。前の試合のキッドといい、オリジナル以外のドラゴンは基本この日はひどい目にあっていた。
メインイベント・闘龍門 vs R・E・D
○土井成樹&吉野正人&斎藤了&K-ness. vs Eita&B×Bハルク&×ビッグR清水&石田凱士(11分38秒、エビ固め※バカタレ・スライディングキック)
前半戦で負けられない理由が出来たR・E・Dというか、ビッグR清水。1人だけなんか気合いの入り方が違う。
一方闘龍門勢はかつて大会オープニングで使用されていた「闘龍門のテーマ」(新アレンジバージョンか入場。セパラドス同様、こちらもドラゲーで流れることに関しては非常に感慨深い。
さて、ビンタ云々はおいとくとして、古傷である首の負傷により年内引退を決めている吉野としては、一戦一戦がラストマッチになりうる。
そして、危惧した通り、吉野はR・E・Dから一方的に攻められる。時には首を押さえてうずくまる場面も見られた。
しかし、ビッグR清水は勝たないと、会場全員からビンタを食らってしまう。その焦りをベテラン揃いの闘龍門勢が見逃そうはずもない。
乱戦から土井がバカタレスライディングキックで、ビッグR清水から直接3カウント!だが、当然R・E・Dが約束を守るはずもなく、勝敗が決した瞬間、脱兎の如く逃走。
マイクを持ったサイリョウが「清水、どこへいった?」とあたりを見回した時には、すでにR・E・Dは引き上げた後だった。
とはいえ「マイクでビンタとは言ったものの、反響がよすぎてどうしようかと思った」と正直な気持ちも吐露。まあ、物理的に考えてフルハウスのお客さん全員が、清水をビンタしたら日付も変わってしまうだろうし、実現するとは思わなかったけど。
後記
2020年最初の観戦はこうして幕を閉じた。多少不満な点もなくはないが、総じていつものドラゲーだった。普段なら多少なり文句も書いたかもしれないが、今の私にはプロレス会場にいるだけでも幸せなこと。本当にありがたい。この素敵な時間ができるだけ長く続きます様に。