DRAGON GATE 「KING OF GATE 2016」第18戦小倉大会
(2016年6月10日:小倉北体育館 観衆:650人)
イントロダクション
観戦間隔が例年になく空いてしまい、なんとレスリングどんたく以来のプロレス観戦。ここ数年、5月は年間最多の観戦数だったのが今年に限って、ひとつしかないと、日にち間違えたりすることもあるんだなあ、と。
ということで別件で用事を間違えて入れてしまい、大幅に遅刻。まあ、でも今までがラッキーすぎたとしかいいようがない。
たまにはこういうこともある。招待券でなく、金出してチケット買っていたら死ぬほど後悔しただろうけど。
第一試合:タッグマッチ
ドラゴン・キッド&ピーター・カッサ VS ジミー・ススム&望月成晃
○ピーター・カッサ(9分40秒、スーパー・ヒューマンハリケーンから片エビ固め)ジミー・ススム×
第二試合:KING OF GATE 2016 Aブロック公式戦
Kzy(2勝2敗1分=5点)VSジミー・神田(2勝2敗1分=5点)
×Kzy(9分9秒、キャンディ・マジック)ジミー・神田○
第三試合 KING OF GATE 2016 Cブロック公式戦
Kotoka(2勝3敗=4点)VS斉藤“ジミー”了(2勝2敗1分=5点)
×Kotoka(3分45秒、サイクリングヤッホー)斎藤“ジミー”了○
第4試合 タッグマッチ
鷹木信悟&○土井成樹 vs CIMA&×Gamma(13分42秒V9クラッチ)
この試合の入場後に滑り込み!例によって省エネスタイルのベテラン勢に余力を残しながら付き合うベルセルクという図式。
ドラゲーはマイクでごまかしてるけど、スピーディーな展開を大会場に温存する分地方大会はどうしてもこういう展開になる。
普通はCIMAたちを休ませないのがヒールたるベルセルクの務めなんだけど、明らかにオーバージェネレーションにあわせた試合展開にしているのは、勘ぐらなくても週末の博多二連戦にピークがくるようにしているんだろう。
そういう大人の事情がかいま見える何とも言いようのない試合だった。
第五試合 KING OF GATE 2016 Bブロック公式リーグ戦
×問題龍 vs ○Eita(2分31秒飛びつき式回転エビ固め)
わずか2分で終わるスピード公式戦。そりゃ博多二連戦の前座でしかも消化試合だろうとは予想していたが、スピードで売るドラゲーのスピード決着ってどうなんだろう?
そりゃEITAと戸澤が代表決定戦すりゃ博多は盛り上がるとは思う。しかしそのために小倉大会が捨て石になるのは釈然としない。この試合は予告編だったのか?
正直見逃した前半戦の公式戦も消化試合っぽいし、あまり食指が動かないカード。やはりこうまであからさまに差をつけられちゃうと、有料で見に行きたいとは思えないのだ。
KING OF GATE 2016 Dブロック公式リーグ戦:
○ビッグR清水 vs ×堀口元気H.A.Gee.Mee!!(8分29秒砲丸投げスラム→エビ固め)
この試合が1番リーグ戦っぽい試合だった。なぜなら力自慢の清水をテクニックで翻弄する堀口という非常にプロレスのセオリー通りの展開が見られたからだ。
ジミーズとしてチームで出てくるとどうしてもお笑い担当になりがちな堀口だが、ベテランらしい凄みを随所にみせてくれた。
しかし、清水もパワーが売りなら、キーロックを決められたまま立ち上がるとか、腕ひしぎを力で振りほどくとかしないと、単純に決められてロープに逃げるシーンが目立ちすぎた。
キーロックを巡る攻防はパワーファイターならではの見せ場なんだが、ある程度堀口がお膳立てした中でしかビッグRになりきれなかった清水には課題がたくさんありすぎではないか?
逆にいうとそれだけ堀口が本気出したからこの試合は面白くなったけど、怪物性をウリにしていくなら清水はまだまだ修行がたらない。
しかし、そうはいいながらも普段なかなかお目にかかれない堀口の執拗さが形になって現れたのは素晴らしいこと。
キーロックにしろ、腕ひしぎにしろ、的確に決めており、清水のスタミナロスを狙うには実に効果的。そこから得意技の逆さ押さえ込みにもっていく流れもスムーズで、理にかなう攻めであった。
ベテランらしいシングルマッチの見本といってもいい。相手のいいところを引き出してかつ自分もいいところを見せて最後は負けるというのも堀口らしい。
本気で悔しがっていた堀口にはあえてナイスファイト!といっておきたい。
メインイベント:
吉野正人、戸澤陽、×T-Hawk vs ○YAMATO、B×Bハルク、ヨースケ♡サンタマリア
(16分24秒全知全能のフランケンシュタイナー→エビ固め)
せっかくシングルのリーグ戦やってるのにメインが6人タッグというのもなんだかなあ。いくらメキシコが起源のドラゲーとはいえ、公式リーグ戦がメインではないとはねえ。シングルマッチを軽く見ているのか?としか思えない。
ならばいっそシングル王座を廃止してタッグやユニットだけで覇権争いしてもよくないだろうか?
それとマリアと同じコスチュームでファンの女の子(小学生くらい?)がリングにあがり、一瞬だけど試合に絡んだのはちょっとどうなんだろうって思ってしまった。
リーグ戦のない普段の地方大会なら百歩譲ってアリにしたかもしれないが、想い出作りも度が過ぎると自己満足にしかならない。
ましてや業界No.2のドラゲーの影響力を考えるとおふざけでも看過しがたい。
断っておくが、鍛え抜かれた人間しかあがれない神聖なリングの敷居を選手自ら下げていた点が不快なのだ。
女の子には罪はない。しかしこれでプロレスが低く見られる可能性を考えると頭が痛くなった。
試合内容は確かにドラゲーという団体のメインにふさわしい内容だったし、はじめて見る人にもわかりやすい。初見参のユニットもすんなり受け入れられているし、パッと見た感じは問題ないようにみえる。
だが、ミレニアルズという若手だけのユニットを解散させた弊害はあちこちにみえた。
プロレスのタッグマッチには役割分担があり、力道山の昔から若手や序列が下の選手が動いてスター選手の出番に繋ぐことが多い。
少ない動きでたくさんの歓声を集めるのはスター選手の力量だし、それがない若手はやはり動いてナンボなところもあるから、一概に若手がきつい役をやることを悪いとはいわない。
しかし、最初から段階を経ていくならまだしも、ミレニアルズのように一度スター扱いしておいて、そのあとに先輩選手と混合ユニットを組ませるのは、なんか退行した印象をもってしまう。
とはいえ、もはや若手の域を出ている彼らなら、この位置からすぐにスター選手の場所に行くのもそう遠い日のことではないだろう。実際帰り道のお客さんの会話の中でたくさん聞こえてきたのはマリアやT-HAWKの名だったからだ。そこにはCIMAも吉野、土井すらの名もなかった。時代は確実に動いているのだ。
後記
でもやっぱシングルのリーグ戦ならリーグ戦をメインにしてほしかったなあ。ヤングライオン杯や、初期のスーパージュニアのように、扱いが下になるリーグ戦も過去あるにはあったけど、毎年恒例にしている割にはリーグ戦自体に盛り上がりを欠いていた印象を私は受けた。
カード編成をみても普段のドラゲーの地方大会となんら変わってないし、特別感もない。リーグ戦を続けていくのであればここはやはり改善してもらいたいところである。