[プロレス観戦記] 大日本プロレス「博多心残し」福岡・博多スターレーン大会

せかぷろ

大日本プロレス「博多心残し」福岡・博多スターレーン大会

(2019年03月31日:福岡・博多スターレーン)

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イントロダクション

さあ、いよいよこの日がやってきた。昨年末に耐震改装工事という話から、年明けで一転閉鎖が決まり、そこからあっという間に博多スターレーンの閉館日が来てしまった。

正直、30年近く通い詰めたスターレーンがなくなるという実感は当日を迎えた今になっても、まだ信じがたい。折しもこの日は、同じく2019年に取り壊しが決まっている九電記念体育館もラスト営業らしい。ツイッターでみただけだから、まだわからないけど、九電記念体育館がなくなるのも、まぎれもない事実。

海の向こうでは、マジソンスクエアガーデンも閉鎖(こちらは閉館なのか、改装なのかは不明)と聞く。最近続く訃報にも思うことだが、確実に時代は移り変わりはじめているのは確かだ。

オープニング

さて、最終日の大会は大日とDDTがダブルヘッダーを強行。大日はこのあと2本目があり、DDTは一本目を終わらせてから博多入りする。間を繋ぐ東京女子は、最初で最期のスターレーン大会でもある。

体力的に不安がないわけではないのだが、やはり自分がプロレスファンとして一生のほとんどを過ごしてきた以上、三本通しで見るほかない。仮にそれが自由席でも価値は変わらないはずだ。

前説

前説には特別なときにしか登場しない登坂社長が登場。いきなり「シークレットゲストの山川竜司が、飛行機に遅刻した」とネタバレを投下。まあ山川が、博多スターレーンで頭蓋骨陥没という大けがを負ったことは、記憶に残っているけれど、まさか引退した山川がスターレーンに登場するとは・・・・

自腹で山川の飛行機代をねん出した登坂さんがひとしきり愚痴って、ボーリングのピンにサインして飛行機代の足しにしたいとまで言い出して、とりあえず大会はスタートした。

▼オープニングマッチ~大日本プロレスvs九州プロレス 15分1本勝負

×石川勇希 vs 〇田中純二
(6分4秒 ダイビング・ヘッドバット→片エビ固め)

これは大日対九プロでは、普段絡んでもいない両団体のことを考えるとピンとこないかもしれない。

だが、漢字ではなく「いしかわゆうき」対「たなかじゅんじ」なら意味合いが若干変わってくる。大日の石川は漢字違いだが、もと格闘探偵団バトラーツの石川雄規と同姓同名。そのバトラーツに所属していたのが田中純ニ(ジュンジ.com)。

つまり、平成も終わろうかというこのご時世に、バトラーツの源流であるUWFが、聖地にしていた博多スターレーンで、形は違うけど「バトラーツ対決」が見られるわけだ。

そして、今の大日の若手陣ならバトラーツがウリにしていたバチバチスタイルも難なくこなせるはずだ。2018年1月デビューの石川は格の違いもなんのその。果敢に純二に立ち向かっていく。

まあ、試合内容は、厳密にいうと昔語りではなく、現在進行形の2人の対決にはなったのだが、イキのいい若手に胸を貸す役割は純二の得意とするところ。

しかし、名前だけでなく、石川は本当に若さ溢れるイキイキしたファイトぶりを見せつけた。あらためて、大日の底の厚さを今更ながらに思い知る形になった。試合は粘った石川を、純二お得意のダイビングヘッドバットで振り切る形になった。

だが、いずれ石川が最前線に上がってくる日もそう遠い日ではないだろうし、その頃には「いしかわゆうき」とくれば「石川雄規」ではなく「石川勇希」になっていることだろう。

▼第2試合 シングルマッチ 20分1本勝負

〇加藤拓歩 vs ×兵頭彰
(6分21秒 逆エビ固め)

大日本はちょっとみてないと、新しい顔がどんどん出てくる。この2人の試合を観るのは無論はじめて。兵頭は2018年4月、加藤は同年1月デビューというフレッシュな顔合わせ。

加藤が三か月先輩とはいえ、兵頭を格下扱いしているわけでもなく、お互いが火花を散らしあう、いかにもストロングBJWというべき試合になった。新日本ほど威勢がいいわけではないんだけど、地力が二人ともしっかりしている。

序盤の首の取り合いにはじまって、ドロップキックや逆エビ固めなど、両者がまるで競い合うかのような形で激しい闘いが繰り広げられた。本当に鍛え抜かれた身体をしているので、これで個性がついてくれば間違いなく上が狙える逸材といっていいだろう。

でも、やはりプロレスで言う三か月の差というのは結構大きくて、結局加藤が兵頭を逆エビでギブアップさせた。石川も含めた2018年組の出世争いも、個人的には注目していきたい。

▼第3試合 BJW認定ジュニアヘビー級選手権試合 30分1本勝負

【第2代王者】〇橋本和樹 vs 【挑戦者】×関札皓太
(13分3秒 デスバレーボム・ホールド)
※第二代王者3度目の防衛に成功

タイトルマッチ宣言は、大日の営業本部長の若松さんがつとめた。いつもチケット売り場に必ずいる人だし、認知度は高い。新道リングアナが名前を呼ぶと会場からは「若松コール」がおきた。

普段だとまず表にでてこない若松さんの晴れ舞台に、花を添えるべく関札も橋本もいつも以上に気迫の溢れたファイトをみせた。

格からいうと、橋本の方が断然上だし、若い関札のチャレンジマッチ的な立ち位置でも別におかしくはなかったのだが、関札はベルトを取る気が満々だったのだ。

だから、中盤からは完全に橋本の余裕は消えていた。序盤に畳み掛けた顔面ウォッシュまでは、完全に橋本ペースだっただけに、中盤からの関札の畳み掛けは見事というほかなかった。

だが、そこはやはりチャンピオン。結果的には関札のいいところを引き出した上で、橋本が強烈なデスバレーボムホールドを関札に見舞い、カウント3。

試合後、関札を呼び止めた橋本は「これからもまだまだやっていこう」と、チャンピオンの方から再戦アピール。これは関札に手ごたえ以上のものを感じたからに他ならない。大日本のスターレーンでのラストタイトルマッチは、新しい時代に続くライバルストーリーへのはじまりだったのだ。

☆山川竜司登場☆

ここで、登坂社長が再びリングイン。じつは山川から福岡空港に着いて以降のラインがないという。

「えー?」という声が響く。このあと、名古屋に移動する大日勢は、東京女子が始まるまでには、撤収しないといけない。

そこへ、あの名曲「セパレイトウェイズ」が流れ、入場ゲートからBJWの帽子とウェアを着た山川竜司登場!

リングインするなり「待たせたな!」と一言。しかし登坂さんに「そこは、お前ら待たせたな!だろ」と突っ込まれると、「いや、お前らは失礼かな」と山川は言い訳し始めた(笑)

さらに現役時代の衣装は持ってきたのに、空港に預けてそのままスターレーンにきたことまで登坂さんにばらされて、しどろもどろになる山川。追い討ちをかける登坂さんは「早くしないと、甲田さん(東京女子代表)が、イライラしてるから!」と慌てて巻きにはいる。

再度「お前ら待たせたな!」で諏訪魔の入場テーマ曲である「DDS」が流れて、そのままセミファイナルに突入した!

▼セミファイナル 大日本プロレスvs全日本プロレス~タッグマッチ 30分1本勝負

岡林裕二&×青木優也 vs 〇諏訪魔&青木篤志
(12分21秒 ラストライド→体固め)

第一試合の九州プロレス対大日本プロレスというのは、特に開戦もしていないが、大日対秋山全日は、現在進行形の対抗戦真っ最中。いまが旬の対戦である。

特に世界タッグを巡る抗争では岡林と諏訪魔は火花を散らし合う間柄でもある。もともと馬場全日にいたグレート小鹿を祖とする大日本は、いわば全日の「兄弟団体」のようなものだが、DNAが近い分因縁は深まりやすいのだろう。

先発は全日本の青木篤志と、大日本の青木優也。2005年デビューの青木篤志はキャリア14年の大ベテラン。ジュニアながら、怪我で負傷欠場した真霜拳號の代わりに、2019チャンピオンカーニバルにもエントリーされた実力者。

対して大日の青木は2017年デビューの若手選手。序盤に起こった「青木コール」は、青木篤志より青木優也に向けられたものと考えて間違いないだろう。ホームということは差し引いても、多少の同情票が混じっていたのは、今後の課題かもしれない。石川もそうなんだが、青木といえば、「篤志」ではなく「優也」といわれるくらいにならないといけないのだ。

そのことは青木優也もしっかりわかっていたようで、岡林を意識する諏訪魔に強烈なドロップキックをお見舞いするなど、青木優也ここにありをしっかり刻んだとは思う。もっともその倍返しも半端なかったわけだが…

当然、ここまでやられて諏訪魔の気持ちに火がつかないわけがない。ぶっこ抜きジャーマンで青木優也をたたきつけると、最後は正調ラストライドで、敵地で勝利をおさめた。

とはいえ、全日に所属しながら最後のスターレーンで試合ができたというのは、諏訪魔にとっても感慨深かったのではないだろうか。大日対全日はこれからも続いてくだろうけど、ラストライドだけでなく、ジャーマンを出したあたりに、そんな気持ちを感じてしまった。

▼メインイベント 大日本プロレス・博多スターレーンラストマッチ 30分1本勝負

〇関本大介&野村卓矢 vs ×橋本大地&神谷英慶
(17分7秒 ジャーマンスープレックスホールド)

本人的には頑張っているんだろうけど、やはり破壊王ジュニアというフレーズが付きまとっている大地は、一生この課題と闘っていかなくてはならない。破壊王子というなら、それこそ岩のような関本を破壊してこそだろうけど、さすがにまだその域にはいっていない。

それどころか、関本には大神二人がかりでないとどうにもならないというのが現状で、しかも一度逆転してもあっさりラリアット一発で吹っ飛ばされてしまう。この辺の説得力を積み上げていかないと、生え抜きが次々誕生してくる大日本で生き残っていくのは厳しくなっていくだろう。

序盤は探り探りいっていた大地だけど、ここはもう少しガンガンいってもよかったのかもしれない。力比べでは所詮、関本に叶うとは思えないので、基本中の基本もいいけど、目の前にいる強大な壁を打ち破る気持ちがないと、なかなか関本&岡林の壁は越えられまい。

神谷とのタッグでタッグ屋を目指すにしても上には「関本&岡林」という最上位概念が存在しているので、大神がタッグ屋として活路を見出すにしても、やっぱり関本と岡林は避けては通れないのだ。

タッグチームであるにもかかわらず、関本一人に分断された大神は、大地が剛腕ラリアットでふっとばされると、そのまま関本のぶっこ抜きジャーマンスープレックス「ホールド」でカウント3つをきいてしまった。

次世代のメインイベンターになるにしても、大神に残された時間がそう多くはない。今年はもしかすると大地と神谷には試練の年になるかもしれない。

☆試合終了後☆

ラストは全方向向いての記念撮影。時間押してるのに、最後までファンサービスにつとめて、大日本らしさが凝縮された大会だった。

後記

ロビーでは登坂さんと岡林が先頭に立って、サイン入りボーリングのピンを販売。一万というのは高いなあと思っていたが、これが完売した途端にロビー中が大拍手に包まれた!さらに登坂さんは、スターレーンのダンボールを300円で売りつける暴挙にでた(笑)

しかし、なんとこれも売れてしまった。しかもロビー中が謎のファンファーレ(笑)で歓迎。最後にまじめモードになった登坂さんと岡林が謝意を述べると、ロビーのファンからは大拍手。割と販売を早めに切り上げて、大日勢は第二ラウンドの名古屋へ旅立っていった。

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