[プロレス観戦記] プロレスリングFREEDAMS『いざゆけ 無敵の自由軍団2019』

せかぷろ

プロレスリングFREEDAMS『いざゆけ 無敵の自由軍団2019』(2019年5月26日(日)福岡・北九州門司赤煉瓦プレイス)

FREEDAMSが北九州に帰ってくると、いよいよ夏が開幕する…といいたいところだが、日本中が2019年初の猛暑に襲われて、開幕が少し早まってしまった。この日も気温32度。北海道の帯広が38度という記録的な気温を観測したというニュースが入ったくらい、今年は早くから夏日が猛威をふるっている。

それは北九州も例外ではなく、この日の気温は32度。めちゃくちゃ暑い。なのでギリギリまで自宅でスーパージュニアの中継を消化してから外出。久々の赤煉瓦プレイスは、一か月前より明らかに暑い。しかし、中に入ると今度は寒い!このあたりが本格的な夏とは違う初夏ならではの困ったところである。

今回のリングアナは久々の富山千帆さん。あの英語交じりのアナウンスやコールが聞けるのはなかなかありがたい。色んな団体でコールしているから、盛り上げ方もわかっているし、必要事項のアナウンスも的確。千帆さんのリングアナっぷりはなかなか堪能する機会がないので、嬉しかった。

前説は殿とスギウラマンがつとめたが、なぜかリングインする前に転んだり、用意したネタが滑ったりと、スギウラマンが空回り。しかも、自分が作り出した空気を全部殿のせいにしてしまった(笑)なんて自由な男なんだ!

第一試合:◇がむしゃらプロレス提供6人タッグマッチ
○トゥルエノ・ゲレーロ&HIROYA&X(佐々木貴) vs 陽樹&×鉄生&X(竹田誠司)

がむしゃらのチャチャタウン大会では、ビニール傘の因縁から殿対gWoの抗争がスタートしそうだったのだが、そのgWoが四月で解散になり、FREEDAMSのカードがどうなるのか?と期待半分、不安半分で待っていたら、まさか解散マッチの当事者同士が同じチームにいるというマッチメイク!いや、そもそもこの二人組ませたら試合にならないはずだし、殿も知らないわけではないだろう。となれば別な意図があるのだろうか?

発表されたエックスはドリームチューバー側に殿、鉄生&陽樹側には竹田がつくが、試合前から陽樹と鉄生は火花バチバチで、竹田が間に入ってとりなしてなんとか試合が始まった。殿は陽樹&鉄生の仲が悪いことは周知の事実だろうから、いきなり放り込まれた竹田は、いい迷惑だっただろう。

しかも、がむしゃらプロレスとは縁が深い、竹田と同じくunchainの藤田ミノルが甲斐甲斐しくセコンドしているのだが、一通り作業が終わるとさっさと引き上げてしまった。

とりあえず竹田の手前、協調する雰囲気はみせる鉄生と陽樹だが、見慣れている人間にはピリピリしているのが手に取るようにわかる。かたや昨日も勝利して勢いにのるゲレーロ&HIROYAは殿を加えてノリノリ。竹田が中を取り持ちながら、全くチームとして機能してない鉄生&陽樹とは対照的。

これではいくら竹田が奮闘してもどうにもならない。ある意味罰ゲームである。結局、2回目の連携にトライした鉄生と陽樹は見事に誤爆!あげくゲレーロが鉄生から2日連続のピンフォール勝ちという結末になってしまった。

試合後周りをそっちのけで、乱闘する鉄生と陽樹に対し、殿がマイクで「8月3日門司赤煉瓦プレイスでFREEDAMSとがむしゃらプロレスの全面対抗戦をやる」とサプライズ発表。客席で観戦していたがむしゃらメンバーにも「しっかり鍛錬してこい」と檄を飛ばした。昨年は陽樹が単独で後楽園行き、というサプライズだったが、まさか今度はFREEDAMSが北九州に再上陸するとは!これはたのしみになってきた!

第二試合:◇シングルマッチ
×鎌田直樹 vs ○久保希望

昨年夏のヤングダムス広島大会にて、練習生Kとして試合した鎌田。無事デビューも果たし、門司大会で迎える相手は北九州が誇る久保希望。若手の壁としてはこの上ない存在。こういう門番的な役割はがむしゃらプロレスでも散々実績を残しているだけに、どんな叩き潰しにでるか?

がむしゃらを辞めてからややふっくらした久保だが、アマレス仕込みの的確なテクニックで鎌田を翻弄していく。それでいて鎌田のいいところも存分に引き出していくという、プロレスラーとしても非常に高いスキルを見せつけていく。

鎌田は一目見ただけで、昨年夏のエキシビションより明らかに身体が一回りでかくなっているし、自信にも満ち溢れていた。先輩相手に臆するところなく向かっていったし、これからの成長が楽しみである。

しかし、久保の懐の深さはやはりキャリアのなせる業。こればかりは年月を積み重ねない限り、身にはつかない。最初は久保希望だってそうだった。鎌田もいずれ後輩に胸を課す日が来るかもしれない。そうして時代は移り変わっていくのだ。

試合は久保の強烈な打撃から、駄目押しのダイビングセントーンで決着。決して上背に恵まれていない久保がこうした懐の深い試合を作っていたという事実は、鎌田にとっても大きな財産になるに違いないだろう。

第三試合:◇タッグマッチ
神威&○ドラゴン・リブレ vs 進祐哉&×平田智也

数年前までは若手の域にいた平田やリブレも、試合数をこなしていつのまにか先輩の横に立てる位置にまできた。まあ、ここまでは順調なんだけど、これから先が彼らにとっても正念場になる。とりたてて先輩より抜きん出た特徴が今のところ二人とも見られないからだ。

目を見張ったのは、鎌田同様、平田の体つきが昨年夏にみた時より一回り以上でかくなっていて、びっくり!なるほど、鮮血のパワーファイターの異名は伊達ではない。

試合の大半は平田のパワーの前に、神威とリブレがタジタジになる場面も多々見られた。加えてFREEDAMSでも名うてのテクニシャン・進のレスリングが加わり、中盤までは進&平田のペースで試合が進んでいった。

しかし、体格では劣るが平田より先輩のリブレにも意地がある。前日は熊本で神の子・ヴァンヴェール・ジャックに苦杯を舐めさせられたとあれば、奮起しないわけにはいかないだろう。神威の的確なアシストも得て、息を吹き返したリブレは最後に平田から逆転のピンフォール勝ち。九州シリーズ二連敗はかろうじて回避できた。今のFREEDAMSが魅力的なのは、こうした若手同士が切磋琢磨している姿が見られることだと私は思っている。いつか北九州でもヤングダムスの大会を見てみたいものだ。

セミファイナル◇タッグマッチ
×GENTARO&杉浦透 vs 吹本賢児&○土屋クレイジー

力などのレギュラー参戦メンバーが怪我で欠場している中、土屋クレイジーがFREEDAMS門司大会に初参戦。がむしゃらプロレスで既にお馴染みとはいえ、プロの中に混じって、しかもセミファイナルを務めるとなれば、心中穏やかではあるまい。ましてや土屋にとって群雄割拠で絡んだ杉浦は特別な相手だし、レスリングマスターのGENTAROは、目標の一人には違いない。

序盤でみせた土屋とスギウラマンのテクニック合戦。こんな自由すぎる中にあって一番自由そうだった杉浦は、いわばホームの土屋にばかり声援が集まるとものすごく不機嫌になる。

そんな土屋はマネジャー役の師匠・大向美智子共々フッキーメイクで入場。昨年鉄生がフッキーメイクにチャレンジしたから、会場はどよめきに包まれた。

しかもリングに降りた土屋&大向&吹本が肩を組んでぐるぐる回り出した。これが東京なら「わからない!」コールがおきていたところだろう。このフッキー大向美智子が随所で介入。竹刀の痛みに耐えかねた?杉浦が客席に飛び込んで戻ってこないと、吉野レフェリーが「お前、ノープランだろ!」とリング上からツッコミを入れられてしまう。

さらには乱闘のドサクサに紛れてセコンドのドラゴン・リブレが無理やりリングに放り込まれ、両軍+大向美智子にボコボコにされるというかなり自由すぎる展開に。こうして試合はどんどんカオスな流れになっていく。

終盤は丸め込み合戦から土屋のシャイニングウィザードがクリーンヒット!レスリングマスターGENTAROがカウント三つをきく羽目に!その余韻もつかの間、怒りに震えるGENTAROは背後から土屋に絡みつき、あっという間にスリーパーで絞め落としてしまった。

メインイベント◇6人タッグマッチ
葛西純&竹田誠志&○藤田ミノル vs マンモス佐々木&×ビオレント・ジャック&佐々木貴

北九州ではほぼ無敗の強さを誇るunchain は、KFCのベルトを巻いた葛西を筆頭に、今FREEDAMSを席巻する勢いがある。ユニットとしては長いけれど、絵になるメンバーが揃っているので誰が出てきても非常に良い働きをする。中でも2年前まで北九州に居住していた藤田がある意味「凱旋」する形になった本大会ではどうだっただろうか?

序盤でタッグ王者のマンモス&ジャックをからかったり、素早いタッチワークで翻弄するunchainだったが、体格で利しているマンモス&ジャックのパワーが発揮されはじめると、次第にunchain…というより藤田が劣勢に回り出す。

加えて殿が容赦ない打撃を加えていくため、シングルチャンピオンを擁するunchainもしばしば劣勢に立たされていく。一日二試合目の竹田もなんとか流れを変えようとするが、いよいよ旗色が悪くなってきた。

だが、KFCチャンピオンのカリスマ・葛西にも意地がある。殿に狙いを定めて劣勢を挽回すると、パールハーバースプラッシュから藤田につなぎ、勝敗を託した。粘りに粘るジャックに悪戦苦闘しながら、なんとか藤田が、元ホームタウンに錦を飾った。

試合後、次回の北九州大会でKFCの防衛戦を約束した葛西は、藤田にマイクを譲る。藤田は会場にもと奥さんと娘さんがきている…と見せかけて実は運動会で来ていないという告白をしたあと、「家族との団欒よりもこうしてプロレスしている時間が自分には大切なんだ!」とアピールし、大藤田コールに応えてみせた。

この日は第三試合後にリング板が割れるハプニングもあり、吉野レフェリーの指示で休憩中に取り替える事態が発生したが、こうしたトラブルにも対応するには休憩時間が必要だと私は思う。

そういう事でいうと、長すぎずだれない今回のような大会は見ている側からすると非常にありがたい。大会後の殿の宴も大盛り上がりだったし、本当に楽しい時間を過ごさせていただいた。FREEDAMSには毎回感謝しかない。ありがとうございました!

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