プロレスリング華☆激『GT-R PROJECT大会』~Hearts on Fire~(2019年 4月6日(土)さざんぴあ博多)
イントロダクション
四月もほぼ毎週末に観戦があり、どうかすると平日開催の大会もある。見られるのはありがたいのだが、体力と懐具合を考慮すると、どこかしらカットせざるを得ない。ということで、2~3の大会はやむを得ず観戦はあきらめた。若い時なら全部を走破しただろうけど、もうそれも難しくなってきている。
土曜はちょうど実家に帰って、北九州に戻る日になっていた。なので途中で休憩挟ないと、さざんぴあまでの移動距離を無事に走破できない。年齢を重ねるとだんだん無理がきかなくなるわけだ。こればかりはいくら若作りしてもどうにもならない現実である。
オープニング
というわけで、17時半開場から逆算してギリギリ間に合いそうなタイミングで家を出て、新幹線→地下鉄→西鉄と乗り継いで雑餉隈へ。
今回は新泉浩司率いるGT-Rプロジェクト大会。華☆激のホーム会場だったさざんぴあも、近年はGT-Rのホームになりつつある感がある。
舞台袖からチラチラ、大会プロデューサーの新泉が顔を出していたが、やはり何回やっても不安になるのはしかたない。だが、プロデューサーの心配は杞憂に終わり、休憩前には満員の入りになっていた。
第1試合
○神楽 (1/20) ×久保希望
GT-Rには久しぶりの参戦になる、久保希望の対戦相手は神楽。666所属の選手だが、中身は当然実力者のあの選手。生ではないが、素顔の試合は何度か見ている。基礎のしっかりしたプロレスをする印象がある。それだけに、楽しみでしかたないのだが、大事なプロデュース大会の、オープニングマッチを任せるあたりに、新泉浩司の久保希望への揺るぎない信頼感が感じられる。
YouTuberとして紹介された久保。試合は先手を取ってラフ混じりで、自分のペースに持ち込もうとする。がむしゃらプロレスでもお馴染みの、パンダの頭を神楽に被せて蹴り飛ばしたり、自らパンダをかぶってムーンサルトしたり、とやりたい放題。
しかし、神楽は致命的なダメージを回避しながら、のらりくらりと久保の技を受けていた。そしてパンダ頭の久保のダイビングセントーンを自爆させると、そこからは完全に神楽のターンになってしまった。久保も反撃はするが、ダメージを溜め込まず、スタミナを温存していた神楽には、決定打にならず。最後は神楽のムーンサルトに沈む形になってしまった。
第一試合としては非常に理想的で締まったよい試合だったが、強いて不満をいうならば、久保が神楽の手のひらで踊らされた感がある点だったこと。
こういうインサイドワークに長けているタイプは、なかなか九州にはいないし、これは多分久保希望には、いい経験にはなったんじゃないかな。神楽みたいな選手はまた九州で見てみたい。
第2試合
〇二代目上田馬之助 (1/20) ×ハラキリ・ハカタJr
ある意味、ハラキリには試練かもしれない大型ヒールとの対戦。どう考えてもハラキリがベビーにしかならないカードだし、パワー勝負では勝ち目がない。テクニックや小技、あるいはプロレスセンスで馬之助のペースが崩せれば面白い展開も期待できそう。
入場時にトレードマークの竹刀も持たずに入場してきた馬之助はあきらかに不機嫌そう。そもそも体格だけでいけば馬之助の圧勝になるわけだから、わざわざ反則するまでもないということだろう。
ハラキリもできる限り頑張ったし、バックボーンの柔術を使って、追い込みはしたが、結局馬之助のパワーの前に屈する形になった。試合後「おい!新泉!なんで俺だけハラキリとなんだよ!」と新泉プロデューサーに文句を言い始める馬之助。
そこへ悩ましい音楽が流れて、アジアンプロレスではおなじみのアニマル戦士が現れたため、急遽のびているハラキリを含めた3WAYマッチが開催されることになった。馬之助は「おい!アジアンかよ」と愚痴っていたが、構わずゴングはならされてしまった。
第3試合
X vs アニマル戦士
※当日発表
↓
3WAYマッチ:アニマル戦士 対 ×ハラキリ・ハカタJr 対 〇上田馬之助
ということで、なし崩し的に3WAYが始まってしまったのだが、のびていたハラキリは、ここでアニマルに共闘を申し込んで2対1にもちこもうとした。しかし、途中で裏切ったハラキリが、アニマルを丸め込もうとしたため、共闘は空中分解。
とはいえ、結局試合は馬之助を中心に回ってしまうことになってしまった。アニマルはどうも馬之助が「タイプ」のようで、しきりに粉をかけてくるものの、当の馬之助はアニマル戦士が苦手のようで、男色っ気をみせては馬之助に迫ってくるアニマルをなんとか遠ざけようと必死。
結局馬之助はブレンバスター返しで、ハラキリを片付けるとアニマルにもラリアット一閃。最後は第ニ試合と同様、のど輪落としを決めてハラキリからフォール勝ち。
二試合続けて散々な目に合ったハラキリは、なぜかアニマルと抱き合いながら転がり落ちるようにリングを後にした。
第4試合
アズールドラゴン&〇KAZE (1/30) ×スカルリーパーAーji&コスモ☆ソルジャー
かつては同じチームにいたアズールとスカルリーパーA-jiが対角線上で闘うというのが、なかなか新鮮。聞けば、コスモとA-jiは初タッグになるらしい。
試合は、KAZEが珍しく初回から猛攻。だいたいこういうときのKAZEは、調子に乗りすぎて、コスモらに痛い目に合うのが通常なのだが、アズールとの連携もさえわたり、この日は超久々に実力者としての片りんを見せていた。
その後もKAZE&アズールの勢いは止まることなく、セコンドの上田馬之助を使っての乱入と、巧みなコンビネーションを駆使。つにいには難敵コスモを場外に出すと、不知火から片エビ固めで二冠王A-jiをピンフォール。KAZEは、これでA-jiからの連勝!これは大きな意味を持つ!
試合後「スカルリーパーA-ji!これで二連勝だ!文句ないだろ!」とタイトル挑戦をアピール。これに対してA-jiも二冠をかけることを約束し、こうしてKAZEが次期二冠タイトルマッチの挑戦権を得た。
そして返す刀で「アステカ、コスモ、お前らも引退させてやるからな!」と上の世代に噛み付いたが…
正直やるのが10年遅い!やれば出きる選手なのにちんたらしていたおかげで、このキャリアまで頭角を現さなかったのに、やっと覚醒したのか。でもまあ遅咲きでもやらないよりはまし。仮にも岡山のアマレスの実力者だったんだから、その才能を腐らせて終わる事だけはしてほしくないものである。
今までが今までだけに、全幅の信頼は置けないにしても、今後のKAZEにはほんの少しだけ期待してみようと思う。
第5試合
聖氣&〇エル・ファルコ&小川聡志 (1/45) ×ヴァンヴェール・ネグロ&エル・ブレイブ&アステカ
レアルルチャでは、打倒ネグロの旗印を掲げて、執拗に食らいついているファルコだが、14日のタイトルマッチに向けて、ここでも引けない闘いが組まれた。
しかしながら、ファルコとしてはもう一つ、ネグロとの因縁云々は別にして、アステカとの初対決という新しいテーマがこの試合にはある。とりあえず自分の持てるものを全力で出し切らないと、アステカはおろかネグロの壁も越えられない。
入場の時からずっとネグロを意識しまくりだったファルコ。意気込みはいいんだが、案の定俺をアステカや、ブレイブ選手につかまってしまい、序盤から約10分近くひたすらローンバトル。こういう展開になると、キャリアの長いアステカの独壇場で、ファルコは青息吐息。あまりに苦しくて、場外に逃げようとしても、ルチャルールではないため交代は認められない。やっと聖氣や小川の出番が来ても攻撃が点にしかならず、再びファルコの出番が来ても、またローンバトルに。ファルコも切り替えそうとしたけど、なかなかペースを掴ませてもらえず、苦闘が続く。
しかし、厳しいローンバトルを耐え抜いたファルコを聖氣も小川も必要以上に助けには入らなかった。ネグロもファルコの粘りに関しては甘くみていたように、私にはみえた。
最後の丸め込みは聖氣と小川のカットはもちろんだが、ファルコが自力でフォール勝ちした事に意義がある。
これで14日のレアルルチャで聖氣&ファルコが、新泉&ネグロが保持する博多タッグベルトに挑戦が決定した。ここまできたからには、なんとかベルトを手にしてほしいが、チャンピオンチームが強いことには変わりない。さあ、さいとぴあではどんな結末が待っているだろうか?
第6試合 博多ライトヘビー級タイトルマッチ
[王者] 〇新泉浩司 (1/60) ×KING [挑戦者]
プロレスリング華☆激としては長らく時の止まった状態だった博多ライトベビーがついにアステカより下の世代で争われ、それがメインにくる時代が来た。まあ、遅いっちゃ遅いんだが、どんな形にせよ、これは一世一代の大チャンス。
KINGは、この試合のため通常100キロ越えの体重を絞り、ライトヘビー級バージョンに肉体改造しているという。
博多ライトヘビー級というくらいだから、いわゆるふつうのジュニアヘビーより少し小さい選手が、タイトルを争うわけで、KINGのような例は今までにはない。そういう意味でも新しい歴史のページが開かれる闘いになりそうな予感がしている。
試合は、KINGがパワーで攻めるかと思いきや、意外にもグラウンドの攻防で、新泉を苦しめていく。単に関節技を決めるだけでなく、減量したとはいえヘビー級の身体が乗っかってくるだけでも新泉には相当負担になるはずだ。
中盤までたっぷり攻めた後、得意のキン肉バスターでとどめに入ったKINGだったが、これは新泉が意地でキックアウト。ここからは意地と意地のぶつかり合いになっていく。
正直KINGほどの体格があると、新泉お得意のキックが通用しない。これは相当痛手になったはずである。しかし新泉も全日本に定期参戦するようになってスーパーヘビー級の攻撃には耐性がついてきたのだろう。後半に畳みかけたエルボーの鋭さは決して足に来ていないことの証明にもなったし、フィニッシュになったランニングエルボーは相当えぐい形で決まっていた。
後記
試合後、夏にプロデュース興行を行う小川聡志が呼び込まれ、次期挑戦者に決定した。そして全員で集合写真を撮って、最後は円陣を組んで大会は終了した。
GT-Rの大会は毎回オリジナル華☆激とは少し違っていて、その違いも面白かったりするのだが、今回もまた面白かった。プロデューサーとしてだけでなく、チャンピオンとしても大会を作る苦労は並大抵ではなかったと思うが、ちゃんと新泉ワールドを作り上げていた。素晴らしい大会でした!