がむしゃらプロレス・GAMSHARA NEW YEAR DASH!! 2022
(2022年4月17日・日・門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
土曜日のGLEATに続いては、今年初のがむしゃらプロレス。
3年前は開催された大会が一つのみ。
昨年は2月大会が順延し、4月開催となり、2022年も同様となったわけだが、開催されない虚無感に比べたら、見られるだけマシである。
もともと私は声出し応援するタイプではないし、じっくり観て楽しむにはむしろ今の観戦スタイルは性に合っている。
さて、日曜は母の介護があるのだが、夕方の服薬だけヘルパーさんにお願いして、実家から赤煉瓦へ。
もともとがむしゃらプロレスに行き出した最初の頃は、このコース(しかも行き先は赤煉瓦より遠い北九パレス)だったのだが、改めて15分以上余計に距離が伸びた分、病み上がりにはややしんどい。
しかし、プロレス観に行ける事は決して当たり前にできるわけではない。今回の2日連続観戦はある意味リハビリでもあるので、このヤマを乗り越えられたら、行動範囲も変わってくる。
オープニング
今回はオープニング短め。理由は後々わかるのだが、オープニングアクターは、メインで六人タッグに挑戦する尾原毅とMIKIHISAが登場。マイクを持った尾原は、ナスティでがむしゃらの全タイトル奪取を宣言。
帰す刀で、六人タッグチャンピオンのRe:ZARDを挑発。これに応じてチャンピオンチーム登場。
既に一触即発状態になった両軍。火花散らし合う雰囲気の中、尾原のコールで大会はスタートした。
第一試合▼九州初上陸!!阿鼻叫喚!! レゴデスマッチ!!(30分1本勝負)
パンチくん & ダイナマイト九州 & ×リキ・ライタ vs 弾女郎(丹の国プロレス) & ブラック☆スティック & 〇SMITH(19分11秒:ダイビングボディプレス)
やはり見どころは九州初上陸になる、弾女郎。嵐弾次郎の親戚にして、元祖レゴアイテムの使い手という厄介な相手である。
たぶんレゴの犠牲になるのは、大半リキ・ライタになるとは思うが、がむしゃら勢がどれくらい存在感を出せるかに注目したい。
さて、レゴを使った試合形式は、代表のSMITHの強い要望で実現したらしい。
そんな事はおかまいなしに序盤は九州組が好き放題にいつも通りの試合をしていく。
しかしいつもの「1.3.5.7.九州!九州!」に入ろうとして、たっぷり間をとったダイナマイト九州に対して、空気を読まずに後ろから攻撃するSMITH。
「お前の攻撃はワンパターンなんだよ!」と身も蓋もない事を言い出すと「ワン、ツー、スリー、SMITH、SMITH」を繰り出したあげく、いよいよレゴの出番。
レゴボックスを取り出した弾女郎は、ボックスをひっくり返してレゴの雨を自ら浴びる。
リング上に敷かれたマットがあるとはいえ、レゴの上に落ちたらあまり関係ないかもしれない。
そして、九州組は続々と餌食に。ここでやはり美味しい場面を独占したのは、リキ・ライタ。
やられっぷりもいいのだが、レゴの上で4の字固めを繰り出すなど攻めの点でも、デスマッチ脳が炸裂。
リキの新しい魅力が開花したと言ってもいいだろう。
それにも増して自由なSMITHは、ウイル・スミスばりの張り手は食らわしたり、フィニッシャーにいつもは使わないコーナートップからのフライングボディプレスで、リキを仕留めて九州ダイナマイト級ベルトまで強奪。
試合後、月末に丹の国プロレスの大会において、3WAYマッチを行うSMITHに対して、ダイナマイト級奪回宣言をアピールする九州だったが、四散したレゴの片付けに忙しい代表は、話半分にしか聞いてなかった(笑)
さあ、果たして九州ダイナマイト級ベルトは九州の腰に巻かれるのか?そしてだいぶくたびれたベルトは修復されるのだろうか?
第二試合▼挑め!ニューカマー!! 関西からの刺客!!(30分1本勝負)
〇レオパルドン横山(フリー) & 乱魔(OPG) vs ×KENZO & HAGGAR
(16分16秒:ダイビングギロチンドロップ)
西日本社会人オールスターで、鮮烈に登場したレオパルドン横山。
その試合をみていたドン・タッカーがオファーを出したものの、がむしゃらの大会自体がコロナ禍で飛んでしまい、横山の参戦自体が消滅した経緯がある。
そこから満を持してのがむしゃら参戦。しかも相手はデビューして以来勢いにのる成長株のKENZOとHAGGARの二人である。
乱魔も含めてとてつもなく高い壁ではあるが、未来のがむしゃらプロレスを背負って立つなら、砕けてでもぶつかっていくべき相手なのは間違いない。
関西からの刺客と銘打たれただけあって、やはり横山も乱魔も曲者である。
序盤は攻める側でひたすら横山がロンリーバトルになり、乱魔は会場に座って声出し観戦。
横山が交代しようとしてもまだ乱魔は会場でみていた。
しかし、一旦タッチが成立すると、今度は素早いタッチワークで、新人チームを翻弄。
今まで先輩とのチーム結成はあれど、同期チームの結成は試運転レベル。とはいえ、相手も関西繋がり(乱魔はOPG京都)なんだが、そこはキャリアのなせる技。
真っ向勝負してよし、ダブルの攻撃仕掛けてよし、さらにはスピードでも圧倒する乱魔&横山。
改めてプロレスの奥深さを、KENZOやHAGGARだけでなく、我々見ている側にも思い知らされせてくれた試合だったように思う。
最後は、横山がコーナー最上段から超飛距離のあるダイビングギロチンドロップが炸裂!
その飛距離には会場も思わずどよめいたような気がした。
第三試合▼ジョロキア vs Dream Tuber!!(30分1本勝負)
×山内拓也 & 上原智也(OPG・ジョロキア) vs HIROYA & 〇トゥルエノ・ゲレーロ(12分18秒:レランパゴ)
久々登場の山内にもはや常連の上原。しかし、純正のジョロキアとしての参戦は最近はなかなかなかった。
この二人なら、HIROYAとゲレーロがもつGWAタッグのベルトにも挑戦できる実力もある。
やはりタッグ戦線が活気付くにはこうした強力なチャレンジャーの登場は必須。さて、どうなるだろうか?
入場から勇んで飛び込んできたゲレーロ&HIROYAに対して、序盤から盛んに「クリーンファイト」をアピールするジョロキア。
しかし、素早いタッチワークと、細かい反則を挟んだジョロキアは、いつの間にかGWAタッグ王者チームを、ロンリーバトルに追い込んでいく。
特に要所要所に出てくる上原は、がむしゃらプロレスの常連でもあるので、各選手の特徴も頭に織り込んだ上で動いている感じがした。
一方、OPGジュニアチャンピオンでもある山内は憎々しげに「応援してやれよ!」と毒づくなど、ヒールっぽさを全開にしてきた。
こうして試合の流れは完全にジョロキアに傾いていた。
しかし、ピンチを耐え忍んで一瞬のチャンスをモノにするのが、ゲレーロ&HIROYAの勝ちパターン。
今回も針の穴を通すような隙を縫って、連携の妙をみせていたジョロキアを寸断すると、ゲレーロが必殺のレランパゴで難敵・山内を仕留めた。
しかし、ジョロキアの中でも上原&山内は、実力のあるタッグだし、なんならスコヴィルも加えた3人で6人タッグ挑戦も面白いかもしれない。
いろんな可能性が感じられた試合だった。
第四試合▼がむプロレスラー復帰戦!!(30分1本勝負)
〇嵐弾次郎(丹の国プロレス) vs ×豪右衛門
(11分33秒:ラリアット)
ここ最近の流れからしてXはあっと驚くような選手ではなく、多分皆が知っているあの選手に違いあるまい。
実力者の弾次郎がシングルマッチで闘う相手である以上、ベテラン系の選手は考えにくい。
と予想は立てていたのだが、実は私のエックスの予想は、見事に外していた。
なぜかというと、事前に「じゃない方」の選手ばかり浮かんできて、本命がみえなくなっていたからだ。
入場テーマ曲がなって出てきたエックスは…
豪右衛門だった!そうこの人も家庭の事情で活動休止していたのだ。ただ、ダイナマイト九州がさかんに挑発していた美原輔でないことはなんとなくわかってはいたのだが、外したとはいえ大型対決である。
見応えがなかろうはずがない。果たしてコンディション絶好調の弾次郎は序盤から肉弾戦を仕掛けていく。
久々にみた豪右衛門はデビュー時なみにスリムになっていた。そこにブランクも手伝って、本人が一番ウリにしているであろう、真正面からの肉弾戦で打ち負けてしまうシーンも見られた。
しかし、どんな選手でもブランク明けは思うようにはならないもの。そこで体勢を立て直してSTFにいくあたりは、豪右衛門もさすがである。
とはいえ、実戦数の多さでは西日本の社会人レスラー随一の嵐弾次郎。簡単にペースチェンジは許してくれない。
最後は再び打撃戦に持ち込まれた豪右衛門は、嵐の強烈なラリアットでカウント3をきいた。
試合後マイクを持った豪右衛門は嵐やお客さんに感謝を伝え、控え室での緊張も吐露しながら「俺が帰ってきたからには、がむしゃらプロレスもっともっと面白くなるぞ!」とアピール。
やはり試合見て思ったが豪右衛門がいるといないとでは、がむしゃらプロレスの景色は全く違ってみえた。
それくらい唯一無二の存在が帰ってきたということは、今後のがむしゃらプロレスには楽しみしかない!ということになると思う。
第五試合▼(セミファイナル) アストロZ がむしゃらプロレス初参戦!!(30分1本勝負)
×YASU vs 〇アストロZ(フリー)
(11分28秒:変形ブロックバスター)
シークワーサーZとして琉球ドラゴンプロレスに上がっていたのが、アストロZ。防府市出身で山口県内のプロレス興行ではよく試合をしている。
そして同じ山口県つながりでYASUともがむしゃら道場で練習する仲でもある。
ある意味がむしゃらプロレス登場は必然でもあったのだ。
近年タッグ戦線で活躍してきたYASUの久々のシングルマッチというのもレア感がある。
思うところがあったのか、YASUは同じ「戦場のメリークリスマス」をgWo時代の「悪巧み」から、デビュー時より使用していた「WaterGate」のバージョンに戻してきた。
そして、試合後のマイクで明かされたのだが、実はがむしゃらプロレスとは縁深い因縁があるのがアストロZだった。
アストロZは、見た目から飛びそうな感じがするのだが、ジュニアの体形に似合わず打撃戦主体でも試合が見せられる巧者だった。
縁あってYASUとは練習を共にし、二度目のシングルマッチになったこの試合では、空中戦でみせるYASUが、アストロZのフィールドでも勝負し、アストロZもYASUの気持ちを受け止めた上で、自分のスタイルをがむしゃらのお客さんに披露していた。
YASUとアストロZの確かな信頼関係が、YASUの試合にしては珍しい打撃の応酬が繰り広げられる闘いを生み出したのだと私は解釈した。
そして試合後、YASUがアストロZとの経緯を話し出す。実は以前アストロZは、お客さんとしてがむしゃらの会場にきていて、それから沖縄でプロになり、退団後山口に戻りアストロZになったことが告げられた。
アストロZからも、毛利道場で研鑽を積んでいたことをあかし、がむしゃらプロレスに継続参戦を表明。
「プロレスラーならてっぺん目指したい」とジュニアタイトルへの意気込みも述べた。
これに対して本部席のSMITH代表が、ジュニアチャンピオンであるドラゴン・ウォーリアーと協議した末、タイトル返上した事を明かして、次回7月10日の大会で、ジュニアのトーナメント開催を発表した。
コロナ禍で長らく動きがなかったがむしゃらジュニア戦線が、ドラゴンとルーツを同じくするアストロZの登場で一気に動き出した!
夏からもがむしゃらプロレスからは目が離せない!
第六試合▼(メインイベント) GWA 6人タッグ選手権試合!!(60分1本勝負)
▲【挑戦者】MIKIHISA & 久保希望 & 尾原毅 vs ▲【王者】サムソン澤田 & 鉄生 & 陽樹
(1分57秒)ノーコンテスト
陽樹が2021年末にGWAシングルのベルトを落とした際、新チャンピオンの尾原から六人タッグベルトへの挑戦表明があり、これが受諾される形で決まったタイトルマッチ。
ただ、前チャンピオンの陽樹がシングルの防衛戦を優先すると、同じ大会で六人タッグの防衛戦を同時には組みにくい?
仮にタイトルが移動してもシングルチャンピオンがいるNASTY OUTSIDERSも同様の問題を抱えてしまうため、六人タッグの王座戦は何気にレアケースになるのだ。
ゴングが鳴る前から奇襲によってRe:ZARDが先制。Re:ZARDTシャツを着た、セコンドの上原と山内が試合前から用意していたパイプ椅子で、NASTY OUTSIDERSのメンバーを蹂躙。チャンピオンチームの暴走ぶりに吹っ飛ばされてしまうレフェリー陣が、たまらず無効試合裁定を下した。
Re:ZARD側は勝手に防衛したとして、引き上げかかるが、久保のマイクと臨時で出てきたKKレフェリーによって、再試合が決定。
再試合 ▼(メインイベント) GWA 6人タッグ選手権試合!!(60分1本勝負)
【挑戦者】MIKIHISA & 〇久保希望 & 尾原毅 vs 【王者】サムソン澤田 & ×鉄生 & 陽樹
(15分23秒:ダイビングセントーン)
再試合開始と同時に、今度はナスティがRe:ZARDに襲い掛かるが、先ほどの椅子攻撃で膝を痛めた尾原は本調子からは程遠い。
しかし、奇跡的に無傷に近いMIKIHISAと久保の異様な頑張りと、粘りで徐々に試合の流れがナスティに傾き始めた。
とはいえ、度重なる乱戦や場外戦でRe:ZARDもなかなか主導権を渡さない展開が続き、試合は一進一退に。
最後は久保がコーナー最上段からのダイビングセントーンで、粘る鉄生を沈めてNASTY OUTSIDERSが新チャンピオンになった。
とはいえ、1大会にダブルヘッダーでタイトルマッチは行われない(はず)なんで、尾原がシングルのチャンピオンでいる限りは、6人タッグ防衛戦は別に行わないといけない。
しかし、久保がマイクで宣言したように「他団体の挑戦もうける」なら、なかなか面白い展開が期待できそうだ。
またMIKIHISAも、盟友ドラゴンにかわり、ジュニアトーナメント出場を表明。自らチームメイトの無念を晴らすべく、出陣するからには、是非とも良い結果を期待したい。
最後は、豪右衛門交えたナスティが集合。尾原毅によって「3.2.1.ナスティ!」で大会を締めた。
後記
個人的には一月以来の観戦でしかもそれが2日続いたわけだが、やはり治療前と違うのは、身体には結構ダメージがあったということ。
しかし、その分精神的には満たされたので、やはり「プロレスは最高!」だと改めて思わされた。
7月の大会も今から待ち遠しい。果たしてジュニアの風景はどう変わっていくのか?2022年のがむしゃらプロレスは、楽しみしかない!