WNC福岡・西鉄ホール大会観戦記(2012年11月26日)
イントロダクション
いきなり夏の終わりにきて、突然第二弾をやるとは聞いていたものの10月までなんの発表もなかったんでこれは年内ないかも?と思っていたらまさかの二度目の博多大会。
しかも場所は西鉄ホール!!まあ平日だから空いてたのかもだけど気になる点がひとつ。それはカード発表の際、youtubeにUPされていた会見でTAJIRIが喜々として語っていた、守勢塾との提携話。
だいたい10月31日に発表したということは水面下で動いていたとしてもそんなに時間があったわけでもなかろう。ましてや守勢塾は経営のプロかもしれないが、WNC設立当初「夢を売る一座」と団体を表していたTAJIRIの方向性と、合致するんだろうか?
守勢塾は自利自他、『優しさと思いやり』をコンセプトとして真の優しさとは、先ずは、他人の利益を図る為に行動する、と言ってるけど、でもそれがわかっていたとしてもプロレスの興行に関しては素人なわけで、ひとつのショーに対してファンが抱く気持ちをどこまでわかってるんだろう?という不安の方が強かった。
オープニング
んで開始30分前にがむしゃらのマスターにチケット代払って会場入り。売店をざっくりみたがパンフがない。パンフ欲しいよなあ。サイン色紙とかはかざばるし。そういうところから節約しちゃだめよ・・・・年間通して使えるやつ1部でいいんで置いてほしかったなあ・・・
入ってびっくりというかスクリーンつかえる会場なのにスクリーンが黒幕で隠されてる・・・・映像はなしか。でもスターレーンより音響はいいんでそっち期待かなと。
第一試合:20分一本勝負
●アズール・ドラゴン(首固め)○ティグレ・ブランコ
ティグレはTAJIRIのマスクマン姿。しかし変身のいきさつはTAJIRIのツイッターを読まないと意味不明。
というか事前に予習前提で変身するのもどうかと思うよ。代わりに解説しておくとTAJIRIが師と仰ぐ、プエルトリコの大プロモーター兼マネージャーだった故・ビクターキニョネス氏の構想を具現化したものらしいんだがそれをなぜ今やるのかは全く不明・・・・・
というかいきなり何でも思いつきからスタートするちょっと変わったTAJIRIのことだから、たぶん急にやりたくなってやった・・・というのが本当かも^^
とはいえ、一日二試合TAJIRIの試合が見られるのはお得だし、ショーのキモである第一試合を自ら務めるにはなんか意味があったんだろう。で、入場時はTAJIRIのままマスクくわえて登場。リングインするやいなやマスクをかぶるという変な変身で登場したティグレ・・・・・?????
一方のアズールはいわずと知れた九州のトップレスラーの一人。その実力はHARASHIMAと互角に渡り合えるほどのものがある。なにげに好カードなのだ。ところがティグレの・・・ティグレであるが故の演出というかキャラ付けが追いついてなくて・・・・なんか試合始まるとマスク姿のTAJIRIという感じで素顔とどう違うの?という疑問しかでてこなかった。おまけに毒霧からの丸め込みで不透明な勝利をあげたあたりは狙いなのかそうでないのかがさっぱりわからない・・・・
この変身は果たしてなんだったんだろう?たぶんアズール含めてかなりのお客がおいてけぼりになった感は否めない。
第二試合:第一回デーブ・フィンレー杯:時間無制限一本勝負
○篠瀬三十七(エルボーパット→体固め)●高橋匡哉
新人どうしの第二試合。でもこの内容だったらこれを第一試合にして欲しかった。
星人キャラをやめた高橋にしろ、この後でてくる黒潮にしろWNCの新人に関してはお膳立てされたキャラ付けはいらないと思う。DDTや新日とかは、キャラだちするまでは色はつけてないし。
あきらかにお遊びがすぎる印象があると、新人にはかえってマイナス要因にしかならないんではないか?
そのキャラの呪縛から解き放たれた高橋がいいファイトをしてくれて、篠瀬もそれにくらいついていった。年はあきらかに篠瀬の方が上なんだけどプロレスキャリアでいえば新人同士。こういう切磋琢磨しあう試合こそWNCのNEW CLASSICの部分ではないだろうか?
気持ちの伝わる試合という意味では前半戦のベストバウトといっていい。この調子で精進すればお仕着せでなくてもキャラ付けは後からいくらでもできるわけだし^^
第三試合:レアルルチャリブレ提供試合:時間無制限一本勝負
○磁雷矢&RANMA&マスカレロ&ETO(首固め) ●インフェルノ・アスール&クラネオドラド&ヴァンヴェール・ネグロ&ベンガドール
レアルルチャリブレ提供8人タッグ。相変わらず、磁雷矢さん以外の選手が覚えられない^^;あとやっぱ経験値というか、アマ以上プロ未満のひとたちなんでこの人たちだけ(師匠はのぞく)で興行うった場合お金とれるレベルかどうかというと・・・ちょっと微妙かな。こういう場で提供試合する以上、全員プロ志望だとは思うんだけど。
細かいことをいえば、スターレーンより狭い会場とその特性を十分にわかって試合ができてたのは磁雷矢さんだけだったし、技のミスもちらほら・・・・ルチャの様にリスキーな技が多い場合、それが怪我のもとにもなるんでそこらへんは考慮の余地あるかな?
キャラ付けということでいえばルード軍は、自分の役割をこなすのが精一杯という感がありありで会場を煽る余裕もみえなかった。練習してるのは十分わかるんだけど、それを披露する場をなんとか若手だけでも定期的に提供していけるといいんだけどなあ。
やっぱ磁雷矢さんがでてこないと試合の体をなさないんじゃ困るんだよなあ・・・
辛目に書いたけどレアルには闘龍門ができなかったことを日本でなんとか成功させて欲しいんで本当頑張ってほしいのだ。
第四試合:30分一本勝負
●木藤拓也&YO-HEY&洞口義浩 vs ○アステカ&小川聡志&新泉浩司
華☆激対WNCの第二弾。ぶっちゃけ絡むんならクズプロがいいなと思っていたんでキトタクのようなわかりやすいキャラと絡めたのは幸いだったかもしれない。
相変わらずマイクで博多の食べ物の悪口を言うキトタクだけど、二回続けてだとちょっとネタがないのか?と思われてしまうだろう。やっぱその土地土地をディスるならもっと勉強も必要では?
案の定前回ほどブーイングも飛ばずあとは比較的普通の悪役を演じてたので、まあ過剰な演出を嫌うアステカさんにはちょうどよかったかな?まあ普通に試合してもできるのは言うまでもないのでやはり新泉がつかまる展開に・・・・
だいたい鉄板パターンとして新泉が踏ん張って小川につなぎアステカが締めるというのがあるんだけど、なんと華☆激2TOPはフォローに回って新泉に勝利を託した!これは超意外!しかも新泉が勝ったもんだからなおびっくり!
というか新泉が勝てない選手ということではなくて十分できる選手なんだけど、それを発揮できる場が今までなかったんでアステカがそこを譲ったというのがこの試合の一番のサプライズ
だったのだ。
アステカが締める=華☆激というイメージを覆したという点では大きな一歩だったと思う。今更アステカ=華☆激というイメージは変えようがないのは事実だけど、さっきいったようにアステカさんが締めなくても大丈夫!という印象を与えたのはでかかったと思う。こういう対外試合でそれをみせられたのも大きかったと思うし。
第四試合:45分一本勝負
○AKIRA&朱里(横入式首固め)●タイニー・アイアン&リン・バイロン
日本人チームがヒールで外国人選手がベビーという考え方自体が古いんだろうけど、リンは絶対今のキャラの方が自然な感じがしたし、そこについた用心棒がまた規格外のタイニーだったんでこの対比も面白かった。
気の強い朱里がまたタイニーと真っ向勝負を挑んでいく様も結構よかった。本気であの筋肉の塊を蹴倒しにかかる闘志はやはりKG時代にはなかったものだし、今AKIRAとくんでて得るものが多いのかもしれない。最初はヒールが務まるのかな?と思ってたけど、なかなかどうしてこういう変身なら大歓迎である。
こういう場に試合を締められるAKIRAというベテランの存在はすごくでかい。筋肉マンタイプのタイニーもちゃんといかせるし、リンも活かせる。前半戦の締めをまかせるにはうってつけの存在。
しかし、課題はやっぱここに誰か入ってこないとAKIRAだけでは先が苦しい。いい素材はいっぱいいるんだからできるだけそうした素養を若手が身につけていかないと・・・
今のWNCの課題は前半を任せて安心な選手が少ないことかなあ。どこの立ち位置にきても仕事ができるプロフェッショナルな存在の登場を求めたい。
しかし場外乱闘でまた西側がねらわれた・・・この日三回目・・・なんかあるのか?WNCの西席?^^
第五試合:初代WNC女子王者決定トーナメント一回戦:時間無制限一本勝負
○華名(アームバー)●真琴
WNC女子王座決定トーナメント一回戦ということだが、まあ興行数と王者を年内に決めたい裏事情からすると、G1みたくはいかないわけで、ここで華名がWAVEみたいな取りこぼしをするとは考えにくい。それでなくてもアイスを知らない多くのファンは真琴スランプ説を本気で信じてしまってる以上、ここは真琴がどれだけ本気でベルトを狙ってるのかがみたいところ。
で、結論から言うと真琴は本気で狙っていったと思う。ダブルアームスープレックスホールドをはじめ果敢に技を繰り出し、張り手合戦でも一歩も引かない。こういう真琴をみたかったのだ!
しかし相手もやはりベルト狙いでしかも経験値の高い華名なのだ。そうなるともうこれは相手の
いいところを引き出すより徹底的につぶしにかかる。この日の華名はあきらかに怖いモードの華名だった。
だから真琴を格下扱いせず容赦なく潰していった。でもこれで正解だったと思う。真琴も気迫以上の二手三手がないと上にはいけないことがわかったんではないかと思う。なまじっか野崎とか相手に反則勝ちとかでコマをすすめるより今の真琴には過ぎた相手といっていい。再三の脇固めにも屈しなかった真琴だが、華名の大巨人腕殺し(しかも片手で腰を抑えてロープエスケイプできないようにしていた)にタップアウト!
打撃・関節・気迫・・・いろんなものを華名から吸収してもっとでかくなって欲しい。めざすWWEはその先にある!
第六試合:初代WNC王座決定トーナメント一回戦:時間無制限一本勝負
○トミー・ドリーマー vs ●児玉ユースケ
これもWNC初代王者トーナメントなんだが若手のチャレンジマッチの色合いが強い。トミーの引き立て役に抜擢されたわけでもなくTAJIRIがむしろ愛弟子児玉をトミーに託した試合と見た方が正解だったかな?
で、託すにしてもトミーが「往年のスター」という劣化した選手になっていたらそれほど大きな意味がない。ましてやECWというノスタルジックに浸るためだけに招聘したんならWNCのEWの部分が偽りありになってしまう。
でもトミーはやはり世界の大スター。きちんと相手を立てて自分の持ち味も出し会場でまばらにおこったECWコールに煽られるようにハードコアな展開もちゃんと用意していた。
しかしこれで児玉が潰れてしまうようでは本当にトミーの顔見世になってしまう。そうならなかったのはやはり児玉の頑張りがでかかった。世界の壁に果敢に挑んでいく姿は清々しかったし、諸先輩を差し置いてセミに抜擢されただけのことはある試合を見せてくれたのだ。
決してトミーの世界に飲まれることがなく自分を表現して最後は力尽きた児玉。いや、正直ここまでやるとは思わなかった。文句なくこの日のベストバウトはこの試合で決まりだったと思う。
児玉には是非次もまたチャンスをあげてほしいな。
できたら海外ルートで武者修行とかもして欲しい。試合後トミーが児玉を持ち上げ、「ワンモアマッチ」といったのはお世辞でもなんでもない。児玉ユースケがいわせた言葉なのだ。カード的には今一かなと思っていたカードも実際やってみないとどう化けるかはわからない。それがプロレスの面白さなのだ。
第七試合:メインイベント:60分一本勝負
○TAJIRI&ジェシカ・ラブ&土肥孝司 vs ●大原はじめ&野崎渚&黒潮二郎
で、メインは実質ボーナストラックみたいなもんだった。実際そんな感じだったし。しかし対角線に大原がいてTAJIRIに引けをとらない存在感を出してきたことには素直に驚いた。やっぱ若いうちから海外を体験しておくのは大事なんだなと思う。
あえて大原組の欠点をいうなら大原はじめとその他大勢になってることでいい点はトップがはっきりしてることだけど、悪くいえば大原抜きでは機能しないというところ。
悪徳マネージャーとしてはまあまあ合格の野崎も選手としてリングにたつと、やはりほかの選手のオーラに消されてたし、黒潮のホイッスルはただうるさいだけだったし。やっぱ若手に余計なキャラ付けは、この団体に限っていえば不要な感じがする。試合内容で印象残した高橋も児玉もキャラに助けられていたわけではないし。この辺はおそらくTAJIRI自身も模索中なんではないかなと好意的に考えればそう思うのだ。
土居もいい選手だとは思うけどやっぱジェシカとTAJIRIに挟まれては分が悪い。抜擢されただけのものがあるのかどうかこの試合だけで判断するのは難しいというか・・・・
試合後なおもTAJIRI組をメッタ打ちにする大原組に対しトミー・ドリーマー再登場!野崎の竹刀を奪い八面六臂の大活躍。黒潮のホイッスルもうばいさながらトミーショーの様相。
そしてこの大会では少なかったマイクをとったトミーは英語で「ECWは終わった。TAJIRIとはこれからも友達だ。これからはWNCと共にあゆんでいく」みたいなことをいって「WNCコール」を要求したんだけど煽りにしてはやや不十分というか今回は前回ほど会場が温まりきれてない分、盛り上がりにはかけてしまった。
おまけに拍車をかけるように「閉館時間が迫っています。すみやかに退出してください」と急き立てられるように会場を追い出され余韻も楽しめなかったのは残念だった。
急いででろという割にはTAJIRIが守勢塾とのコラボフラッグをリングで掲げたりしてるから当然お客は足止めて写真撮るんだけど、それもままならぬくらい余裕がない借り方してたのはショーの締めとしてはまずかったと思う。
そもそも西鉄ホールの閉館は平日だと24時までOKなんだけど・・・・なんか守勢塾が絡んでコスト面だけカットしたような印象をお客に与えたのはまずかったんではないかな?
後記
せっかく夏に大盛り上がりを見せたWNC。でもやりようによってはマイクとかなしでもやれる力があるし、できたと思う。
変なところで裏を勘ぐらせる事なく「夢を売る一座」であることの原点に立ち返ってその上で経済のプロとはタッグをくんで欲しいなと思った。