99.6.5世界のプロレス中間大会観戦記
オープニング
当日券を買ったのだが、当然席種はいい加減。このあたりは旗揚げ戦ですでに体験済み。というかむしろ「こうでないと」セカプロではない。なので委細かまわず最前列に陣取った。
まず会場に入って驚いたのがたれまく。世界のプロレス...はいいのだが、プロレスのローマ字ふりがながPURORESU....当然、英語表記ではPRO-WRESTLINGなのでまずここで吹いてしまった。
さて、試合開始前になにやら仮面を付けた怪しい集団が..日本円空道連盟による意味不明な格闘技の演舞が延々と繰り返された後、祝詞が読み上げられる。そこに登場した名前とは....
「ああ、力道山、力道山...」
って、なんでだよっ!!格闘技通信にすら載っていないこの怪しげな団体を見る事はその後一切なかった。
そして第一試合前にゲストとしてダンプ松本が紹介され、当時芸能人だったダンプがこの興業を「レポート」しにきたのだとういう。当然乱入とかはなし。
第一試合
アルカンヘル 対 SINOBI
島根か鳥取で現在は理髪業を営んでいるはずのSHINOBIとアルカンヘルのルチャマッチ。はっきりいってSHINOBIのベストバウトだと思う。ぶっちゃけ全日本に助っ人であがったときもたいした試合していなかったし。だが、この日は別人だった。
アルカンヘルがやたら「シィー」を連発。それに応えるノリのいい観客(含む我々)。三本勝負の二本目でこの日はSHINOBIが勝ったのだが、決着は最終戦の長崎でという事になってしまった。途中、アルカンヘルのコスチュームのドクロが飛んできてあわてて若手が回収に来たのを覚えている。
第2試合 4ウェイコーナーマッチ
水前寺狂四郎 対 相島勇人 対 ジェフ.マンゲル 対 アジアン.クーガー
これはリングに上がった4人が4人とも対決するという早い話が4人制のバトルロイヤルなのだが、この試合が凄いのなんの....
場外に出れば豪快にイスをなぎ倒して吹っ飛ぶ相島、身体能力の高さを誇示して我々を唖然とさせたジェフ君(当時の松田聖子の愛人と同名だったので勝手に引っかけて我々がそうよんでいた)の空中殺法。そして自在にギロチンを繰り出すクーガーのギロチン職人ぶり。全てが規格外。唖然呆然。どうせ「どインディー」な展開を期待していた
私らにとって見ればうれしすぎる誤算であった。
試合は水前寺がこれまた本家以外使い手のいなかったミノルスペシャル(稔の方ね)Ⅱで勝利。なんと終わってみれば20分強の大熱戦。ここで我々のハートはがっちりとらえられてしまった。
だがこんなもので終わりではなかったのである。
第3試合
新岩大樹 対 サイコパス
ようするにキチガ○系、怪奇派のハシリ。サイコパスはそういうレスラーだったんだけど、顔にペイントしているだけなのに怖い怖い。とにかく誰彼となく追い回すんだからたまらない。新岩はこの当時ニセ長州の風貌で売っていた事もあってスタイルも長州っぼかった。
だが、サイコパスに一方的にやられて再びサイコパスがおりてきた会場内は大騒然。もう目にとまるものはなんでも追いかけていくから始末に負えない。なんでもあの浅野社長もおっかけられていたらしい。今のキャラになる前だから「きゃー、やめてー」とは言っていなかったと思うが^^
第4試合
伊藤力雄.ビル.アーウィン組 対 KKK1号.2号
この試合はフツーのタッグマッチだったはず...なのだが、前日にKKK(韓国キラー結社の略^^)のトップ2が仲間割れ。初代のマネージャー、キン.キムチーがいつの間にかいなくなっていて、新しくマネージャーになったのが我が心の恋人ロッテリアン!!
とにかく悪のマネージャーにしては見目麗しすぎる!!そして前日仲間割れしたにもかかわらずKKKを立て直そうと?1号と2号を組ませたのだが、当然空中分解。で、ここから特別試合になだれ込む....
特別試合 大木金二郎(もとKKK2号)対KKK1号
2メーター強の身長のある一号とマスクを脱いで「大木金二郎」に突如改名した2号とシングルマッチがいきなりはじまった。だが、これは現代によみがえった馬場対大木戦そのもの。とにかく、ムーブから何からそっくりなのだ。1号がマスクマンである事をのぞけば。
もう昭和のプロレスファンは狂喜乱舞したね。これだけのがたいの選手がぶつかり合えばそれたけで面白いんだという事をまざまざと教えられた。金二郎はマスクを取ると人のよさげなおっさんで、当然金二郎に声援は集中。だが、勝負は体格に勝る1号が「ババー」と呼称してからの16文が決め手になって勝利。
でもこんなもんじゃなかったのである。試合はまだまだ続く。
第5試合(正確には6試合めだけど)
ペプシ.ボーイ 対 ネルソン
試合前NWAタッグ王者のネルソンとスプラッチャがサイン会をしていたのでサインをもらった。はじめてNWA王者からもらったサインに狂喜乱舞する我々。ペプシは当然あの「ペプシマン」の無許可キャラ。しかもペプシマンのテーマで入ってくるし(私CD買いましたからね)ペプシマンの。開幕戦では大仁田のまねしてコーラで「聖水」を浴びせようとしてマスク越しにコーラ飲んでむせていたけど^^この日はそれもなく...
というか4分くらいで次にコーラ.キッドと対戦するスプラッチャが乱入。レフェリーの浅野グレースは厳格にこれを裁き無効試合に。
第6試合
コーラ.キッド対スプラッチャ
で、普段はコーラパワーズとしてペプシマンのテーマで入ってくるのだが今回はシングルなのでコーラのテーマ曲が...なんと井上大輔さんの名曲「アイ.フィール.コーク」!!で、この試合にもなぜかペプシにネルソン、そしてKKK1号まで加わって大乱戦で没収試合。
あーおなか痛い...でもまだ許してくれない。怒ったコーラパワーズが長崎でやるはずだった「NWA世界タッグのベルトを今ここでかけろ」と王者組に要求。勝手に王者が受諾してしまったのでまた特別試合。
特別試合
コーラパワーズ 対 ネルソン.スプラッチャ
選手同士が勝手にタイトル戦だと決めつけて始まったのも凄いが、当然試合が試合として成り立つはずもなくおまけに大木までが加勢に出てきたおかげで試合はいつの間にかタックマッチのはずが3ウェイバトルに。ここで見物だったのはコーラパワーズのコブラツイストの共演。コーラとコブラをかけたダジャレに唖然としていたらなんと王者チームが「ギブアップ」。
これでタイトル移動...かと思いきや、さすがにそれは認められず、決着は長崎に持ち越し。
しかし、もう最終戦なんてどうでも良かった。ここまで濃すぎる内容でもうおなかははち切れそうだったし、何より試合後の熱気が片付けをはじめて、選手が撤収する時間になってもまだ続いていた事だ。選手バスに乗り込んだロッテリアンを発見した我々は大「世界の」コールを大合唱。するとロッテリアンがわざわざ選手バスから降りてきて
下さり、「サイン慣れていないのでごめんなさいね」といいつつ丁寧に一人一人サインと握手をしてくれた。なんていい人なんだ!ロッテリアン!!もうこれで私らのハートは握られたも同然。
かえるのが惜しくなるくらいいつまでも残っていたかった。
後記
だが...夢というモノはいつかついえるモノで冬場に同じ中間でやった「世界の」興業はまるで別物。無駄に豪華な外国人選手はいなくなり、ドインディーの日本人選手ばかり。ロッテリアンもいたことはいたけど、KKKも勢いなく、全くもって夢の残骸を見せつけられた。
そして借金を抱えたまま代表は逃走。団体は自然消滅。こうして6.5は幻の一夜となりつつも未だ語り継がれる伝説の大会となったのである。
世界のプロレスよ、ありがとう。未だこれを超える興業に私は出会っていない...(完)