[プロレスブログ] 200%元気になれる!世界プロレス式コミュニケーションガイド研究所長の発想の転換のすすめ(34) 思い込みの話

今回は思い込みの話をしたいとおもいます。ショービジネスの世界では台本が存在しますが、アドリブというやつも存在します。これらが組み合わさったものがショービジネスであり、エンターテインメントです。では台本はなぜ存在するのか?それはショーを円滑にすすめ、制限時間がある場合、時間内にイベントを納めるために存在します。基本的に全てはイベントありきで存在しているのが台本だと考えて間違いないと私はおもいます。

イベントやショーを円滑にすすめるためには進行の妨げがあってはなりません。アクシデントもまたショーの一部にしてしまうくらいの技量も求められます。お客さんは基本的に守られますが、演者は台本では守られていません。

いい例をご紹介しましょう。私が関東で観戦したプロレスの大会の試合最中に地震がありました。東日本大震災の余震で、あとで聞いたら震度5でした。当然警報がなりましたが、さすが地震慣れしている関東の観客は落ち着き払っていて、パニックなどにはなりませんでした。幸いそれ以上の揺れもなかったのですが、実は試合していた選手は関節技であるアキレス腱固めを決められた状態でした。

その時レフェリーをやっていた小笠原和彦先生が「ドント・ムーブ!」と言って選手に動くな!と指示したのです。普通ドントムーブというのは、いったん選手が離れて、時間をおいて同じ状態から試合を再開するのですが、小笠原先生は地震だろうとなんだろうと「動くな!」という指示。なんせいい感じに酔っ払っている上に、極真黄金期のレジェンドでもある小笠原先生には誰も逆らえません。結局決められた相手選手は長時間技をほどいてもらえないダメージがたたり、負けてしまいました。

とまあ、地震というアクシデントであろうと試合を進行させる小笠原先生のレフェリングはプロレス的には正しかったともいえます。

もう一つ今年のレッスルマニアで衝撃的なシーンとして未だに記憶に残るシェーン・マクマホンの金網ダイブが挙げられます。ご存知WWEのオーナー、ビンス・マクマホンの実子にして、スマックダウンの責任者でもあるシェーンはプロレスラーではありません。しかし、彼は素人ながらアンダーテイカーとの金網戦に挑み、地上高6メートルの上から机の上に自爆ダイブ(アンダーテイカーが避けたため)して、失神するという事件がありました。マクマホン家はビンスを筆頭に必要以上に身体を張るのですが、台本で自分の身の安全性を守る姿勢は皆無です。ショーのためなら自爆ダイブもいとわないのは、お見事というほかはありません。

WWEでは台本ありきを公言してますが、台本があるから誰かだけが痛い目にあわず、得しているシーンにはお目にかかれないですね。むしろだいたい皆が酷い目にあうわけで、台本があるから、ショーだから真剣勝負よりつまらないという論点は思い込みにすぎないわけです。台本があろうとなかろうとショーだろうと真剣勝負だろうと、面白いものは面白いし、つまらないものはつまらないだけのことなんですけどね。

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